古守 悟 院長の独自取材記事
中田動物病院
(横浜市青葉区/たまプラーザ駅)
最終更新日: 2024/08/06
たまプラーザ駅からバスで5分の場所にある「中田動物病院」。リニューアルしたばかりの院内は、清潔感のある広々とした空間が広がっている。院長の古守悟先生をはじめとする7人の獣医師は、5つある診察室で総合的な治療を行っている。同院の強みは、複数の獣医師が異なる角度から検討をするチーム医療と、さまざまな設備や機器を備えた診療体制にある。動物医療はスピードが求められるケースも多く、院内で治療を完結できるメリットは大きいという。また、困った時にすぐ診察してもらいたいという飼い主のため、予約制を取っていないそうだ。真摯なまなざしと、リラックスしている時の満面の笑みが印象的な古守院長に、同院のモットーや特徴などについて話を聞いた。(取材日2024年6月21日)
医療の質の向上のためチーム医療を実践
古守院長が獣医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?
生まれてからずっと犬が一緒にいる生活でしたので、物心ついた時には獣医師になりたいと思っていました。家族や親戚に獣医師はいませんでしたが、自然と獣医師をめざしていましたね。それくらい動物が好きだったんです。大学卒業後はすぐに「中田動物病院」に勤務しました。大学では病気を治すためにさまざまな勉強をしてきましたが、実際現場で働いてみると、飼い主さんの気持ちをくみながら動物たちの病気を治していく難しさ、そしてやりがいも感じましたね。それから1999年に副院長、2016年に院長になりました。当時は勤務医になってから開業するのが一般的で、私のように勤務医の後に引き継ぐというケースは珍しかったと思います。
こちらの動物病院のスタッフについて教えてください。
獣医師は私を含めて7人います。専門性の高い診療に精通する獣医師もいますが、当院の特徴は「総合臨床」なので、一人ひとりがさまざまな分野に対応できるよう心がけています。二次診療とまではいきませんが、一次診療と二次診療の中間にあたる医療まで対応するといった感じで、普段の診療において大学病院を紹介することなく当院で完結できるよう常に考えているんです。7人で順番に診療していますが、指名していただくこともできます。指名がない場合は、円滑に診察できるよう私が調整しています。また、診療の補助などを担当するスタッフのほとんどは愛玩動物看護師という国家資格を取得済みです。愛玩動物看護師の仕事は幅広く、法律で許されている範囲の補助業務すべてを担当してもらっています。具体的には受付や診察助手、手術助手、グルーミング、しつけ教室などですね。
チーム医療に注力されていると伺いました。
チーム医療は当院の伝統として、長い間継続しています。1人で診療していると、自分の判断が正しいと思い込むようになってしまう可能性があると思います。しかし、他の獣医師に相談することで異なる角度から診られるようになり、他の病気や手段を検討しやすくなるでしょう。それに気づく機会をつくるという意味で、チーム医療は重要だと感じています。例えば当院では、後輩の獣医師が困っていると、先輩はそれを見逃さずすぐに助けに入ります。獣医師だけでなく、診療の補助を担当するスタッフも含め、全員でカバーする体制ができているんです。また、診察を開始する前と後には、全員でミーティングをしています。難しい症例の場合はみんなで集まり、ケーススタディーを行うこともあります。なお、当院はチーム医療の強みを生かし、セカンドオピニオンにも対応しています。
先進の設備を備えた専門性の高い診療
どのような動物や疾患に対応されることが多いのですか?
