土居 仁彦 院長の独自取材記事
ドギーズアイランド 渋谷松濤動物病院
(渋谷区/渋谷駅)
最終更新日: 2024/02/28
静かな住宅街の他に、ホールや美術館といった文化施設も点在する渋谷区松濤エリアにある「ドギーズアイランド 渋谷松濤動物病院」。同院が入る7階建ての複合型施設内にはグルーミングサロン、ペットホテル、一時預かりから、1泊、長期プランにも対応している介護、フィットネス、トレーニングなどを実施する併設施設があり、病院と連携したサービスを受けることも可能だ。院内は、動物の安心・安全と飼い主の居心地の良さに配慮した、清潔かつスタイリッシュな空間が広がっている。先進設備を導入し、動物と飼い主の健康で幸せな暮らしを支えているという。「多様なケアサービスが連携することで、動物たちの健康を維持するのに役立つさまざまな相乗効果も期待できます」と話す土居仁彦院長に、同院の特徴やめざす獣医療などを聞いた。(取材日2024年1月29日)
多様なサービスと連携し動物と飼い主の日常を支援
2023年12月に開院されたばかりだそうですね。
ええ。当院のほか、目黒区の学芸大学、世田谷区の松陰神社前の2ヵ所にも、当院と同じようなコンセプトの動物病院を2023年12月に同時オープンしました。当院が属するグループ会社はこれまで、動物とご家族に非日常を提供してまいりましたが、今回オープンした3院では、多様な施設を併設し、医療を軸とした質の高いペットケアで、動物とご家族の日常を支えることをめざし努めているのです。
こちらの動物病院ならではの特徴を教えてください。
当院は複合型施設の1、2階に入っているのですが、この施設内にグルーミングサロンとペットホテル、一時預かりから、1泊、長期プランまでを行う介護、フィットネス、トレーニングなどを実施する併設施設があり、当院と連携した各種サービスを受けていただけるような体制を取っています。各フロアに高い専門性を持つスタッフが集結しており、連携を取りながら動物とご家族がより良い日常を送るためのサポートに尽力しているのです。それぞれの視点から動物とご家族を見守ることで、さまざまな相乗効果が期待できると考えています。
さまざまな施設が一拠点に集まることでの相乗効果とはどのようなものでしょうか。
アドバイスにとどまることなく実践へとつなげやすくなります。例えば、無駄吠えや噛みつきがある若いわんちゃんに対して、動物病院ではトレーニングをお勧めすることはできても実践までは困難です。また、老齢になると寝たきりにならないように、適切な運動を日常に取り入れることが重要ですが、動物病院でできることは「できるだけ運動を」という漠然としたアドバイスにとどまってしまいがちです。それぞれの施設と連携することで、幼少期から壮年期、老年期と、ライフステージに沿ったさまざまなニーズに、適切なタイミングで必要なサービスにつなげられるよう努めています。
長生きが当たり前の時代に、健康寿命の延伸をめざす
こちらで提供している診療について教えてください。
特定の分野に特化した高度医療ではなく、日常に密着した一次診療を提供するのが当院の役割だと考えています。エックス線撮影装置や超音波検査機器など基本的な機器を一式そろえ、日々の診療に努めています。ちょっとした体調不良はもちろん動物と一緒に暮らす中での小さな気がかりや、病気とまではいかない異変などを気軽に相談していただける場所でありたいです。もし高度医療が必要となると判断した場合は、適切な施設へと速やかにご紹介しているのでご安心ください。また、普段の健康管理から治療まで一貫した対応ができるように、病気にならないための予防医療にも注力しています。フィラリアやノミ・マダニなどの予防や避妊・去勢手術に対応し、体調変化に早期に気づくための健康診断はさまざまなコースをご用意。当院は犬猫ともに15歳まで生きるのが当たり前という長寿の時代に、病気を予防して健康寿命を延ばすことをめざしています。
動物の介護施設というのは珍しいように感じます。
動物の寿命が延びていることに伴い、残念ながら寝たきりとなるケースや、ご家族も高齢となり動物の介護が難しいケースが少なくないのが現状です。しかし、一般的なペットホテルでは高齢犬の預かりは断られることがほとんど。そんな問題を受けて、当院に併設する介護施設では、月単位・週単位の預かりから1日単発のデイケアまで、高齢犬や持病のある動物をお預かりしています。24時間スタッフが常駐し、獣医師も見守る体制なので、安心して預けていただけるでしょう。また、フィットネス施設との連携により、より良い状態での自宅復帰をめざしたり、長期滞在中には定期的なグルーミングでお尻回りなども含めて清潔を保ったりという対応も実施しています。
フィットネスはどのような目的で行うのですか。
体重を落とすことと、筋力をつけることが主な目的です。例えば、小型犬に多い膝の問題は、筋トレにより症状の進行の抑制を図れる場合もあります。当院に併設のフィットネス施設では、水中トレッドミルやバランスボールなど、先進のフィットネス機器もそろっており、適切な運動ができる環境を整えています。この辺りは都会なので、動物が思いきり走り回れる場所が少ないのに加え、近年の気候変動による極端な暑さ・寒さで外遊びを控えざるを得ず、運動不足に陥る動物も多いようです。また、ご家族がご高齢のため、十分に運動の機会を持てないというケースもあります。アドバイザーとともに楽しみながら日常の運動不足を効率良く解消していただければと思っています。
各施設との連携で動物の健康をトータルサポート
こちらでは、各施設との連携を動物たちの健康に役立てているのですね。
そうですね。例えば一見医療とは関わりのないように思えるグルーミングは、実は動物たちの健康維持に大きく寄与します。「健康な動物は美しい」といわれるように、体の不調は見た目にも現れます。グルーミングスタッフは動物たちと日常的に触れ合うようにしているので、普段と異なることがあればすぐに気づき、皮膚疾患などの病気の発見につながるケースも多いですね。
トレーニングはどのように動物の健康に寄与しているのでしょうか。
噛む・吠えるといった、いわゆる問題行動の裏には動物たちのストレスがあるといわれています。ストレスがある状態をそのまま見過ごすことは、健康にも良くないでしょう。ですから当院に併設しているトレーニング施設では、主に若年個体を対象に「社会化」をキーワードに問題行動にアプローチしています。人や他の犬との間に信頼関係を築けるように、そして上手に社会で暮らしていけるようにトレーニングしているのです。この社会化がうまくいけば、動物もご家族もストレスが少なく快適な暮らしにつなげられると考えています。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
私自身、たくさんの動物たちと暮らし、動物の体調が悪くなると自分も家族も落ち込むという経験が身にしみています。病気の大小を問わず、動物の不調はご家族にとって深刻なものです。永遠には生きられない限りある命だからこそ、関わりを持たせてもらい「ここに来て良かった」と言っていただくことに大きな喜びを感じます。当院はまだオープンしたばかりですが、熱意あるスタッフが動物にもご家族にも居心地の良い空間をつくっていると自負しています。歯磨きや自宅でのお手入れに関するセミナー、子犬たちの社会化をめざすパピーパーティーなど、各スタッフが専門性を持ち寄った企画も定期的にご提案しています。喜びも苦しみもともに分かち合える関係性で、動物たちの生涯をサポートしていきたいと考えていますので、まずは一度足をお運びいただきいろいろとお話を聞かせてください。
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