草場宏之 院長の独自取材記事
横浜戸塚プリモ動物病院
(横浜市戸塚区/東戸塚駅)
最終更新日: 2023/01/22
「歳をとっても元気に、できるだけ長く飼い主さんと一緒に過ごしてもらうことが大切だと考えています」と繰り返す「横浜戸塚プリモ動物病院」草場宏之院長。動物と飼い主の気持ちを大切にすることをモットーに、獣医療に携わる。専門分野は歯科と整形外科。「動物が幸せに生きていくために重要なことは、自分でしっかり食べることと、歩くこと。だから歯と関節の診療に力を入れています」と語る。根っからの動物好き、恐竜も好きで獣医師を志したが、その一方で、コメディアンに憧れたこともあったと笑う草場院長。そんな“キャリア”を生かして、飼い主の緊張をほぐすために、診察室でも冗談で笑わせることも心がけているとのこと。優しい笑顔から、親しみやすい人柄と豊かな人間味が感じられる、頼もしいドクターだ。 (取材日2015年9月17日)
専門は歯科と整形外科。動物と飼い主の気持ちを大切に、診療に取り組む心優しいドクター
獣医師を志したきっかけや、今までの経緯を教えてください。
私は、福岡の八女市という自然に恵まれたところで育ちました。獣医師を志したのは、動物が好きだったことと、恐竜の発掘がしたかったからなんです(笑)。アメリカでは獣医師から恐竜学者になるケースが多かったので、獣医師を志しました。大学卒業後は、横浜市の動物病院で犬と猫の診療経験を積み、当院の開院と同時に院長に就任しました。
こちらのクリニックの特徴は、どんなところですか。
まず、夜遅くまで診察していること。飼い主さんが夜、帰宅してからペットの具合が悪いことがわかった時もお役に立てるようにしています。小さいお子さん連れの方にも来ていただきやすいようにキッズスペースを設け、また入院した場合などもご家族で面会に来て頂けるように立ち会い室も設けています。また猫専用の待合室や診察室、入院室があり、猫の受診が増えています。猫は犬が苦手なことが多いので「こんなに落ち着ける病院は初めて」と言っていただける飼い主さんが多いですね。入院室の中にも猫が安心するフェロモンをまいていますし、診察台も猫用に小さいものにしています。
専門外来やデンタルケアにも力を入れられているのですね。
ドクターそれぞれの専門や得意分野を生かして、整形外科、皮膚科、腫瘍科、歯科などの専門外来を設けています。腫瘍科も立ち上げる予定です。私の担当する歯磨き外来に来られる飼い主さんも増えてきました。なかなか歯磨きできないと悩まれている飼い主さんが多いのですが、一緒に練習すると上手にできるようになるんですよ。また月に2回、子犬を対象としたしつけ教室も行っています。相模原エリアでとても人気のトレーナーによるレッスンが受けられるので、毎回、たくさんの子犬でにぎわっています。
犬や猫が高齢になっても、元気に、楽しく暮らすために
患者としては、どんなワンちゃんやネコちゃんが多いのですか。
エリアとしては近隣の方が多いですが、私の前任地からの付き合いの飼い主さんも少し遠方から来てくださいますね。猫に配慮しているので、他の病院に比べて、猫の割合が多いかと思います。犬は小型犬が中心ですが、前任地では大型犬をたくさん診ていたので、大型犬も来てくれます。症状としては、心不全や腎不全、腫瘍性疾患、アレルギーによる皮膚炎などさまざまで、高齢化に伴う病気も増えています。高齢の飼い主さんも多いので、通院が難しいケースには往診も行っています。「猫を連れていけないから診にきてほしい」というご相談も多く、つい先日は、別の先生が往診に伺って、ベッドの下から出てこない子に腹ばいになって注射をしたそうです(笑)。
先生の診療方針を教えてください。
なるべく飼い主さんと一緒にいてほしいと考えているので、検査も採血も、なるべく飼い主さんに立ち会っていただき、抱っこしてもらうこともあります。ご家族にも治療内容を理解していただけますし、何よりもワンちゃん、ネコちゃんも安心してくれますからね。また飼い主さんが緊張されていることが多いので、ちょっと笑ってもらうことを心がけています。実は、お笑いの方に進みたいと思ったこともあって(笑)、人を笑わせるのは得意な方なんですよ。ご家族が笑ってくれるとペットも私に気を許してくれるメリットもあります。そして、どの子も歳をとっても自分自身でごはんが食べられて、できるだけ長く大好きなご家族と一緒にいられるようにお手伝いしていきたいと考えています。
