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佐藤 恵美 副院長の独自取材記事
ピースどうぶつ病院
(府中市/北府中駅)
最終更新日: 2024/04/15
北府中駅から徒歩11分、府中街道沿いというわかりやすい立地にある「ピースどうぶつ病院」。佐藤恵美副院長が夫でもある佐藤健太郎院長とともに2008年に開業したクリニックだ。院内には絵が得意なスタッフが描いたという歴代の看板犬・看板猫たちのイラストが並び、アットホームな雰囲気が漂う。クリニック名の由来でもある「Peace of Mind(心の平安)」を何よりも大事にしていて、飼い主と動物たちの気持ちに寄り添いながら診療を行っている。個性が異なる2人の獣医師がいるからこそのメリットや、長くペットと暮らすためにはどんな点を注意すればいいのかなど、さまざまな話を聞いた。(取材日2024年3月26日)
2人の獣医師が丁寧に診療
まず、獣医師をめざしたきっかけやご経歴を教えてください。
子どもの頃から動物が大好きで、カエル、イモリ、ハムスター、小鳥などさまざま生き物を飼っていて、どうしても病気になってしまう子もいました。動物病院へ連れて行ったのですが、治らないことも……。「自分で治せたらいいのに」という思いが獣医師をめざしたきっかけだったと思います。院長とともに学んだ麻布大学を卒業後は川崎市内の動物病院で幅広く研鑽を積みましたが、出産を機に開業を考えるようになりました。院長は岩手、私は千葉出身とお互い実家が遠く頼るのは難しかったので、子育てのためには時間の融通が利く開業医のほうがいいだろうと考えたんです。そんな時、この場所と出会い、景色が良くて府中街道沿いというところも気に入って2008年に開業しました。
こちらではどのような診療をしていますか。
犬、猫を中心としてごくたまにハムスターやモルモットなどを診ることもあります。病気やけがの治療、不妊手術などを行っていますが、特徴の一つは院長が日本獣医循環器学会に所属している点です。聴診で心雑音や不整脈があったら必要に応じて、心電図や心エコー検査などで詳しくチェックするようにしています。特に高齢の動物は聴診で異常が見つかる確率も高く、心臓の問題を放置しているとある日突然に亡くなってしまう例もあるので注意が必要です。また、不妊手術も全身麻酔をかけるので、当院ではリスク回避のために必ず血液検査と心電図で術前に問題がないか確認するようにしています。
2人の獣医師がいるからこそのメリットはどんな点ですか。
迷った時に相談できるのは大きなメリットだと思います。ダブルチェックできるので、より安心感のある医療を提供できているのではないでしょうか。女性獣医師、男性獣医師がそろっているのも長所だと思います。なぜか、ワンちゃんは院長のほうが言うことをよく聞く子が多いんですよ。やはり、群れの動物だからでしょうか。院長のことを「この人がここのリーダーだ」と認識しているのか、大人しくしてくれる子が多いです。一方、猫ちゃんは女性獣医師のほうが打ち解けてくれる傾向があります。もちろん、個体差もありますが、できるだけ犬は院長、猫は私と役割分担できるというのも、個性が違う医師がそろっているからこそできることですね。
飼い主と動物の安心を大切にしたコミュニケーション
副院長先生は猫とのコミュニケーションが得意と伺いました。
最初は怖がって暴れる猫ちゃんもいますが、遠慮せずに連れてきてください。新米獣医師の頃はシャーシャー威嚇されればやはり怖かったものですが、代診先の動物病院の先輩獣医師がいわば猫マスターだったんです。そんな先輩のもとでしっかりと学べたので、コミュニケーションスキルはかなり磨けたのではないでしょうか。猫ちゃんを診るコツは怖がらせないことだと考えています。逃がしては駄目ですが、抑え込みすぎるとかえってパニックを起こしてしまうので、気持ちに寄り添って、やわらかく適切な力加減で接するのが大事かと思います。
動物の年齢ごとに注意していることはありますか。
病気の早期発見のため、若い頃から年に1回程度の血液検査を含む健康診断をお勧めしています。特に異常がない場合でも、正常値には個体差が非常に大きいものもありますので、若く元気な頃のデータの蓄積は後々とても重要になってくるのです。6歳頃からのシニア年齢にさしかかってきた子には、半年ごとの定期健診をお勧めしています。犬も猫も1年に約4歳ほど年を取るといわれているので、半年ごとでも人でいえば2年に1回のペースということになります。一方、これから成長していく子犬にとっては、病気の予防はもちろんですが、社会性を身につけることもとても重要です。当院では生後5ヵ月以内の子犬たちを集めて社会化を促す「パピーパーティー」というイベントを不定期ですが開催しています。子犬への接し方やお手入れのコツなど、いろいろとお伝えできることがありますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。
診療で大事にしていることは何ですか。
開業当初からずっと、飼い主さんにも動物たちにも「安心して来て、安心して帰ってほしい」という思いでやってきました。ただ、動物には言葉は通じませんから、態度や触り方をなるべく優しくして、少しでも不安を取り除くようにしています。一方、飼い主さんにはできるだけわかりやすく詳しく説明するようにしています。そうすることで飼い主さんの不安が和らげば、それは動物たちにも伝わり、相乗効果があると思っています。何よりも、動物たちには病院が怖い場所ではないと思ってほしいので、飼い主さんには「普段のお散歩の途中でも、ぜひ立ち寄ってください」とお伝えしています。動物たちに当院を「おやつをもらえる楽しい場所」と認識してもらえれば、いざという時の受診もとてもスムーズになりますので。
犬や猫の眼科や歯科にも力を入れている
今後の展望についてお聞かせください。
私自身、アトピー性皮膚炎だったということもあり、動物たちの皮膚の病気に関心があります。やはり、かゆいのはつらいですから治してあげたいと思うんです。また、最近は眼科の症例も増えてきました。開院当初から診てきた子たちも高齢になってきて、目の病気を抱えているケースも少なくありません。今後は超音波検査装置なども活用し、より詳しい検査もしていきたいと思っています。また、やはり、高齢になってくると多くなる歯周病なども普段のお手入れや定期的なスケーリングでケアできるので、お勧めしています。
お忙しい毎日かと思いますが、休日はどうお過ごしですか。
よさこいが好きで、かれこれ15年ほど続けています。かつては、地元の大きなチームに入っていて府中の大会で優勝したこともあるんですよ。残念ながらそのチームは解散してしまったので、今はまた新しいチームで活動しています。よさこいに夢中になったのは、院長の地元でよさこいイベントをたまたま見たのがきっかけでした。男性の踊り手は大きな旗を持ったりしてかっこいいので、一緒にやろうと誘ったこともありますが、全然興味がないみたいですね(笑)。夫婦で共通している趣味はスノーボードですが、時間ができたらまた行きたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
どんな小さな不安でも、どうしたら取り除いて差し上げることができるのかと、いつも考えてきました。「こんなことを聞いたらばかにされてしまうかも」という心配はありません。少しでも気になることがあるならば、遠慮せずにお話しください。もちろん、元気に見える子にも潜んでいる病気を見つけ出すのが私たちの仕事ですが、飼い主さんの違和感をきっかけに、大事に至らずに済む子も少なくありません。そうとはいえ、動物病院が病気になった時だけ訪れる場所では、飼い主さんも動物も緊張してしまいますよね。毎日の生活の中で、楽しみに訪れる場所として親しんでいただければと思っています。