青木 大 院長の独自取材記事
あおき動物病院
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日: 2023/01/22
小田急線本厚木駅より車で5分ほど。自然光あふれる明るく広々とした院内で、穏やかな笑顔で出迎えてくれたのは「あおき動物病院」の院長、青木大(ひろし)先生。腎泌尿器科を専門とする青木先生のもとには、他院からの紹介や、わざわざ遠方から訪れる飼い主も多く、厚木でも定評のある動物病院だ。手術件数も年々増えているというが、どこまでも謙虚な姿勢は変わらない。「大切なのは飼い主さんの納得できる治療を行なうこと」と、丁寧な説明とわかりやすい説明で多くの信頼を集めている。開院から10年、「ようやく今まで学んだことを思うような形で提供できるようになってきた」という青木先生に、腎泌尿器科に関することから今後の展望まで、たっぷりと伺ってみた。 (取材日2015年6月25日)
目次
腎泌尿器科に突出した動物病院としてスタート
ブルーを基調にしたインテリアと木のぬくもり感がとても気持ちのいいクリニックですね。
ありがとうございます。実は今年で10周年ということもあり、そろそろクリニックのお手入れも必要かと改装を行いました。自分が「青木」という名前だからというわけではないのですが、私は昔から好きだった「青」を基調に動物にも人にもやさしい自然感のあるデザインにしてもらいました。もともと待合室と手術室は広めにとってあったのですが、診察室に関してはデジタルレントゲン導入に伴いモニターを設置したり入り口を広げたりしてより質の高い診療に対応できるようにしました。手術室は人手が必要な手術を行うこともあるので、私1人だけでなく何人かの獣医師で対応する時にも大勢でも動きやすいよう、余裕のあるスペースを確保してあります。
開院までの経緯を教えてください。
麻布大学を卒業後、7年間都内の動物病院に勤務し、一流の先生方のもとで小動物診療の基礎から学ばせていただきました。勤務医4年目からは麻布大学附属動物病院で腎泌尿器科と一般外科をされている先生について14年間勉強させていただきましたので、一通りのことは出来るようになったと自負しています。また、勤務先では股関節不全の犬が多かったという経験から、より的確な診断と治療を行なえるように、2005年にはアメリカのPennHIP(股関節診断)のライセンスを取得しました。はじめは都内で開業することも考えていたのですがなかなか自分の理想とする物件がなく、小さな頃から何度も遊びに来て慣れ親しんでいた祖母の家のある厚木で開業することにしました。昔と比べるとだいぶ田畑は減りましたが、自然と人情豊かな厚木は私にとってのふるさとでもあるので、この地で開業できたことをとてもうれしく思っています。
こちらは犬猫の腎泌尿器疾患の治療で定評のある動物病院と伺いました。
開院以来、専門分野というのはおこがましいと思いますが、私の勉強してきた犬・猫の腎泌尿器疾患や軟部外科の症例を多く手掛けてきました。具体的には尿管結石や膀胱・尿道の腫瘍、腎臓病、会陰ヘルニアなどです。うちの場合は去勢や避妊などより腎泌尿器疾患や腹部の手術の方が圧倒的に多いですね。はじめの頃は自分は町医者だし、こういうことは自分で宣伝するよりも飼い主さん同士のクチコミの方が信憑性もあっていいのではと思っていたのですが、「先生はこういう病気にも対応できるんですね。大学病院じゃないとダメかと思っていました」と驚かれる方が意外に多かったは自分としても嬉しいことでした。そのような経緯からホームページをリニューアルした際に私の得意とする分野についても載せることにしました。最近はクチコミ以外にも他院からの紹介や、ホームページをご覧になってわざわざ遠方から来られる方もいらっしゃいます。正確な情報を求めている方がいらっしゃる以上、きちんと情報を伝えていく必要があると思うので、これからもこまめに更新していきたいと思っています。
病気の早期発見は選択の幅が広がるだけでなく、負担やリスクの少ない治療を可能にする
そもそも先生が獣医師になろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?