院長としては、どのようことを心がけていらっしゃいますか。
開院からの1年はとても忙しくて、あっという間に過ぎてしまいましたね。まだまだ駆け出しの院長なので、これから、もっと修行していかなくてはいけないと思っています。スタッフには、動物がなるべく苦しくないように配慮することと、ご家族にしっかり寄り添うことと、いい意味でのおせっかいな診療を心がけようと伝えています。避妊や予防接種、ノミ、マダニの除去など、ペットの健康管理で必要なことは、相談されなくてもこちらから発信したいと思っているんです。
高齢のペットには、どのような診療やアドバイスをされていますか。
高齢になると、関節炎や生活習慣病になりやすかったり、メンタル面が弱くなったり、いろんな変化が出てきますので、ライフステージに応じたサポートをしたいと考えています。例えば3歳以上の犬の8割が歯周病で、進行すると人間と同じように肝臓や腎臓など全身の健康にもかかわりますので、デンタルケアに力を入れています。口臭、よだれ、口のまわりの汚れ、くしゃみ、今までとは違う食べ方などは歯周病のサインですから、気をつけていただくようにアドバイスしています。また、肥満にも注意が必要です。つい食べ物をあげてしまう飼い主さんが多いようですが、人間の食べ物は味が濃く、カロリーが高いですからね。体重5キロのワンちゃんなら、クッキー1枚が大きなハンバーガー1個分にあたります。こうしたちょっと知っておいてほしい知識や雑学を、健康診断や予防接種の時などにもお伝えするようにしています。
開院1年を経て、より地域とつながる動物病院をめざす
ところで先生のプライベートも教えてください。
大学までずっとサッカー部で、今は月に1回フットサルをしているだけですが、体は丈夫ですね。休みの日は、4歳の娘と遊ぶのがいちばん楽しいです。福岡に帰りたい気持ちもあるんですが、大学からずっと神奈川で、横浜で家庭も持ちましたので、もう第二の故郷という感じですね。この近辺は、横浜と言っても下町らしい風情も残っていて、自然も豊かで私にはなじみやすいエリアだなと思っています。
開院してちょうど1年。これから、取り組みたいことは?
もっと地域の方とつながっていきたいと考えています。当院は、グループ病院でスタッフ数も多く、幅広い診療やサービスが可能ですから、地域のお役に立てることが多いのではないかと思うんですね。例えば、地域の小学校などで、動物と一緒に暮らす楽しさを知ってもらい、命の大切さを伝える活動を行えるのではないかと思っています。またペットショップでのシャンプーの際に耳の汚れや、関節や皮膚のトラブルが見つかることもあるので、ペットショップとも連携してもっと早期発見できるようにしたいと思っています。診療面では、専門性の高い治療にも力を入れていきたいですね。私は、食べることと、歩くことは、動物の“キモ”だと考えています。そのためには、お口と関節はとても大切なところですから、歯科と整形外科についてさらに研鑽を積み、よりお役に立てるようにしていきたいと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
当院は、大切なペットがより長くより健康に、そしてより楽しくご家族と共に暮らせるお手伝いをしたいと考えています。そして、ワンちゃんネコちゃんの個々の性格や体質もさまざまであり、ご家族の思いもさまざまです。前のペットと同じ病気を心配される方も少なくありません。ですから、個々のケースに応じたオーダーメードな治療を心がけること、よりよい治療法にたどりつくように動物と飼い主さんを案内する、コンシェルジュの役目をするのが地域の動物病院の役目かなと思っています。当院は夜遅くまで診療していますし、プリモ動物病院グループ内の各専門診療科に相談することもできるので、おかしいと思ったら、翌日に延ばさずに来てください。毎日共に暮らすご家族の観察力は確かだと思いますので、心配に思われたら、その都度相談に来ていただきたいと思います。