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上田 裕 院長の独自取材記事

麻生獣医科医院

(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)

最終更新日: 2023/01/22

新百合ヶ丘にある麻生獣医科医院の第一印象は、「おしゃれなカフェ」。外観も待合室も病院特有の威圧感がなく、オーナーの穏やかな人柄がそのまま建物に出ているようだ。「丁寧にわかりやすく話をしてもらえる」と評判の上田裕院長にお話を伺った。(取材日2007年2月26日)

僕は、あれもこれも言いたいんです(笑)

建物の外観がカフェのようですね?

見てのとおり看板が小さい病院なので、けっこう皆さん病院の目の前で「場所がわかりませーん」という電話をかけてこられるんですね。2階のテラスに出て「後ろ向いてくださーい」と手を振るような感じで応対するんですけど(笑)。あんまりゴテゴテはしたくないな、というコンセプトでこの病院は建てました。例えば、だいたいどこの病院の待合室にも「・・・・・・を予防しましょう」というようなポスターが、所狭しと貼ってありますよね。でもここの待合室にはないんです。サービスの面で言えば、多分それはマイナスなんですね。ポスターのある待合室というのは、勉強のひとつの場でもあるわけですから。でも敢えて、僕は口でその内容をしゃべろうかな、と。ですから病院も、基本的には予約制なんです。予約制にする理由は、待合室での院内感染が怖いというのと、ワンちゃん、猫ちゃんが待合室で一緒になってしまうと興奮してしまって、いざ診察するときにきちんと診られないようなことが起こらないようにしたいからです。そして、なによりゆっくりと飼い主さんと話したいんですね。待合室に次の患者さんが待っていると、こちらもあせってしまいますからね。それをヒシヒシと感じながらしゃべっていると、落ち着いて言いたいことも言えないんですよ。僕は、あれもこれも言いたいんです(笑)。

救急の対応もしていらっしゃるとお聞きしましたが。

そうですね。例えば、うちは夜でも留守番電話にしていないんですよ。以前は留守番電話にしていたんですけれど、朝起きて録音を聞くのが怖いんですよね。留守番電話に「先生!大変なんです!連絡お待ちしています!」というメッセージがあったのが午前1時でも、聞くのは朝になってしまいますから。だから自宅にいるときには、夜遅くても電話に出れるときには起きるまで鳴らしてくれれば電話に出ますから、というスタンスにしているんです。外にいるときでも、病院の電話を携帯に転送するようにしています。この病院は、基本的には僕が診たい病院なんですよ。今は他に若い先生が4人いますけれども、僕はすべてに首を突っ込みたいんです(笑)。ここに来ていただいている人は、僕に見てもらえるだろうと来ているのだから、その期待を裏切ることができないんですよね。

朝の3時から夜の8時まで

小さい頃のお話を聞かせてください。

もうほとんど帰宅部でしたね。帰って「3時のあなた」を見るのが楽しみ、という子供でしたから(笑)。海が近かったので、中学生になって釣りに一人で行けるようになってからは、休みの日は一日中釣りをしていましたね。今思えば、よくも飽きないなというくらい。朝の3時から夜の8時くらいまでいましたから(笑)。

獣医を目指されたキッカケは?

ケーキ作りも好きだったので、雨が降ったらケーキ作りの本を見て、台所でゴソゴソ作っていました。だから高校生の進路を決める時期にも「ケーキ職人になろう」と思って専門学校のパンフレットを集めていたんですよ。いつかはフランスに修行にいくつもりでした。そしたら、それを見た僕の親が「他にはない?」と言ってくれまして。じゃあ動物も好きだし獣医師になろうかな、と(笑)。もともと病院の雰囲気というのが嫌いじゃなかったんですよ。子供のころから「お医者さんってカッコいいな」という思いもありましたしね。

獣医になられて20年ですね。

そうですね。以前とは全く違った考え方を持っていないとやっていけませんね。昔の常識が、今では非常識になってしまいますから。しつけ教室も昔は僕がやっていたんですが、あっという間に「僕の認識は古い」ということになってしまいます。ワンちゃんが粗相をしたときに、昔の「引っ張っていって、鼻をこすりつける」なんていう方法は、今ではナンセンスとされます。今は違う方法がたくさんあるんですよ。だから、現在はしつけ教室にはプロのトレーナーに来て頂いています。みなさん、疑問や不満があるんだけれども、「しつけ教室」に通うまでには至らない。でもやはり種が違いますから、うまくコミュニケーションをとるのが難しいんですよ。人間のように接することが、ワンちゃんの世界ではマイナス面になる場合も多いんです。例えば、飼い主さんがごはん食べているときに、ワンちゃんがそばに来て欲しがるから、食べ物をあげるとしますよね。みなさん「食べてるとこの子が『ちょうだい』って言うんですよ。だからかわいそうで、ついつい」と、おっしゃるんですけれど・・・。

