鶴田 昭雄 院長の独自取材記事
ポプラどうぶつ病院
(市川市/下総中山駅)
最終更新日: 2023/01/22
西船橋駅から歩くこと約13分。京葉道路原木中山ICにも程近い場所にあるのが「ポプラどうぶつ病院」だ。子どもの頃から医療分野に関心を寄せていたという鶴田昭雄院長が2009年に開院。以来、地域に暮らす動物たちのホームドクターとして病気の予防や早期発見に努めている。北海道出身の鶴田院長は、地元の酪農学園大学で獣医学を学び、その後埼玉や千葉の動物病院で数多くの臨床を経験してきた実績を持つ。鶴田院長が最も重要視しているのが、定期的な健康診断だ。一見すると元気なようであっても、検査するといろいろな疾患が見つかることが多く、早期発見のためにも定期健診はとても大切だと話す。また、皮膚疾患の治療にも力を入れているという鶴田院長。クリニックの特徴や動物医療への思いなどについて聞いた。 (取材日2016年2月8日)
動物と飼い主に喜んでもらいたいと獣医師の道へ
最初に獣医師になろうと思われた理由をお聞かせください。
母親が看護師をしていた影響もあったのでしょうか、なぜか子どもの頃から医療に関心がありました。テレビで「救急24時」のような番組を見るたびに、どうやって止血して手術しているのだろうか、とか、手術の大きな傷口はどのようにふさぐのか、などと考えることが多く、小学校の頃から将来は医療関係に進みたいと考えていました。中学、高校と進むにつれて、人間を対象とする医療か、それとも動物を対象とする医療かどちらにしようかと迷ったのですが、もともと動物好きでしたので、動物医療に進もうと思ったのです。動物の病気を治す過程では、動物たちもきっとうれしく感じるでしょうし、飼い主さんにも喜んでいただけるのではないかと考え、獣医師の道を選びました。
大学は北海道の酪農学園大学に進まれたのですね。
はい。北海道の石狩出身ですので、酪農学園大学に進みました。酪農学園大学はとても広大な敷地を有しており、本学キャンパスは東京ドーム28個分以上もあります。校舎の周りには牧草地が広がり、牛舎や馬舎もずらりと並んでいます。夏はとても気持ちいいのですが、冬は吹雪くことも多くて大変でしたね。もちろん牛の世話もしました。大学時代はいろいろな経験ができて、とても面白かったです。ゼミでは動物の体内における環境ホルモンの代謝について研究していました。大学卒業後は、臨床を勉強するならやはり東京に近い方が良いだろうということで、埼玉と千葉の動物病院でいろいろな臨床を経験させていただきました。
こちらのクリニックの診療動物を教えてください。
犬、猫のほか小動物では、ハムスター、うさぎ、小鳥などです。最近はうさぎを飼うのが流行っているのでしょうか、うさぎを連れてくる方がとても増えています。中でも前歯の噛み合わせのトラブルが多いですね。前歯が曲がってしまったとか、歯茎に食い込んで傷ついたといったケースが目立ちます。また、犬も猫も最近は肥満傾向ですね。おそらくおやつの食べ過ぎでしょう。飼い主さんの家族それぞれが少しずつおやつを与えたとしても、家族全員分を合わせればかなりの量になるはずです。ペットが甘えてくれば与えたくなる気持ちはわかりますが、おやつの与えすぎにはくれぐれも注意していただきたいと思います。
飼い主の要望をくみ取り、治療方法の選択肢を複数提示
クリニックで力を入れていることはどんなことですか?
