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桑島 英美 院長の独自取材記事

八千代動物病院

(八千代市/八千代中央駅)

最終更新日: 2023/01/22

「オーナーと共に動物の命を守るために医療の分野で全力を尽くします」と、院長の桑島英美先生は明るく話してくれ、小柄だけれどもパワフルな印象の獣医師だ。桑島先生が院長を務める「八千代動物病院」は、八千代中央駅から少し歩いた住宅街の中に、位置している。同院の特徴は、さまざまな面で動物や飼い主に対する気配りが行き届いていることだ。9台分確保された駐車場は入れやすいと評判がよく、犬・猫別々に待てる待合室は日当たりと風通しがいい、気持ちの良い空間。「スタッフと明るく・楽しく・元気良くを心がけて診察しています」と語るとおり、得意としている眼科の治療や、家庭での投薬のコツ、スタッフとの面白エピソードまで、楽しく話を聞かせてくれた。 (取材日2016年5月12日)

先代から数えて40年、地域に溶け込む動物病院

この医院の沿革と、院長先生が勤務されるようになったきっかけを教えていただけますか?

父が1974年にこの近辺で開業しまして、2003年にこの場所に移転しました。船橋にある父の実家の祖先が馬医として遣唐使で唐に渡っており、その後、代々動物を診る家になったのだと聞いています。一応家系図がありまして、今は祖父やおじの母校である麻布大学で保存していただいています。でも、小さい頃から父が仕事をする姿を見ていたので、古くから続いているという意識よりも、父に影響されてこの道に進んだというほうが近いかな、と思いますね。時代ごとに診る動物も違いますし。もう父は亡くなりましたが、ここに移転してから10年ほどは一緒に仕事をしてたくさんのことを教えてもらいました。

こちらにいらっしゃるペットの種類や、症状に傾向はありますか?

95%は犬・猫だと思います。このあたりはベッドタウンなので、特に多いのはトイプードルやダックスフンド・チワワといった小型犬や、日本猫です。飼い主さんは、八千代市内や千葉・習志野・佐倉・印西といった周辺の市からいらしている方がほとんどだと思います。純血種の猫も少し増えてきました。駐車場を少し広めにとっているので、運転が苦手な飼い主さんも来やすい、と言っていただいたことがありますね。症状では、お腹を下してしまったとか、耳をよくかいているとか、身近なものをよく診ていると思います。あとは、私が眼科を少し詳しくやっているので、目の病気について診てくれる獣医師を探していらした、という方もたまにおられます。

動物の眼科を学ばれるようになったのは、どういった経緯があったのでしょう?

北里大学を出て、東大へ研究生として通っていた頃、眼科をやっていた女性の先生に憧れたのがきっかけでした。その後、学会でハワイに行くことがありまして、そこでもやはり女性のアメリカ眼科専門医の先生が眼科の講義をされていて、その先生の下で学ぶ機会をいただいたんです。眼科や皮膚科は女性の先生が多いような気がしますね。目の病気は「目が赤い」「涙が多く出ている」「目やにがひどい」というように、飼い主さんから見てもわかりやすいので、早めに来ていただけることが多いです。

専門用語でなく、飼い主さんがわかりやすい表現を

目の病気は、どのように治療をされていくのでしょうか?

目の表面の細胞を取って、顕微鏡で見る細胞診という検査をしたり、目の中に色をつける薬を入れて、涙の流れや目の傷を見たりすることが多いですね。目が赤くなっていて眼圧が高そうかな、と思ったときは、目の中の血管が特徴的な充血をすることがあるので眼圧計を使って眼の中の圧力を調べます。こういった検査は点眼麻酔で可能なので、動物にも負担が少なくて済みます。場合によっては、目の表面に軽く傷をつけて、新しい細胞を動物自身に作ってもらって治すという方法もあります。中には病気に見えても病気でない場合、例えば目が白く濁っていても、白内障ではなくて加齢性の変化という場合や、また、高齢であったり、皮膚病を患っている子は治療が長引きやすいのですが、やはり早めに診せていただけると対処がしやすくなりますね。飼い主さんはとても心配して連れて来られるので、そういったことはきちんとお話して、安心していただけるようにしています。

動物や飼い主さんに接する際、最も心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか?

