戸塚駅から徒歩10分。静かな住宅街にある「塚越動物病院」は、20年以上の長きにわたり地元の人たちに頼りにされてきた地域密着型の動物病院だ。動物に深い愛情を注ぎ、獣医師が「天職」と話す塚越均院長は、治療の選択肢を広げようと、鍼灸などの東洋医学や代替療法を動物の治療に積極的に取り入れている。その柔和なお人柄は、飼い主だけでなく、動物たちにも慕われているようで、患者の柴犬が飼い主の気づかぬ間に家を抜け出して病院に遊びに来たエピソードもあるほど。今後は人と動物が共生・共存できる社会づくりに貢献していきたいと抱負を語る塚越院長に、診療のこと、獣医師をめざしたきっかけ、4人のお子さんたちのことなど、たっぷりお話を伺った。
(取材日2012年3月16日)
―こちらは20年以上の歴史がある動物病院だそうですね。
平成元年からのスタートですから、もう23年経ちます。戸塚は小学生の頃からの住み慣れた街ですが、本当は一番開業したくない場所だったんです。私の小さい時のことを知っている人もいますし、中学校時代の友人もたくさんいますので、「あいつが獣医師に?」なんて言われるのは照れくさいじゃないですか。ですから戸塚ではない場所で開業しようと、開業の1年くらい前から横浜市内のほかの地区や鎌倉などで物件を探したんですが、なかなかいいところが見つからなくて。やむを得ずタウンページで探した不動産屋に問い合わせたところ、現在の場所を紹介されました。開業当初は、子どもの時の知り合いが来ることもありましたが、もう20年も経ちましたから、さすがに今は私の子ども時代を知らない飼い主さんの割合のほうが多くなりました。
―この20年で動物たちを巡る環境や飼い主さんの考え方もずいぶん変わったのではないですか?
20年前は今と比べると、病気の予防に対する意識が低かったと思います。私は勤務医時代を東京や横浜市金沢区の病院で過ごしたのですが、ここに移って開業した当初は、フィラリアに感染している犬がこんなにも多いのかとびっくりしたことを覚えています。ワクチンについても、狂犬病のワクチンは打っているけれども、ほかの例えばジステンバーのワクチンを打っているワンちゃんはまれでした。最近は予防意識が高まったのはもちろん、下手をすると、私たちよりも獣医学に詳しい、海外の学術文献を読んできたのかと思ってしまうような飼い主さんもいらっしゃいます。インターネットが普及したからだと思いますが、日本でまだ承認されていない治療薬や治療法について質問されて驚くことがあります。
―ペットの健康管理のために日頃気をつけたほうがいいことはありますか?
ワンちゃんであれば散歩や食事の際に排泄の状態を確認したり、ブラッシングした時に目の色や耳の中の様子を確認するなど、その子がいつもと同じ状態であるのかを日頃からチェックすることを心がけていただきたいと思います。そうやって健康な時の状態を飼い主さんがきちんと把握しておけば病気の早期発見・早期治療につながりますし、何かあった時に電話でのやり取りで、緊急性を要するかどうかの判断がある程度できるというメリットもあります。
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