当院は犬と猫はもちろん、うさぎ、ハムスター、フェレットなども診察しています。一方、鳥や爬虫類には対応していないため、他の動物病院を紹介しています。疾患でいうと、当院は総合的な診療を提供していることから、各科問わずさまざまな理由で来院されますね。この地域には動物を大切に思う気持ちや、より長く一緒に過ごしたいという考えから、動物医療に積極的な飼い主さんが多いように感じます。また「できることはやってあげたい」という方も多い印象です。私たちはそういった飼い主さんの思いや不安に寄り添い応えるため、可能な限り負担を軽減したり、綿密なコミュニケーションを取ったりするよう努めています。当院は予約制ではありませんので、何か困ったことがありましたらすぐにいらしてください。
設備についても教えてください。
リニューアルに伴い、専門性の高い医療にも対応できるようにするため院内設備を整えました。エックス線装置は新しいものに替え、高速で高品質な画像を撮影できるようになりました。その他、オトスコープと呼ばれる耳の内視鏡を導入したり、手術台を広げたり、無麻酔でのCT検査を実施できるようにしたりしています。これでほとんどの症例は当院での完結をめざせるでしょう。このように環境を整えたのは、動物医療は時間の余裕が少なく、紹介していたら手遅れになってしまうケースが少なくないことを考慮したためです。ちなみにその分診療数が多くなり待ち時間が多少長くなると考え、リニューアル時に診察室を5つに増やし、待合室を広くして、ゆったり待っていただけるようにしました。
特に力を入れていることはありますか?
大学病院で行うような手術もしていますが、「得意な分野や専門は何ですか?」という質問には、いつも「特にありません」とお答えしています。得意なものを言うとそこに注目されてしまいますが、それはすべての疾患を総合的に診療することを心がけている当院の理念に反します。何でも診られて、初めて動物病院といえるのではないかと私は思っているんです。建物やホームページなどのリニューアルに伴い、「動物たちの健康と幸せのために、私たちもともに」という新たなモットーを掲げました。その言葉どおり、動物と飼い主さんが元気で仲良く暮らせることが私たちの願いです。そのお手伝いをするためには何をすべきか、スタッフ一人ひとりが考えて行動してくれています。
新しい知識や技術をアップデートし、動物の健康を守る
その他にこちらで行っていることを教えてください。
入院管理のため、深夜もスタッフが動物たちを見守っています。もともとは24時間365日体制だったんですが、労働環境の見直しにより現在は夜間当直制を取っています。また動物介在活動にも携わっており、月2~3回、老人ホームでの犬・猫との触れ合いと、障害者の方に馬に乗ってもらって自己啓発をする障害者乗馬のサポートを行っています。それらは社会貢献の一つとして、ずっと続けていきたいと思います。他にはトリミングやグルーミングも行っています。ペットショップでは受けてくれないことも多い、高齢の動物でも大丈夫です。獣医師の視点を生かしたしつけ指導も、週2回行っています。飼い主さんが思っている問題行動や日常生活での希望を具体化して、指導していきます。
日々の診療で心がけていることはありますか?
飼い主さんはつらい気持ちで来院されるからこそ、帰る時には少しでも気持ちが明るくなってもらえるよう心がけています。具体的には、病名だけを告げるのではなく、「こうしたら少しは楽になりますよ」など気持ちのフォローをしています。診察時間を長めにとって、飼い主さんと話をするようにしているんです。また、先進の獣医療を身につけるため、年に2、3回海外へ行き、新しい技術の習得にも励んでいます。新型コロナウイルス感染症の流行以降は、得意分野がある獣医師が積極的にインターネットで発信するようになりましたし、おのおの出席したい勉強会にも参加しています。院内では週2回、製薬会社で働く獣医師が来て、薬に関する勉強会やランチョンセミナーを行い、知識をアップデートしています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
当院のスタッフは、常に新しい知識や技術を得て、議論したり検討しながら診療を続けています。毎日同じことの繰り返しになりがちですが、妥協をせず、わからないことがあれば人に聞くようにするなどして意識を高めています。全員が少しずつ進化すれば大きな変化になると信じています。また、そうなるような環境を整えるのが私の役目だと思っています。当院では総合臨床を大切にしているため、技術面でもハード面でも皆さんのお役に立つ自信があります。予約も必要ないので、困ったことがあればすぐに来てください。話を聞くだけでも結構です。スタッフ一同、動物たちの健康を守るためのお手伝いをさせていただきます。