飼い主さんのお話をよく聞いて、わかりやすく説明するのが第一ですね。獣医師やスタッフにとってはごく普通に使われている言葉でも、飼い主さんにとってはわかりづらいことが多いですから、身近なものに例えてお話することが多いです。例えば、ある病気のワクチンを打つときに、「いくつか型があるんですよ」と言われても、ピンとこないですよね。そういうときは、「ぶどうという果物の中に、巨峰やデラウェアがあるのと同じで、ワクチンに含まれる病気の型もいろいろあるんですよ」と言ったりしています。また、私になかなか話しかけにくいという方や、診察室を出た後に聞き忘れたことなどがあるかもしれないので、スタッフにも飼い主さんとよく話してもらうようにお願いしています。スタッフならお会計のときにも話せますし、その場合も後から私に伝えてもらうようにしていますので、何でも気軽におっしゃっていただけたらうれしいですね。

他に、日常の診療の中で大切にしていることはおありですか?

見る、触る、聞く、嗅ぐといった五感を生かすということです。さすがに味覚は生かせませんが、「違和感」という感覚は特に重要だと思います。「この症状は普通じゃないな」とか、「なんかいつもと違うな」という感覚は科学的ではありませんが、ときに大きな手がかりになることもあるんです。その違和感から、検査を追加したり問診を重ねることによって、病気が見つかることもあります。飼い主さんにも、「いつもと何か違う気がする」と思ったら、一度動物病院に来ていただけたらなと思います。違和感の正体が病気なのか、ちょっと調子が悪いだけなのか、ということを確認するのも、大切なことですから。

動物を飼う楽しさを、いつまでも感じてほしい

診察中の面白いエピソードがあればお聞かせください。

私自身が風邪をひいたとき、心配してくれたスタッフが「熱を測ってみたら?」と言ってくれて、測ったところ38度も出ていたんです。でも、ついつい動物を診ている感覚で「問題なかったよ、むしろ低いくらいだよ」と言ったら、「犬の体温じゃないんだから、熱出てるじゃないですか」とつっこまれてしまったことがあります。犬は平熱が38.5℃前後なので、人間の平熱のことをすっかり忘れていました。自分ではそうは思っていないのですが、たまに天然だねと言われますね。

たいへんお忙しいと思いますが、趣味やリフレッシュの時間はおありですか?

お風呂が好きなので、毎日湯船に浸かって、ゆっくりする時間をとっています。お風呂でその日の反省をしたり、次の日やることを頭の中で整理したりしていますね。時間があれば、スーパー銭湯に出かけたりもします。

それでは今後の展望についてお聞かせください。

私個人としては、「一流のジェネラリスト」をめざしていきたいと考えています。同じ病気と診断されても、対処の仕方は個々によって変わってきますから、何でも相談していただいて、その動物や飼い主さん、そしてご家族に合った治療をしていきたいですね。その結果、ときには悲しい結果になることもありますが、飼い主さんがそれを受け入れられるように、道筋を作るのも獣医師の役割だと考えています。そういったことを積み重ねていって、この病院自体が地域に信頼される場所であり続けたいですね。

最後に読者へのメッセージやアドバイスをお願いします。

いつもと少しでも「違う」と感じることがあれば、気軽にいらしてください。小さな心配をきっかけに大きな病気が見つかることもありますし、もし来てみて「何でもなかった」ことがわかれば、それで安心できますから。また、最近は「もう歳だから、この子の次は動物は飼えないわ」とおっしゃる飼い主さんが増えてきたように思うのですが、いつまでも動物を飼う楽しさを感じていただきたいですね。

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