そうですね(笑)

人間の世界では、与えたほうが<上>で、もらったほうが<下>ですよね。でも動物の世界では、逆になるんですよね。つまりボスが「よこせ」と言って、<下>のものが「献上」する、という形ですね。そういう風になってしまうと、飼い主さんがしつけをしたくても、動物側から見れば<下>の言うことなんて聞く必要なんてない、と考えますね。だから僕は飼い主さんに「あれは『ちょうだい』と言っているんではなくて、『よこせ』と言っているんだと考えてあげれば、少しは気が楽になるんじゃないですか?」と伝えるんですけど(笑)。そういう行動の誤解、解釈の間違いというのは結構多いんですよ。ここのしつけ教室は、トレーナーが動物をしつけるわけではないんですよね。あくまで動物をしつけるのは、飼い主さんです。トレーナーの役目は、良い飼い主さんになっていただくために、トレーニングしたりアドバイスをすることですから。だから本当は「飼い主さんのしつけ教室」と書きたいくらいですが、いくらなんでも聞こえが悪いですからね(笑)。

お互いが納得できるまで話して、力を合わせて治療をしていく。

先生の考えるいい病院とは?

やはり、「話を聞いてくれる」病院ですね。動物病院では、第三者が患者の心配をしているにすぎないんですよね。病気になっている動物本人は、言葉は話せないですから。患者さんが「この仔の具合が<悪そう>だから連れてきたんですよ」と言われるんです。つまり第三者同士が話して「この仔」の具合を見なければいけない。だから最初は憶測から入るわけですよね。だから飼い主さんの抱いているイメージを伝えられるかどうかが、ある意味で糸口になります。お医者さんは、探偵であり、推理者なんですよね。患者さんに「この仔の病気はなんだ?」と言われて、謎解きをするわけです。いくつかの検査をして診断しますが、そのときの重要なヒントのひとつは、飼い主さんからもらわなければいけないんですよ。また、医者が患者を治すのではなく、僕たちの仕事は患者さん自身が治るのを手助けしているに過ぎないことを、忘れてはいけないと思います。どんなにすばらしい手術をしても、また的確な薬を処方できたとしても、患者さん自身の体が傷口を治すことをしなかったり、薬を利用することをしなければ、どんな些細な怪我や病気でさえ治すことは不可能なことと思います。言い換えれば、僕たちは健康への水先案内人またはツアーガイドのようなもので、健康という目的地を目指してより早く的確に患者さんを導いてあげることが大切であり、その為に飼い主さんの情報がとても重要になるわけです。前にあったんですが「先生、この仔の顔色が悪いんですよ」といって猫ちゃんを連れてこられた方がいたんですね。

猫ちゃんの「顔色」ですか(笑)

僕にはわからないくらいの微妙な顔つきの変化を飼い主さんが感じ取られて、そういう表現になるんです。でもそこで「顔色」なんてないよ、と終わってしまうのではなく、飼い主さんからヒントをどう引き出すかが重要なんです。それと飼い主さんが、本当にこちらが言ったことを理解してくれているか、というのも気になりますね。診察が終わったあとで「さっき僕が言ったことは、なんだったでしょう?」とテストしたいくらいです(笑)。だから僕は例え話を交えて、できるだけわかりやすいように、かみくだいて説明するように努力しています。逆に言えば、こちらにどんどん質問をしてほしいですね。僕は動物医療のプロですが、その仔に関しては飼い主さんのほうがよく知っているんですよね。飼い主さんからすると、話を聞いてもらえないと言いたいことが言えないし、治療にしてもどの治療を希望するかはそれぞれ違いますから。だからお互いが納得できるまで話して、力を合わせて治療をしていく。必要ならセカンド・オピニオンもどんどん取り入れて、みんなでベストにしていったほうがいいよね、というのが僕の考えです。

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