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眞島 浩輔 院長の独自取材記事

エムズ動物病院

(市川市/市川真間駅)

最終更新日: 2023/01/22

市川市「エムズ動物病院」は2000年に開業して以来16年、地域密着型のクリニックとして支持を集めている。院長である眞島浩輔先生は、この道約20年のベテランだ。「往診」も開業以来行っており、愛犬をクリニックまで連れて来られない飼い主からは非常に喜ばれている。往診を続ける理由として「ニーズがあるから」と求められることに対して応じる謙虚な姿勢も忘れない。常に診察の時に着ているのは動物柄のユニフォーム。飼い主からは「どこで買ったの?」「派手ね」と声をかけられるという。そんな気さくな雰囲気も人気の秘密だろう。普段の診療の様子やクリニックのことについて、眞島先生に話を聞いた。 (取材日2016年11月24日)

ホームドクターとしての役目を果たしていく

こちらにはどんな症状のペットがこられますか?

そもそも医療というのは一次診療、二次診療、三次診療とその症状の程度によって段階的に分かれていますが、当院では患者様がまず訪れる一次診療施設として、病気やケガの治療を行い飼い主さんやペットの不安を取り除いてあげることを心がけています。しかし、より高度な診断、治療が必要な場合は大学などの専門機関への紹介を行っております。

飼い主さんとはどんな話をしますか?

私たちが診るのはペットの病気だけではありません。診察する上で欠かせないのは、そのペットがどのような環境で飼われているかというバックグラウンドを探ること。例えば、家族の中で誰が一番そのペットの面倒をみているのか、またほかに飼育されているペットはいるのかといったことです。ペットを連れて来るのはご両親なのですが、その動物のお世話を家の中で最もしているのは、そのお子さんだったりするというケースもあります。そのような場合はその親御さんからなるべく、飼育状況に関する情報を聞き出すようにしています。もちろんお子さん本人が来ることもありますので、同じように聞いていきます。

食事をどうあげているのかということも大事になってきますね。

そうですね。食事の指導はよくしていますね。やはりどのような食事をどのくらい与えるかが日々の体調につながってきますから。個人的には栄養のバランスがとれたペットフードが一番良いとは思っています。でもペットの体質や年齢、それに嗜好性によって必ずしもそれだけ与えていればいいというものでもありません。また何より飼い主さんの考え方もあります。そこで、治療の前後はもちろん、ワクチン注射、フィラリア予防、またノミ取りを買いに来たりする時など折をみてそういった食事の話をしながら、今そのペットがどういう食事を与えられているか観察し、アドバイスしています。もちろん飼い方や散歩のさせ方、しつけについても話をすることがあります。よく吠えるとか、噛みそうになるんだけどどうしようといった相談も受けますよ。そういった、なんでも相談できるのがホームドクターの役目だと思っています。

目と耳でわかりやすい説明を

その後の診療の進め方は?

まずは必要に応じ、検査を進めていきます。飼い主さんがペットの病気の原因を突き止めたいというニーズが昔より多くなってきたように思いますね。診断を下すのはそのあとです。今の時代、飼い主さんもある程度ネットで症状や治療法も調べてくる方も多いんです。ですから、そうした知識に対し、こちらも専門家としてより納得できる裏付けをしたり、情報を追加しながらご説明します。もちろん、事前に調べてくる、こないにかかわらず、お子さんとお年寄りには「こういうときにはこうしてあげてくださいね」とわかりやすく説明します。それ以外の飼い主さんにもデータを示しながら。手持ちのタブレット端末にデータをいろいろ取り込んでいるんですよ。例えば獣医学雑誌に掲載されている、歯や目や腫瘍など病気についてイラストや写真などですね。こうして、目と耳でわかりやすい説明を心がけています。

往診は開業当初からされているとか。

はい。続けているのは「そういうニーズがある」からです。長く往診を続けていると、どんなに手を尽くしてもお別れしなければならない場面にも遭遇します。そのときは、飼い主さんに寄り添うようにしています。知り合いでペットロス専門でやっている獣医曰く「こんなに頑張ったんだから」と声をかけるのも良くないらしいんです。そうした飼い主さんの心のケアをどうするべきかは日々勉強ですね。もちろん1頭目の愛犬が亡くなったあとも、2代目、3代目と次の子を連れてくる来る飼い主さんは多いですね。思えば私も、昔は予防接種ならそれだけして終わりでしたが、今やペットをそのご家族の一員として、家族に話す感じで治療を進めるといったように意識が変わってきました。もちろん飼い主さんにしても昔と比べてペットへの愛情も深まっていますしね。ですからコミュニケーションが大事なんです。それが一番です。

動物医療においてこれから取り組んでいきたいことはありますか?

昔から千葉県はほかの地域に比べて動物の殺処分が多いんです。飼い主さんにどういった事情があるかまではわからないのですが……。今、私ができることは、「犬を飼いたい」という方と会ったときに、そういう境遇にあるワンちゃんをなるべく飼ってくださいとお願いすることだけです。我が家でも保護犬を2頭飼っています。1頭は、以前とあるブリーダーさんが育てていたシュナウザーなんですが、生まれつき足にハンディがあって、ブリーダーより手放された子で、もう1頭は殺処分寸前のミックス犬。いつ、どこで生まれたかわからない子です。今は2頭とも私になついていて家族の一員です。これからもこの子達がいつまでも幸せに暮らせるように大切に守っていきます。

命ある生き物と向き合う、この仕事が好き

先生は幼少時代から犬は飼っていたんですか?

そうですね。ただ昔はどの家もそうだったと思いますが「飼育する」というより、そこに「いる」という感覚でしたけどね(笑)。物心つくころには飼われていました。雑種で、14~15歳まで生きました。今のように食事の質なども良くなかっただろうに、すごいですよね。高校時代には獣医師になろうと決断しました。もともと私は理系で、将来の進路としては工学部や建築学科といった道もあったとは思いますが、極端なことを言ってしまえば「無機質なものを相手にするよりも、命ある生き物と向き合う」ことにやりがいを感じたんです。ただ実家は電気機械の工場を経営しており、私はそこの長男でしたから、親としては継いでほしかったんだろうとは思います。ただ最後は「良い道に進んだんじゃないか」と言ってくれて、ちよっとホッとしましたね。

とてもかわいらしいユニフォームですね。

私を始めとし、スタッフもさまざまなユニフォームを着ています。飼い主さんが少しでも話しやすくなってくれればという思いで、採用しました。どうしても病院ということで緊張したり、こんなこと聞いてもいいのかな、と感じていらっしゃる飼い主さんいらっしゃるのではないでしょうか。当院では、少しでも飼い主さんが話しやすく、会話のきっかけになるように、このようなユニフォームを着ていますので、どんな些細な事でもご相談していただけるとうれしいですね。ちなみに、全部で10着もあるんですよ。(笑)

最後にメッセージをお願いします。

とにかくこの仕事が好きです。飼い主さんから喜んでもらえて、感謝されるのですから、本当に獣医師冥利に尽きますすね。ちなみに急患も受けています。事前に「そちらに行きたいんだけど」という連絡があることが多いのですが、どうしても診察が出来ないときも電話で指示しています。病状を聞いて、それだったら救急病院へ行ってくださいとか、もうちょっと様子見てもいいんじゃないですかといったように伝えています。いずれにしても飼い犬・飼い猫のQOLの向上、そして地域の受け皿になっていきたいですね。

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