太田 紘平 院長の独自取材記事
美浜どうぶつ病院
(千葉市美浜区/稲毛海岸駅)
最終更新日: 2023/01/22

20年にわたり地域の住民に親しまれてきた「美浜どうぶつ病院」。戸建ての医院は広々とし、新築と思うほど隅々に至るまで手入れが行き届いている。そんな清潔感あふれる院内に、動物や飼い主を歓迎するスタッフの思いや診療に対する心がけの高さを感じた。2017年5月より、前院長からバトンを受け取った太田紘平先生が新たに院長として就任。太田院長は長く診療に携わっていたことから、幅広い症状に対応できる獣医師。物腰のやわらかく、優しい人柄で、早くも動物たちも心を許して懐いているそう。今回、太田院長に院長に就任するまでの経緯や診療に対する思い、動物や飼い主との向き合い方などについて、たっぷりと話を聞いた。 (取材日2017年5月29日)
先代の人柄と診療への熱意に惹かれ、院長承継を決意
幼少期は、動物とどんな触れ合いがありましたか?

小学生の頃はマンションに住んでいたので動物を飼えなかったんです。それで、中学生になって引っ越しをし、動物を飼える状況になってすぐに動物愛護センターの開催する譲渡会へ行きました。動物愛護センターへは、動物と触れ合いたくてよく行っていたので自然な流れでした。譲渡会では、欲しいと思う動物に投票をし、複数の票が集まった場合は抽選で飼い主を決めるのですが、私はとにかくそこで動物を連れて帰りたかったので、参加者の動向を見て投票されていない子に一番最後に投票しました。そこで出会ったワンちゃんが、16歳になるまで頑張ってくれましたね。
獣医師をめざそうと思ったきっかけは何ですか?
小学校の同級生によると、その頃からすでに獣医師になりたいと周りに公言していたようです。印象に残っているのは、私が中学生だったある日、堤防にうさぎが捨てられているのを発見した時のことです。そのうさぎを連れて当時お世話になっていた動物病院へ押しかけ、今思うとお昼時の診療時間外にインターホンを何度も鳴らして迷惑をかけてしまったのですが、快く診療を引き受けてくれました。そんな動物に対する愛情の深いすてきな先生との出会いもあり、獣医師になりたいという思いが一層強くなりました。そして、小さい頃からの思いを貫き、大学卒業後、開業医をめざしました。
続いて、こちらで診療を行うことになった経緯を教えてください。

自分で開業しようと考えていたのですが、ご縁あってこちらの病院を開業された前院長から引き継ぐこととなりました。前院長は非常に勉強熱心で、「先生に負けてはいけない!」と私に思わせてくださるようなエネルギーに満ちあふれた方でした。またその方の温かい人柄にも大きく惹かれ、こちらの院長の承継を決意させていただいたのです。そして、5月15日に院長に就任いたしました。実際にこちらで診療を始め、連日多くの動物と飼い主さまがいらっしゃる光景に、前院長に寄せられる信頼の厚さを感じます。当院では、犬猫を中心に一般診療を行っています。一次診療を行う獣医師として、症状の裏に潜んでいる病気を見落としなくスピーディーに発見することを心がけ、そのための超音波検査機器、レントゲン、内視鏡などの医療機器をそろえています。
日常生活における動物の観察が予防の第一歩
太田先生が院長に就任してから変わったことはありますか?

治療方法は飼い主さまと獣医師との間で決まるものなので、カルテを見てこれまでどういう治療をされてきたか読み解き、飼い主さまの診療スタンスに合わせて治療を行っています。ですから私が院長になっても診療方法が突然変わるということはありません。私はこれまで、動物にとってなるべく負担の少ない治療を常に心がけてきたので、ここでもそういった治療を行っていけたらいいなと考えています。また診察の上必要だと判断した場合には、高度医療機関へご紹介することも可能です。
動物を飼う上で大切なことを教えてください。
予防ですね。予防といっても、ワクチンの接種やフィラリア予防といった処置だけではありません。動物の異変に素早く気付けるよう、日頃より動物の様子をよく観察いただくことが予防への第一歩だと考えています。日頃からそういった心がけをすることで、病気を早期発見し、健康寿命を延ばすことも可能です。そのために来院された飼い主さまには、その場での処置のみならず、それをきっかけに予防につなげられるように、それぞれの動物に合った健康管理法をお教えしたり、予防法の選択肢をご提案するようにしています。動物と一番長い時間ともにしているのは飼い主さまですから、飼い主さまが何か違和感を感じたら、放っておかずにまずは一度お気軽に問い合わせてください。
そのほかにこちらのクリニックの特徴はありますか?

年齢を重ねると筋肉が硬くなって、関節の可動域が狭まったり、足の動きが悪くなったりするので、特に高齢のワンちゃん猫ちゃんを対象に、資格を有した看護士がマッサージを行っています。マッサージを行うことでほかの部分の問題点を発見することもありますし、それを飼い主さまにご報告すると、普段お困りになっていることを打ち明けていただける機会にもなりますので、マッサージは私たちにとって動物を知るための大切な時間にもなっています。実際にマッサージ後に動きがよくなったという声も多くいただいており、私自身も効果を実感しています。
動物と飼い主とスタッフが三位一体となり取り組む診療
診療する上で心がけていることは何ですか?

飼い主さまの気持ちに寄り添って診療を行うことです。高齢の動物を持つ飼い主さんに、あれこれと口で指示することは簡単ですが、例えばその子がかたくなに薬の服用を拒むのであれば、その方法は適用できません。このように、動物によってそれぞれケースは異なります。また、動物の面倒を見ているのは飼い主さまです。飼い主さまにとって無理難題な治療法であれば、それは治療として成立しないので、飼い主さまの身になって一緒に考え、動物と飼い主さまと私たちスタッフとで三位一体となって治療に取り組むことを念頭に置いています。飼い主さまも私たちの大切なチームの一員です。ですから、例えば超音波検査の時などは、飼い主さまにも一緒に横で見ていただきながら進めたりと、飼い主さまの理解を大切にし、ご納得いただける診療を行っています。
どのようにクリニックを利用してほしいですか?
診療していて感じるのは、動物の高齢を理由に、治療を諦める判断をされてしまう方の多いことです。対処をすれば回復することのできる病気も多くありますので、諦める前にご相談にいらしていただければと思います。また、何かあった時に遠慮せずに立ち寄れる場であることが、一次診療の役割だと思っています。そこで飼い主さまにとってお入りいただきやすいクリニックであれるよう、スタッフ一同、クリニックづくりにも努めています。例えば隅々まで丁寧に清掃をし、院内を清潔に保ったり、外の花壇の花も季節に合わせて年に4回植え替えています。毎日お散歩のついでに寄ってくれるワンちゃんもおり、クリニックを身近に感じてくださるのは私たちにとって、とてもうれしいことですね。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

クリニックの2階には飼い主さまにお集まりいただけるスペースがあるので、しつけ教室や勉強会の開催を検討しているところです。また、高齢の動物の介護は、お家の方も寝不足になったりと心身ともに大きな労力を伴うものです。こちらにお集まりいただいて情報交換をすることで、気持ちを楽にしていただいたりと、飼い主さま同士のコミュニティーの場としての提供も考えています。ささいなことでも気軽に相談していただき、困った時に頼っていただける存在であれるよう、今後も努力を重ねていきたいと思います。