入田基樹 院長の独自取材記事
にゅうた動物病院
(相模原市南区/相模大野駅)
最終更新日: 2023/01/22
相模大野駅から徒歩7分。国道16号線から東林間方面に進むと見えてくるのが「にゅうた動物病院」だ。建物の前には9台分の広々とした駐車場が整備されており、車での来院にも便利。道路に面したガラス張りのクリニックは開放感があり、待合室は動物と一緒にいても窮屈さを感じないようにと十分なスペースがとられている。「広々とした明るい待合室にして、待ち時間を少しでも楽に過ごして頂きたいと思いました」と話すのは入田基樹院長。診察室との区切りに段差を作らず、広さを感じられるようにゆったりとした空間を演出している。動物病院特有の臭いもなく、院内は清潔感があり、3つの診察室のほか、手術室や入院スペースも完備。充実した設備と入田院長の優しい笑顔が飼い主と動物たちを迎えてくれる。心の拠り所となるクリニックをめざす入田院長に、診療理念や飼い主、動物たちへの思いを聞いた。 (取材日2015年7月15日)
飼い主の気持ちに寄り添う丁寧な診療
診療理念を教えてください。
飼い主様の気持ちに寄り添えるような診療を心がけています。来院する動物たちはみんな、飼い主様方にとってかけがえのない存在です。それぞれ皆様の大切な子たちですから、私自身が飼い主様の気持ちに寄り添うようにしています。そのために、飼い主様とはしっかりコミュニケーションをとることを大切にしています。動物たちの生活環境はさまざまですから、ご家庭においての状況は異なります。また病気の治療についてはご家族の協力や理解がないとできません。最善の治療を提供できるように、飼い主様とよくお話をして治療方針の選択肢を提案し、費用についてもきちんと説明するようにしています。また動物たちにできるだけ負担をかけないように優先順位の高い検査や処置を実施するようにしています。動物たちの様子をよく観察し、全体を触診することを重要視しています。飼い主様が病気だと思っていないところにも疾患が隠れていることがあるので、早めに気づいてあげることも役割のひとつだと考えています。
予防医療にも力を入れていると聞きました。
動物たちの健康のために一番重要なのは、病気にならないということです。病気には2種類あり、やむを得ずなってしまう病気と、予防さえしておけば防げる病気があります。日々の食生活や歯のケア、避妊去勢手術。また、フィラリア予防やワクチンの接種もその一環です。何も予防をしたことがないという飼い主様もいらっしゃいますので、皆様が予防に取り組むようになって頂ければ、病気も減らすことができると考えています。まずは病気にさせないことも獣医師の役目であるので、予防医療の重要性も詳しくお話し、今後も啓蒙活動を行っていきたいですね。また、予防目的の診察中に行った触診などで、病気を早期発見することもあります。防ぎようのない病気であっても早期発見することで重症化させずにすむこともあります。当院では爪切りやワクチン接種でのご来院でも、必ず丁寧な触診・聴診を行って、小さな変化も発見できるよう心がけています。
老犬のデイケアも行っていますね。
犬も人間と同じように、介護が必要になる場合があります。認知症になってしまったり、寝たきりになってしまったりすると、飼い主様にも大きな負担がかかります。特に優しい人ほど動物たちの世話に一生懸命になってしまい、介護疲れでノイローゼのような状態になってしまうことがあります。飼い主様に少しの間でも肩の荷を下ろしてもらえる時間を作れたらと考え、当クリニックではデイケアを行っています。朝から夜まで、開院時間内にお預かりし、動物たちのケアをしています。飼い主様も離れて過ごす時間ができることでリフレッシュし、また優しい気持ちで介護に取り組んでもらえるのでは、と思っています。利用者の方からは、もっと早く相談していればよかったという声をいただいています。飼い主の責任だからと抱え込まずに、悩みがあればぜひ相談してほしいですね。力になりたいといつも思っています。
かかりつけ医には広い知識と状況対応能力が必要
獣医師をめざしたきっかけは何ですか?
兵庫県の実家が動物病院なので、小さい頃からずっと父の獣医としての姿を身近で見てきました。動物達が治療を受けて元気になっていく姿に感動し、物心ついた頃から、自分も将来は獣医になりたいと強く思っていました。子供の頃から動物は大好きだったので、小学校から帰ってくると、診察や手術を見学させてもらったり、入院やお泊りの子たちのお世話を手伝ったりしていました。また、私は捨てられてしまった動物を放っておくことができず、犬でも猫でも見つけるとすぐに自宅に連れて帰っていました。両親と一緒に捨てられた子たちの里親探しをしたことも、今ではいい思い出です。我が家でも、常に色々な動物を飼っていましたが、その中にとても長生きをした猫がいました。その子が病気になった時も、父の治療で元気になり、動物たちの健康を維持する手伝いができるのは獣医しかいないと思いました。何も疑うこと無く獣医師を目指すようになったので、他の仕事に就くことは考えていなかったですね。
開業までの経緯を教えてください。
大学を卒業後、横浜や町田の動物病院で8年間勤務していました。かかりつけ医に求められるのは広い知識だと考えていますので、専門的な治療が必要だと判断した場合には専門病院を紹介することもあります。この地域には麻布大学や日本大学の付属動物病院、動物医療センター横浜、動物高度医療センターなど、紹介できる医療機関が充実しています。ここを開業場所に選んだのはそういった理由もあります。昨今の獣医療は目覚ましい進歩によって、一人の獣医師が全ての分野をカバーできなくなっています。必要に応じて、分野ごとのスペシャリストに診てもらうことはとても重要なことです。様々な分野のスペシャリストにうまく治療を割り振っていくことも、かかりつけ医にとって非常に重要な能力だと思っています。また、飼い主様が通いやすいと思って下さることも重要だと思っていますので、車での来院も楽にできるように広い駐車スペースを確保できるこの場所を選びました。
院内ではトリミングもやっていらっしゃるのですね?
