都営新宿線篠崎駅または端江駅から京成バスに乗り「スポーツランド入口」で下車。徒歩2分程で、「クロス動物病院」の看板が見えてくる。一軒家の院内は20年以上の歴史を感じさせるレトロな雰囲気が漂い、ほっとする空間が魅力。黒須幸雄院長は「地域のホームドクター」として、長年犬・猫など小動物を中心に一般診療や健康管理に当たってきた。近隣住民だけでなく、以前、江東区亀戸で開業していた当時の患者も通い続け、時には往診の依頼を受けるなど、飼い主との信頼関係は深い。大学病院で外科・内科の研究生として経験を積み、高い技術を持つ黒須先生に、治療スタンスやこれまでの思い出に残るエピソードをお伺いした。飾り気ない言葉の中に、黒須先生の動物へ愛情を感じる取材となった。
(取材日2013年3月19日)
―先生のご経歴をお聞かせください。
大学卒業後は大学院に進み、その後、内科研究生となりました。1980年からは東京大学の外科で研究生として学び、勤務医も経験。1983年に自分の出身地である江東区亀戸に開業したのが当院のルーツです。そこは貸店舗だったので大家さんの都合で転居することになり、どこか良さそうな場所を探して、1990年にこちら移りました。来た当時は静かだった篠崎駅もずいぶん賑やかになりましたね。
―患者さんはどんな方ですか?
近隣にお住まい方がメインで、動物はダックス、シーズー、マルチーズ、ヨークシャー・テリアの小型犬からゴールデン・レトリバーといった大型犬まで様々ですね。そのうち猫の診療が半分ほどになりますでしょうか。トータルになんでも診るホームドクターとしてご利用いただいていますので、鳥、ハムスター、うさぎも診ますが、猿はちょっと苦手(笑)。定期的に健康診断に来られる方も多いですね。亀戸時代の患者さんからはご依頼をいただくと、僕の方から往診にも伺いますので、飼い主さんとは10年、20年のお付き合いで、ペットも3代、4代と診ています。以前は、江東区獣医師会に所属していたこともあり、今でも江東区の獣医さんからのご紹介で来られる方も珍しくありません。
―どんなご相談が多いですか?
昔は交通事後などでの骨折が多かったですが、最近はアレルギーによる皮膚病の子も増えています。下痢や嘔吐や食欲不振などの消化器症状を表す病気、ペットも高齢化してきたことに伴ってやはり様々な腫瘍も多くなっています。消化器症状も、お薬の治療で良くなっていくものが多いですが、中には同じような症状であっても手術が必要になってくるのもありますので、注意が必要ですね。
―治療の際に心がけていることを教えてください。
まずは、病気が何かをしっかり診ることです。長年経験があるからこそ、決して思い込みをしないように慎重に診断しています。その上で、考えられる治療法は全て提案し、検査や処置についても、やるやらないを患者さんと相談して決めていきます。高度な治療は危険性を伴うものもありますし、費用面についてもご説明し、疑問や不安などには細かくお答えしています。動物はその子、その子によって個性がありますから、それに合わせた対応も心がけています。猫だったら、気持ちを他に持っていくように上手に誘導するように心がけています。どうしても不安が先行してしまい、触らせてもくれない子ならネットに入ってもらうなど工夫をしています。動物の気持ちを「こうじゃないかな」といつも推測して向き合っているものの、本当のところはどうなのわからないですが、気持ちが通じ合うことはあるんですよ!
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