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服部 幸 院長の独自取材記事

猫専門病院 東京猫医療センター

(江東区/森下駅)

最終更新日: 2023/01/22

都営新宿線と都営大江戸線が乗り入れる森下駅から徒歩1分。都会と下町が重なる情景に魅了された服部幸(ゆき)院長は、2012年4月、猫の医療エキスパートとして、この地に「猫専門病院 東京猫医療センター」を誕生させた。院長は動物総合病院の勤務医時代、猫が犬と同じ病院で治療することは猫に大きなストレスを与えているのではないか、と考えていたという。そんな中、勤務していた病院が新しくオープンする猫専門のクリニックの院長に抜擢。その後はアメリカ・テキサス州にある猫専門病院の研修などを経て、世界レベルの最新医療を提供し続けてきた。そして、「東京猫医療センター」を自身で開業してから間もない2013年、ISFM(国際猫医学会)のゴールドレベルの認定を取得。院長が目標とする“世の中のすべての猫が安心して暮らせる社会”はそう遠くないかもしれない。猫や猫を愛する人々の救世主である院長にクリニックの治療方針や今後の展望など語っていただいた。 (取材日2014年1月20日)

猫は本能的に犬を怖がる動物、猫の病気を治すためにはストレスフリーの環境が必要

先生はもともと動物学者をめざしていたのですか?

子どもの頃、野生動物に興味を持っていました。父がキャットショーの審査員なので、猫に関する本に囲まれて育ったことも影響していると思います。もともとは動物学者をめざして獣医の大学に進みましたが、獣医師の道へ進む転機、大きな影響を受けた先生に出会いました。病理学の教授だったのですが、授業がとても面白く、出欠席をとらないのに毎回出席率が高かったんです。わりと大学では出欠席をとらない授業ではサボる学生もいると思うのですが(笑)、その教授の授業は単位など関係なく人気がありました。私も例外ではなく、ずっとその教授についていきたいと思い病理学のゼミに所属しました。ゼミでは主に、全国の動物病院から送られてくる動物の腫瘍を診断すること。その数が本当に多くて休む暇がありませんでしたが、今考えると充実した日々を過ごせていたと思います。動物の病気と向き合っているうちに飼い主さんの気持ちも考えるようになり、双方にとって役に立つ仕事に就きたいと思いはじめました。それができるのが獣医師だったのです。

猫専門のクリニックを開業するきっかけを教えていただけますか?

大学を卒業後に勤務していた動物病院で気づいたのですが、ほとんどの猫が手術を終えると端っこのほうで小さく伏せていました。犬は猫が一緒でも気にならないようでしたが、猫は本能的に犬の気配を感じると自分の存在を隠すことをします。痛くても怖くても声を出さずにじっと耐えているんです。例えば、野生の中でシカやシマウマが弱っていたら、すぐにライオンに捕えられてしまいますよね。だから、弱っていることを知られないように隠しますし、気づかれないように息を潜めています。病院にいる猫も同じで、ずっとストレスを抱えていたのでは治る病気も治らないのではないかと考えるようになりました。ちょうど、動物病院に勤務して2年半たった2005年、猫専門の病院がオープンすることになり、私が院長として就任することになりました。ほかの動物がいない環境ではほとんどの猫がリラックスしており、手術後でもお腹を出して気持ちよさそうに眠る子も見かけ、猫専門の病院の必要性を確信しました。オープンの翌年には、より多くの専門知識を習得するためにアメリカ・テキサス州にある猫専門病院 Alamo Feline Health Centerにて研修プログラムを受けるなど、目の前のことだけで精いっぱいで自分で開業することまで考えていませんでした。もしかしたら、頭の隅には常に“いつかは開業したい”と思っていたかもしれませんが、大きな心境の変化ではなく自然な流れだったと思います。

そして2012年の4月に開業されたわけですが、この場所をお選びになった理由を教えていただけますか?

森下は都会と下町が重なり合っていて、その情景がとても気に入っています。それから、電車の乗り入れが良いなだけではなく、車を利用する飼い主さん、国内の離島や海外からおいでになる飼い主さんのアクセスが便利な場所であることです。検査をするために来院され、3日間ほど当院で猫をお預かりしている間に観光をする飼い主さんもいらっしゃいます。飼い主さんご自身の時間も楽しんでいることで猫もリラックスしますし、私たちも嬉しいです。

病院であることを忘れるようなリラックスできる空間にこだわった

猫専門のクリニックとして、こだわったポイントはありますか?