病院は病気になった時に来る場所ですが、何よりも病気にならないようにすることが、クリニックの重要な役目でもあると思います。そのためにワクチン接種など病気の予防や定期健診による早期発見に力を入れています。みんな動物たちは元気そうな感じでやってくるのですが、検査をすると疾患が見つかることがとても多いんです。例えばレントゲンを撮ると膀胱の中に結石ができていたり、内臓に影がうっすら映って実はそれが腫瘍だったり。こうした症状はやはり検査しないとわかりませんから、軽いうちに病気を発見するためにも定期的な検査は大切です。少なくとも年に1回は、定期検査を受けていただきたいですね。当クリニックでは、血液検査、X線撮影、糞便検査、尿検査を行う検査メニューも行っています。
皮膚疾患にも力を入れているそうですね。
専門医ではありませんが、これまでの臨床経験の中では特に力を入れて勉強してきました。皮膚トラブルの奥にはいろいろな病気が隠れていることが多く、動物の健康維持のためにも皮膚疾患をよく観察することは重要です。皮膚疾患は、細菌感染や寄生虫感染によるもの、あるいはホルモン分泌の乱れなど体の中で起きたトラブルが原因であることも多いです。抗生物質を与えてもなかなか治らず、検査をしたらホルモンバランスの崩れが原因だったというケースもよくあります。ですから、皮膚疾患を診る場合は、原因を一つ一つ探りながら、見落としがないよう診断を下すよう注意しています。
診療の際、心がけていることはありますか?
飼い主さんは不安に思ったり緊張したりすることも多く、何か質問したくてもなかなか質問できない場合も多いと思います。ですから、なるべく話しやすい雰囲気づくりをして、スムーズなコミュニケーションをとれるよう心がけています。飼い主さんがどんな治療を希望しているのか、どんな要望を持っているのかよくくみ取ることも大切で、そのお気持ちを理解した上で、治療方法の選択肢をいくつか提示しています。飼い主さんには後悔してもらいたくないですから、それぞれの治療方法のメリット、デメリットをよく説明して、納得していただいてから治療にあたっています。よく話し合って飼い主さんの要望に即した医療を提供することが、やがて信頼につながっていくのではないかと思います。
症例検討会で得た最新の知見を実際の臨床へ反映
これまでで何か心に残ったエピソードはありますか?
当院に数年通っていたワンちゃんが12~3歳になった頃、免疫機能に支障をきたして赤血球が壊れてしまうという重篤疾患に陥りました。飼い主さんのお知りあいの方が、他の高度な病院に転院したほうがいいと飼い主さんに進言したことで、その子は他の病院に転院していきました。結局、その病院でも回復できなかったのですが、家に戻る途中、飼い主さんがその子の亡骸を抱っこして、いろいろありがとうございましたと、最期のご挨拶に来てくださいました。わざわざ来ていただいて、とてもびっくりしたのと同時に、飼い主さんの心遣いをとてもうれしく思いました。飼い主さんだけいらしてご挨拶いただくことはよくあるのですが、ワンちゃんも一緒に連れてきてくれて、とても感動したことを覚えています。
ホームドクターとしての役割はどのようにお考えでしょうか。
当院は、日中の診療時間外でもシャッターなどを締めることはなく、急患の時にはすぐにご来院いただけるようにしています。夜でも携帯電話はなるべく出るようにしており、急なことが起きた際はすぐに対応できる体制を整えています。ただ、手術が入っていたりするとお待ちいただくこともあるかと思いますが、なるべく迅速に対応するようにしています。当院で対応できない高度な治療、手術などが必要な重篤な症状の場合は、川崎にある日本動物高度医療センターや東京の東京大学附属動物医療センターなどの二次診療専門の医療センター等と連携していますので、その時の状況に応じて紹介できる体制も整えています。
では最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。
新しい検査方法や新薬の登場など、動物医療は日々進化していますので、そうした新しい情報や知見を修得するべく、現在7つの動物病院の先生方による症例検討会に参加しています。開業しますと研修会やセミナーに行く時間をとれないことが多いのですが、症例検討会で少しでも多く最新の情報を得て、それを実際に生かしながら診療にあたっていきたいと思います。飼い主さんとスムーズなコミュニケーションがとれるよう、そのスキルもさらに上達させたいと思っています。飼い主さんには、どんなことでも遠慮なく相談しに来ていただければと思います。ペットのお散歩がてらでもよいですので、どうぞお気軽にお立ち寄りください。