小さい頃から生物が大好きで原っぱで遊んでは虫を捕まえ、川や池で遊んではザリガニやカエルを捕まえては飼育するという子ども時代を過ごしました。マンションだったので残念ながら犬猫は飼えませんでしたが、とにかく生き物が好きでハムスターやイグアナなどいろいろと飼っていたこともあり、私にとって獣医師をめざすことはごく自然ななりゆきでした。ゆくゆくは手術の出来る開業医になりたかったので、研究室は外科に入室しました。ここで出会った先生が獣医師としても人としても本当に素晴らしい方で、「自分で最後まで責任のとれる手術をしなさい」という教えを身をもって学ばせて頂きました。どのような不測の事態が生じても対応できる獣医師であり続けるため、開業した今でも常に自分の知識と技術を磨かなくてはと思っています。
先生が診療の際に大切にされていることを教えてください。
飼い主さんが何を問題としているかをきちんと見極めることでしょうか。例えば高齢犬の場合、精密検査をすればいろいろと悪い箇所が見つかる可能性は高いわけですが、飼い主さんは徹底的に検査して悪いところすべてを治療することを望んでいるのか、とりあえず問題となっている症状がよくなればいいのか、つまりどこまでの治療を望んでいるかをきちんと見極めることが大切だと思っています。犬を可愛がる気持ちは同じでも、飼い主さん一人ひとりの価値観や考え方は異なります。あくまでも飼い主さんあっての犬や猫なので、たとえ完璧とはいえなくても、飼い主さんが気持ちよく通院できて、費用の工面ができる範囲で可能な治療を選択することもあります。そのためにも治療前のカウンセリングでゆっくりと時間をかけて話し合い、飼い主さんが納得のできる治療方法を選択できるよう心がけています。
健診や歯科処置にも力を入れていらっしゃるそうですね。
犬や猫の1年は人の4〜5年に相当します。人間だって40歳を過ぎた頃から健診を受けたり健康に気をつけたりするようになりますよね。犬や猫も7〜8歳を過ぎると体が変化してきます。股関節疾患や、会陰ヘルニア、子宮蓄膿症、尿管結石、膀胱炎、糖尿病、心臓病などさまざまな病気も増えてくるので、できれば特に悪いことはなくても年に1度は検査を受けることをおすすめします。当院では血液検査や超音波、デジタルレントゲン、内視鏡などさまざまな検査に対応しているので気軽にご相談ください。実際に当院で健診を受けていて病気の早期発見ができた子も少なくありません。早く病気が分かればそれだけ選択肢も多く、治療の負担やリスクが少なくて済みます。また歯周病や歯石も高齢になって口の中がボロボロになってから来るのではなく、若いうちからしっかりケアしておけば、処置をする場合でも1回の負担が少なくて済みます。ぜひ、お気軽にご相談ください。
的確な診断力と柔軟な対応、そして専門性の高い診療で多くの人に信頼される動物病院に
お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのように過ごしていらっしゃるのですか?
3人目の娘が生まれたばかりなので休みの日は家族と過ごすことが多いですね。それから自転車が趣味なので、サイクリングを楽しみながら宮ケ瀬ダムや湘南あたりへ行ったりしますね。日頃の運動不足解消にもなりますが、山や海の景色を見ながら走ると気分転換にもなります。小さい頃から自然に触れる外遊びが大好きだったので、やはり自然を身近に感じるとほっとします。この辺りは昔から見慣れた風景であると同時に、海も山もあって四季折々の自然に触れることが出来るので思い入れもあり、格別ですね。
獣医師をやっていてよかったと思うのはどのような時ですか。
この仕事をしていると、経済的や精神的、身体的に辛くなってしまって治療を途中で諦めてしまう方や、治療の途中で亡くなってしまう子に接することもあります。どんなに医療が進んでも「絶対」はないし、自分が最善と思う方法が飼い主さんにとって最善とかぎらないことも多々あります。そのような中で、他院でもう助からないと言われた子がセカンドオピニオンで当院へ来て、奇跡的に回復した時などは本当に嬉しいですね。症例に関わらず、うちにきた子が元気になった姿を見ることができた時はこの仕事をやっていて本当によかったなぁと思いますし、飼い主さんから感謝の言葉をいただいた時もしみじみと嬉しいですね。あまり感情表現をされなかった飼い主さんが、後からお礼にとメッセージ付きの菓子折りを届けてくださったり、近所の方が自分の畑でとれた野菜を届けてくださったり、ありがたいかぎりです。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
勤務医時代からかなりの経験を積んできたので、腎泌尿器分野については他のクリニックから紹介していただいたり、当院を頼ってわざわざ遠方から訪ねていただけたりするほどになりました。開業から10年、ようやく今まで学んできたことを思うような形で提供できるようになってきたかなと思うと同時に、専門性の高いホームドクターとして一定の評価をいただけるようになったことに感謝しています。ただ、私は自分の限界もわきまえているつもりです。ホームドクターとして動物たちの健康を守ることはもちろんですが、必要によってはより専門の診療機関をご紹介できるよう、常に的確な診断と見極めのできる獣医師であらねばと思っています。ワクチンの時や何かあってからではなく、散歩ついでやフードをとりに来るついでなど、日頃からこまめに足を運んでいただければ簡単な健康チェックもできますので、近隣の方に気軽に立ち寄っていただけたら嬉しいですね。これからも専門性の高い診療とホームドクターならではの柔軟性のある医療で、より地元で頼られる動物病院になれればと思っています。