はい。当院では皆様の大切な子達の、一生涯に渡ってのトータルケアを病院ですることを理想としています。動物病院だからといって、病気やワクチンの時にだけ関わるのではなく、トリミングやペットホテルの時も関わって頂くことで、動物達も病院やスタッフに慣れてくれます。病院のトリミングやホテルを利用するメリットはたくさんありますが、まずは動物たちに病院は怖い所ではないと思ってもらえることが重要です。日頃の病気の通院の時もそうですが、万が一大きな病気になってしまった場合に入院が必要となる事もあります。ただでさえ具合が悪く辛い時に、あまりよく知らない場所やスタッフの中に居る事は、それだけで苦痛です。しかしトリミング等で、病院にしょっちゅう来ている子であれば、病院の環境やスタッフにも慣れて仲よくなっており、入院中も安心して過ごしてくれます。病院に慣れると言うことは、とても大切なことなのです。したがって当院では、スタッフ達にもトリミングやホテルでお預かりしている子達とは、出来る限り一緒に遊ぶように指導しています。そのためか「この子は病院嫌いだったのに、にゅうた動物病院だけは大好きなのよ」と言っていただける事が頻繁にあります。 次に、当院ではトリミングやお預かり時に、その都度、獣医師による健康チェックを行いますので、毎月健康チェックをすることで病気の早期発見にも繋がります。健康だと思っていた子が、トリミング時の健康チェックで腫瘍や心臓疾患などが見つかることもよくあります。腫瘍などの怖い病気であっても、外耳炎など命に関わる病気でなくても、早期で発見することは病気の根治や、進行を遅らせる事ができる可能性が高くなります。 その子の生涯にご家族様とより近い気持ちで関わりたい、それこそが究極のかかりつけ医だという思いから、当院では動物たちのトータルケアを目指しており、トリミングやペットホテルをご利用頂く方には、当院をかかりつけとして頂くことをお願いしております。
心の拠り所となるクリニックをめざして
設備も充実していますね。
血液検査やデジタルレントゲンはもちろん、内視鏡カメラや現時点で非常に性能が良いと言われている超音波検査装置も完備しています。実際にモニターを見ながらあらゆる検査結果をご説明しますので、飼い主様にもご理解して頂きやすいと思います。また、糸を使わずに血管を止める「リガシュア」という機器を導入しています。糸は体内に残ると異物として腫瘍になるトラブルもあるので、そのリスクを減らすことと、手術の確実性を上げ、時間の短縮にもつなげられます。そして、AP水生成器という機器を用い、動物や人に対して低刺激でありながら、強力な殺菌能力のある消毒液を作っています。それを院内の全ての設備や、スタッフの手の消毒等に使用しています。
印象に残っている飼い主様や動物はいますか?
まだ獣医師になりたての頃、口内炎がひどく薬も飲めない状態の猫を担当したことがあります。飼い主様はとても優しい方で熱心に看病されていましたが、自ら薬を飲めない猫に飲ませてあげようと試みても、うまく飲ませてあげられずに責任を感じて悩んでおられました。本当に何気なく「連れてきて頂いたら飲ませますよ」と言ったのですが、後日飼い主様から「すごく気持ちが楽になった、ありがたかった」と言っていただきました。その時、「大切なのはこういうことなんだ」と気づきました。ただ治療をするだけではなく、飼い主様の悩みや抱え込んでいることを引き出してあげれるような診療をすることの大切さを教えてもらいました。たった一言ですが、言葉が持つ力を感じた出来事です。それが今の診療理念にもつながっていますね。そしてその飼い主様は今も遠方から当院に通ってくださっています。
今後の展望を教えてください。
動物たちの一生涯を見届けるクリニックでありたいと思っています。動物たちに何か体調の変化を感じたり、飼い主様が不安に思われたりすることがあれば、どんなことでも構いませんのでお気軽にご来院して頂きたいですね。皆様に満足して頂けるような対応をスタッフにも徹底しています。多くの患者様のために、心の拠り所となる存在でありたいですね。コミュニケーションをとることで、飼い主様が一番辛いと思っていることは何か、私達ができることは何かを探していくことが重要だと考えています。安心してどんなことでもご相談頂けるかかりつけ医を目指して、これからも動物たちに思いやりをもった丁寧な診療を行っていきます。