できるだけ病院という雰囲気にならないように心がけました。猫ちゃんが病気になること、あるいは、病気かもしれないと、病院に行くことは飼い主さんにとってもストレスを感じることなので、そのストレスを少しでも軽くしていただける造りにしました。特に1階の待合室は光がたくさん入るようにガラス張りにして、明るい気分になっていただくインテリアに。それから、待合室を1階、診療室を2階と3階に分けたこと。これは診療を受けている子の声が、待合室にいる子に聞こえないようにするためです。2階に診療室が3つあるのですが、窓に面して明るい診療室、窓がなく落ち着いた診療室、それぞれ猫の性格に合わせてご案内します。それから診療室の中に医療器具を設置しないこと。注射器を見ただけで不安になる飼い主さんもいらっしゃいますので、猫にもその緊張感が伝わらないように配慮しています。

初診ではどのように診察が進められていくのでしょうか。

当院はセカンド・オピニオンで来院される飼い主さんが多く、病気が良くならなかったり、今まで通っていた病院に不安を感じていたり、とても緊張された状態でおいでになります。まずは、飼い主さんにリラックスしていただくために問診を行います。猫の性格から家族構成、どのような治療をしてきたのか、どんな薬を飲んでいたのか、など。ですので、最初に猫を診ることはありません。理想の診断は猫の鼻先から足のつま先まで診療することですが、その子の性格によってはすべて診られないこともあります。そのため、問診が大切な判断材料となるのです。それから、診療計画で重視していることは、その子の生活環境です。同じ症状の子でも生活環境によって、薬の処方も変わりますし、飼い主さんが治療に求めている内容でも治療方法は変わっていきます。何が良くて何が悪いのか、ということではなく、猫も飼い主さんも幸せになる治療のためには、問診をじっくり行うことが必要なんですね。

光線温熱療法も導入されたそうですね。

はい。主に小動物の悪性腫瘍を直接治療することを目的とした機器「スーパーライザー」を導入し、光線温熱療法が可能になりました。光線温熱療法とは、がん細胞に反応する薬液を使用し、活性酸素によりがん細胞を直接的に壊死させる光線力学療法と、がん細胞を熱により退縮させる温熱療法を組み合わせた治療法です。現在の腫瘍に対する治療は、外科手術や抗がん剤を使用する化学療法、放射線療法が大きな3本柱になっていますが、光線温熱療法は第4の侵襲の少ない新たな治療法として注目されています。部位にもよりますが、全身麻酔を使わずに使用できるケースが多く、負担が少ないのが特徴です。手術や放射線療法をしたくない、多量の抗がん剤を使用したくない、何度も手術をして再発で困っている、高齢のため麻酔がかけられず局所的治療しか選択できない場合など、お困りの場合はご相談ください。

アジアで2件目に国際猫医学会のゴールドレベルの認定を取得した信頼と実績を持つクリニック

2013年にISFM(国際猫医学会)のゴールドレベル認定を取得されたのですね。

国際的な学会に所属し世界的な猫の医療に関する情報や症例を把握することは、国際基準で当院がどのレベルの診療ができているのか客観視できるのです。ありがたいことに、ISFM(国際猫医学会)のゴールドレベルの認定をいただきましたが、これからも世界の猫の医療において、私たちがどの位置にいるのかを知り、足りないところは勉強をし続けていきたいと思っております。ISFMの学会は毎年2回開催されており、私が参加できない場合はスタッフの獣医師に参加してもらっています。

開業後、1年半というスピードで国際レベルの猫専門の医療機関となられました。今後の展望をお聞かせいただけますか。

私の目標は、“世の中のすべての猫が安心して暮らせる社会”を実現することです。そのために目の前にある目標を一つ一つクリアしております。現在の目標の一つは、野良猫のための医療機関を設置することです。当院は現状として、野良猫を受け入れていないわけではなく、万が一、その子が感染病を持っていた場合、他の子たちに感染してしまう可能性を懸念しています。そこで、現在のクリニックではなく別の場所に野良猫を専門とした医療機関を新しく設置し、飼い主のいる猫ちゃんも野生の猫ちゃんも安全に通院できるクリニックをめざしております。それから、もう一つの目標は、当院が猫や飼い主さんにとって情報交換や最新情報を発信する場としてご活用いただくことです。ワンちゃんの飼い主さんは散歩中やそれ以外にも情報交換をする場が多いのですが、猫ちゃんの飼い主さん同士で交流する機会はほとんどない状況です。今後は、猫に関するさまざまなセミナーを当院で主催し、最新の情報をお伝えしていきたいと考えております。その一歩として、SNSで情報を発信したところ、大きな反響をいただき、多くの方々が猫の最新情報を求めていらっしゃるということを再認識しました。世の中の猫が幸せになるために、当院ができることを提供させていただきたいと思います。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

猫は本能で病気を隠してしまう動物ですので、猫ちゃんが少しでもいつもと違うと思ったら、病院で診察を受けてください。そして、猫ちゃんとスキンシップすることはとても大切です。信頼関係が深くなるだけではなく、少しの体調の変化にも気づいてあげられるようになります。猫も人間と同じように病気は早期発見、早期治療が大切です。若い猫ちゃんは1年に1回、ご年配の猫ちゃんは半年に1回の健診をお勧めします。

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