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大久保 雄作 院長の独自取材記事

おおくぼ動物病院

(茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)

最終更新日: 2023/01/22

茅ケ崎駅南口、東海岸北にある「おおくぼ動物病院」。院長の大久保雄昨先生は、「犬や猫が怖がるので、白衣は着ないことにしているんです」とラフな格好で診察をしているという。優しい色合いの外観と、木の温もりを感じさせる内装にも、患者やその飼い主がリラックスできる雰囲気づくりを心がけていることがうかがえる。「大切なペットの健康管理を任せていただいている以上、できることは何でもしたい」と語る先生は、正しい情報提供と最適な治療を行えるよう、日々勉強を続けている真摯な姿勢が印象的なドクター。現在の診療方針から将来の展望などじっくりと話を聞いた。 (取材日2015年1月7日)

ペットの健康を見守る、ホームドクターでありたい

まずは先生の診療においてのポリシーをお聞かせください。

飼い主の皆さまから任されたペットの健康管理をしっかり全うする、ということですね。飼い主さんとともに家族の一員である動物を見守っていく、その中で何らかの病気が発生したら、治せるものなのか、ずっと付き合っていかなければならないものなのか、それを診断してよりよい方向に持って行くことが私の役割だと思っています。一次診療のホームドクターとしての役割を、とことんやります。飼い主さんに「お願いします」と言われるということは、信頼して任されているわけですから、できることは精一杯したいのです。ですから休診日であっても夜間であっても、できる限り診ているというのも当院の方針ですね。

診療の対象は、犬と猫ですね。

はい。診療の対象としては、犬と猫に限らせていただいています。ハムスターやうさぎ、鳥などの動物には、専門の病院がありますので、そちらにお任せすることがやはり飼い主さんもペットも安心でしょう。私も簡単な診療はできますが、専門で突き詰めている方がいる中、半端なことはしたくないと感じてしまうので。そのような動物を連れてこられた方には、専門の獣医師をご紹介するようにしています。「どこに行っていいかわからない」という方も多いと思いますから、ご相談ください。適切にクリニックをご紹介することも、地域の獣医師として大切な仕事だと思っています。

来院するのは、どういった患者さんが多いのでしょうか。

犬が7割、猫が3割といったところでしょうか。小型犬が大半ですが茅ヶ崎という土地柄か、中型犬、大型犬を飼われる方も多いようです。多い症状としては、「よく皮膚や耳を掻いている」「毛が抜ける」といった、皮膚のトラブルで、あとは下痢や嘔吐など。ただ最近は全体的な傾向として、専門性の高い病気の疑いを持ってペットを連れてこられるケースも増えています。インターネットなどで学ばれている方も多いですから。また、私が腎臓や泌尿器、外科治療などに力を入れていることをホームページなどで知って、遠方から来院される方もおられます。加えて、当院は開業してから10年以上になりますので、開業当時から診ていた動物たちがシニア層になってきているということもあると思います。

飼い主の不安を取り除くために治療経過を公開

こちらの病院では、力を入れている治療などはありますか。また、その理由もお教えください。

腎臓と泌尿器科、それから外科治療です。もともと興味を持っていた領域だったので、開業してから麻布大学附属動物病院の先生のもとで研修させていただきました。当院で診ている患者さんが、外科手術が必要な場合や腎臓・泌尿器の病気になった場合、ここでも治療ができればいいと思っていました。大学病院に行かなくても、当院で治療ができれば飼い主さんやペットの負担も軽減できます。可能な限り当院で治療するようにしていますが、すべてができるというわけではありません。設備や獣医師の数が必要な場合や技術的に困難な場合は、大学病院などの私が信頼している先生をご紹介しています。

