木村 慎二 院長の独自取材記事
恵愛動物病院
(八千代市/八千代中央駅)
最終更新日: 2023/01/22

東葉高速鉄道の八千代中央駅前から車で5分ほど行くと、落ち着いた住宅地にある「恵愛動物病院」が見えてくる。広々とした院内は動物たちがゆったりと過ごせるようにと工夫されており、犬猫の状態によって入院室を使い分けるなど、こまやかな配慮がなされている。院長の木村慎二先生は経験豊富なベテランドクターだ。的確な診断によって、患者・飼い主それぞれの状況に合わせて適切な治療法を提案している。先生の温かい人柄に長く通う患者も多く、何でも相談できる医院として地域住民からの信頼を集めている。そんな木村院長に獣医師を志すようになったきっかけや、犬猫に多い病気について、診療で心がけていることなど、じっくりと話を聞いた。 (取材日2016年8月4日)
病気の知識を身に付けたいという思いで獣医師に
先生がここで診療を始められたのはいつからですか?

大学を卒業して勤務医として3年ほど経験を積んだ後にここでの診療を始めたので、1994年からですね。ここはもともと私の妻のお兄さんがやっていた動物病院だったんです。私の大学の先輩でもある彼から、病院を引き継ぐ形で診療を始めました。地元に密着しながら動物たちの健康を支えてきた病院なので、名前もそのまま変えずに残しました。私の実家は電車ですぐのところにあり、このエリアにはなじみがあります。自然も多く、動物を飼うにはとてもよい環境ですよね。大きな公園もありますし、川沿いには遊歩道もあるので、犬の散歩にも困りません。のびのび動物を飼えると思います。
先生が獣医師になろうと思われたきっかけを教えてください。
子どもの頃から釣りが好きだったので、最初は海洋学部に進もうかなと考えていました。ところが、中学生の時に子犬を拾い、飼い始めたことで獣医師という仕事を意識するようになりました。大きなきっかけとなったのは、その犬がフィラリアにかかり6歳くらいで死んでしまったこと。フィラリア予防が始まったばかりの頃だったので知識も全くなく、そもそも犬を病院に連れて行くという習慣がなかったので、気づいた時にはお腹に水が溜まってしまっていました。太っているからと一生懸命運動をさせていたのですが、途中でパタっと倒れてしまう。今考えると太ったのではなく病気の症状でした。自分で拾ってきたこともあって、とてもかわいがっていましたから、知識があれば予防できた病気で死なせてしまったことが悔しかったですね。それで獣医師になろうと決めたのです。
大学でのお話しを聞かせていただけますか?

今と違って昔の大学では、動物保護センターから殺処分前の動物を譲り受けて実習などを行うこともあったので、とてもかわいそうでした。そうした気持ちから、卒業するときにはそれぞれ1頭引き取って、面倒を見ることがありました。私も1頭もらってきて飼っていたのですが、その子が子犬を産んで、またその子が子犬を産んで……と代々育ててきたんです。大学では、先生や先輩の手術に立ち会い技術を学びました。卒業後も動物病院で勤務していました。何事も経験していくなかで技術を身につけてきました。
ドッグトレーナーが犬のしつけ方についてアドバイス
犬がかかりやすい病気はありますか?

いろいろな病気がありますが、腫瘍やお腹を壊したりということが多いですね。暑い時期になると皮膚病が増えますし、アレルギーの子もたくさんいます。体質によって皮脂が多いワンちゃんは、こまめに体を洗ってあげたほうがよいでしょう。最近ではアレルギー専用の薬もあります。また、歯周病にも気をつけましょう。歯石がひどくなるとどんどん歯が抜けてしまったり、口の中に穴が開いてしまうこともあります。早めに歯石をとって、その後にブラッシングや液体の歯磨きなどで予防することが必要です。以前はよく見られたフィラリアはだいぶ少なくなってきました。私が開業したての頃はまだ多かったですが、今は生後2、3ヵ月くらいから薬を飲んでおけば予防することができます。
犬のしつけについて教えてもらえると伺いました。
ええ。ドックトレーナーの勉強をした獣看護士による、しつけのアドバイスも行っています。しつけがうまくできないと、飼い主さんが犬に対して接しづらくなったり、かわいがれなくなってしまいますが、飼い始めた時からきちんとしつけができていれば、飼い主さんも安心して楽しくペットと暮らすことができます。そのためにはやはり最初が肝心です。当院にいらっしゃる飼い主さんの悩みで多いのが、甘噛みに困っているというもの。生後2、3ヵ月くらいで、人や車、他の犬に慣らしてあげて、爪を切る練習や、口に触る練習などを細かくやっておくと、大きくなっても噛むことはありません。猫についてのしつけはありませんが、当院では食事や一般的な飼い方のコツなどをアドバイスしています。
猫に多い病気を教えてください。

当院に来る猫たちの中にも高齢の子がたくさんいるので、腎臓の病気はよく診療します。遺伝で若いうちに腎臓病になる場合もありますが、どちらかというと高齢猫がかかる病気です。症状としては水をたくさん飲んで、おしっこをたくさんするというもの。早めに見つけることができれば、比較的良い状態を長い期間にわたって保つことも可能ですから、調子が悪そうな時には早めの来院をお勧めします。ごはんが食べられなくなってからの対応は限られてしまいますが、食べられる状態でスタートできれば選択の幅も広がります。
正しく初期診断を行い、適切な治療を提案
診療で心がけていらっしゃることはありますか?

なるべく正しい判断をして、当院で対応できる病気であれば最後まで診てあげることですね。そして、もし難しい病気や専門的な処置が必要だと判断すれば速やかにそうした病院をご紹介します。飼い主さんからすると他の病院に行くことに抵抗がある方もいるようですが、やはり専門の分野ではその分野に詳しい先生に診てもらうのがよいと思います。そうした病院にスムーズにおつなぎするために、的確な初期診断をすることが当院が果たす役割だと考えています。動物の治療では飼い主さんたちとのコミュニケーションも大切ですから、飼い主さんがやりやすい方法を選べるようにと配慮するように心がけています。同じ病気でも治療法はいろいろあります。当院ではペットの状態にあった最適な先生を紹介できますので、不安が残らないよう、わからないことは全部聞いてほしいですね。
ところで、先生はお休みの日はどのようにお過ごしですか?
子どもの頃から好きだった釣りには今でもよく行きますよ。大学時代にラグビー部に所属していたのですが、そのときの友人と一緒に行くことが多いですね。のんびりとできるのでリフレッシュになるんです。あとは、趣味でテニスもやっていて、だいたい月に1回くらいは決まったコートに通っています。日に焼けているのはそのためなんです。1日プレイをすると真っ黒になってしまいますからね(笑)。まとまった休みがとれれば、家族とキャンプに行くことも楽しみの一つです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

これからも「なんでも相談できる医院」として、この地で診療を続けていきたいと考えています。病気の動物たちの治療をしているとどうしても最期を見送る場面も出てきますが、別れを経験した飼い主さんたちがまた新しい動物を家族として迎えて、当院に連れて来てくれるようになると私もうれしくなります。診療に関しては、出来る限り最善の治療法を考えてご提案しますので、ペットの調子が悪そうなときは早めに来院してください。早く気づくことで対処できることもあります。例えば、吐いても元気で食欲があれば問題ないのですが、何回も吐いてぐったりしているというような場合には注意が必要ですから、常日頃から飼い主さんが観察をしてあげることが大切です。少しでも不安がありましたら、どんなことでもかまいませんので、相談お待ちしています。そして、7、8歳を過ぎたら年に1回は定期検診を受けましょう。