先生のブログには、かなり専門的に治療の経過を紹介していらっしゃいますね。

当院で行っていることや可能な治療を知っていただければと思っています。今の飼い主さんは熱心にインターネットなどから情報を集めている方が多いので、ペットの病気についてはある程度わかっておられることも多いです。そんななか「病気になってしまったけど、治すためにどこに行けばいいのかわからない」という方に向けて、専門的な治療ができることをお伝えしようと。私が発信している治療の分野は決してたくさんの動物に必要というわけではありませんが、その病気に困っている飼い主さんのために私の勉強や経験が生きれば、こんなにうれしいことはないです。ブログがきっかけで来院いただければ、早期の診断、治療につながります。また、どんなことをしている病院なのかお伝えすることが安心材料になればとも思います。ペットは飼い主さんの不安を敏感に感じ取りますから、その不安を取り除くことも大切な仕事なんです。

先生にとってやりがいを感じるのはどんなときですか?

やはり飼い主さんから「ありがとう」と言われたときですね。極論かもしれませんが、私の仕事は「どんなふうにペットとのお別れをさせてあげるか」だと思っています。残念ながら、ペットとのお別れのときは必ず来ます。そのときまで、できることは精一杯して、最後の最後に後悔しないお別れをしてほしいんです。そのために必要であれば、往診もしますし、深夜の治療もします。

先生のお気持ちが伝わってきます。

ペットと飼い主さんが、健やかに最後まで過ごすために必要なことは、なんでもしたいんです。その延長で、大学病院での研修も受けてきました。安らかにペットとお別れができた飼い主さんに「また新しい子を迎えました」と言われるのが、一番うれしいですね。私たちの仕事は、何かを作るわけではないから形には残らない。人の気持ちの中にしか残らないんです。飼い主さんに「またよろしくね。」と言っていただくことで、「やってきたことに間違いはなかった。また頑張ろう」という気持ちになれるんです。

ペットのことをよく知るために、積極的な活用を

将来的にはどうしていきたいとお考えですか。

将来の展望として、もう少し二次診療に近いこともしていきたいと考えています。個人病院なので、もちろん一次診療が中心になりますが、もう少し高度な治療も提供していきたいです。自分たちでは“1.5次診療”と言っています。そのためには、専門的な領域のことも知らなければいけないですし、技術や知識の積み重ねが必要です。そうすれば、ここでの治療が可能なのか、あるいはどういう医療機関を紹介するのが一番良いのか、治療ができなければどういうふうにその病気と付き合っていけば良いのか、そういったことが診断できるようになります。これからもさまざまな勉強をして技術や知識を身につけ、ペットや飼い主さんに還元していきたいと思っています。

多忙な毎日ですね。何か実践しているリフレッシュ法はありますか。

サーフィンです。大学の頃からの趣味で、時間を見つけては海に行っていました。ここに開業した理由の一つも海の近さです。費やす時間は少なくなりましたが、診療時間の前や診療後などにタイミングが合えば波に乗っています。ただ、獣医師自体を楽しんでいるところもあると思うんです。学ぶことも多いし、興味があることや、動物たちにしてあげたいと思うことを着実に積み重ねていく、そんな毎日を楽しんでいることに気付くと、獣医師が性に合っていると感じます。

では最後に、飼い主の方へアドバイスとメッセージをお願いします。

犬は犬らしく猫は猫らしく、擬人化せずに飼うことが大切。極端な例ですが、犬は本来の野生ではシャンプーはしませんよね。ですから散歩から帰ってくるたびに、必要以上に足や体を洗ったりすると、皮膚は乾燥してしまいます。シャンプーやブラッシングをしてあげるのは良いんですけれど、過度にすることで病気になってしまう。そうしないためには、飼っている動物のことをよく知ることが一番です。ですから、わからないことや困ったことがあったら聞いてほしいのです。それもホームドクターの役割ですから。生き物を飼って、何が楽しいと言えば言葉を介さずにコミュニケーションすることだと思うんです。私も犬を飼っているので、一人の飼い主として言わせてもらうと、そういうコミュニケーションでつながっていることがすごく快感なんです。ですからまずは相手のことをよく知って、楽しく過ごしてもらいたいと思います。

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