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坂井田 誠 院長の独自取材記事
りょう動物病院
(平塚市/平塚駅)
最終更新日: 2023/01/22
平塚総合公園の裏手、大きな道路沿いの2階建ての建物が「りょう動物病院」だ。広い駐車場と窓を多くとり、動物病院のイメージとは少しかけ離れた明るく解放的な空間。広々と確保された待合室にはペットの健康に役立つ情報を伝える手書きポップが貼られ、坂井田誠院長の愛犬ジュンが人懐こい笑顔で迎えてくれた。大学卒業後、開業に至るまでの5年間で、一次診療、二次診療はもちろん、動物園での勤務も経験したという院長。高い専門性と心の通うコミュニケーションを大切にする診療で人気を集め、現在は定休日なし、朝9時から夜7時までの診察で多くの動物たちを迎えている。気さくで話しやすい雰囲気ながら、勤勉な努力家である一面ものぞかせる院長に、クリニックの診療や動物たちへの思いなどをお話しいただいた。(取材日2015年11月25日)
予防医学からしつけまで、何でも相談できる動物病院
広々としたスペースが印象的なクリニックですね。
最初は別の場所で開業したのですが、皆さんの通いやすさを考えて、駐車場が広くとれるこの場所に3年ほど前に移転してきました。1フロアに3つの診察室と手術室・レントゲン室、犬用と猫用で完全に独立させた入院室と、トリミング室を設置することができました。待合室も2面の壁に沿う形で2コーナーに分けて確保したので、他の動物が苦手という子でも距離を保って待ち時間を過ごしていただけます。また、無料駐車場も敷地内に10台分をご用意することができました。動物を連れての来院では、「駐車場が近い」ということも大切なポイントとなると思いますので。
予防医学にも力をいれていらっしゃるとか?
人間のように保険が使えない動物医療には、高額なイメージを持っていらっしゃる方がほとんどです。実際、病気になってしまうと、高額な治療費負担が発生してしまうことも。それを防ぐために、病気になる前からできるだけの対策をしながら飼うということは、とても大切だと思うのです。そのためのアドバイスは、常にさせていただいていますね。
病気にならないアドバイスというと具体的には?
例えば避妊手術があります。犬猫では乳がんや乳腺腫瘍、子宮に膿がたまるなどの病気がとても多いのですが、これらは事前に避妊手術をしておくことで防ぐことができます。集団生活を送ってきた犬は、自分が出産しなくても群れの中で赤ちゃんを育てられるよう、発情期には4〜5対もある乳房から母乳が出ることもあるのです。若いうちに避妊手術をしておくことで、乳腺の発達を防ぎ、病気にならない体にすることができます。早めの手術が効果的ですので、当院では生後6ヵ月くらいのタイミングでの手術をお勧めしています。他にも、ワクチンの接種はもちろん、歯周病を防ぐための歯磨きや爪を切るなどの体のケアも、病気を予防するという意味では有効です。
体を清潔に保つお手入れが、病気の予防にもつながるのですか?
その通りです。また、日常的に体のケアを習慣づけておくことで、異変や異常に気づきやすいのです。さらに、普段から丁寧なケアを受けている子は、体を触られることに対して抵抗感を持ちにくいというメリットもあります。私の飼い犬であるジュンはとても人懐こく、体を触っても怒るようなことはありません。これは性格もありますが、幼い頃からそのように接してきたからというところも大きいのです。症状が出て来院しても、暴れて体を触らせないような子は、診察も治療も難しくなります。小さな頃から大事にしすぎて、わがままに育ててしまうと、後で軌道修正をするのに何倍もの手がかかってしまいます。小さなうちからきちんとしつけるということは、飼いやすさという観点だけでなく、体調管理のためにもとても重要なのですよ。しつけや、動物との信頼関係を築くことの大切さを伝えるのも、私たちプロの役割だと思っています。
高度医療と通いやすさを両立した頼れるクリニック
診療にあたって心がけていらっしゃることは?
私たちは動物たちの一生と飼い主さんの暮らしを守る立場であると思っています。そのために、プロの視点から、皆さんの疑問や不安を解消することが大切だと思うのです。ふと生まれた疑問や不安を、気軽に相談できる場でありたいとの思いから、入りやすい病院作り、話しやすいムード作りには力を注いでいます。ほんの小さな変化に大きな問題が隠されていることもよくあります。「こんなことで病院に来ていいのかな?」などと思う必要はありませんので、気がかりなことがあればいつでも気軽にご相談ください。
定休日なしの9〜19時診療というのも通いやすい理由ですね?
病気に病院の都合など関係ありませんし、思い立った時にすぐ来ていただけるようにと思っています。現在、信頼できる獣医師と2人体制で丁寧な診療を心がけていますが、それでも混雑してしまってどうしても待ち時間が発生してしまうというのが課題です。今後はさらなる人材確保も視野に入れ、「いつでも、気軽に」来ていただける病院をめざして、医療レベルは維持しながら、通いやすさの面でもさらに改良していけたらいいですね。
先生は腫瘍の専門家でもいらっしゃるそうですが?
大学卒業後、一般の開業医での勤務を経験したのですが、高齢化が進む獣医療において、腫瘍の専門的な知識が欠かせないと感じ、大学病院の腫瘍科に勤めて二次診療を経験しました。手術、抗がん剤療法、放射線療法、対症療法など、腫瘍には多方面からの治療が必要。専門外来での経験から、多くのことを学ばせていただきました。医療は常に進化していますので。現在でも診療後や休みの日には学会やセミナーに積極的に参加して、情報をアップデートするように心がけています。
その後、動物園にお勤めになったこともあるとか?
はい。動物園での勤務でも多くを学びました。展示用動物の健康管理と並んで、事故にあった野生動物などを保護、治療して野生に戻す活動も動物園獣医の大切な仕事です。一度、野生タヌキの治療にあたっていた時に、不注意から左手の薬指を噛み切られる事故を経験しました。野生動物はペット以上にコントロールが難しいものですが、その時に「動物と向き合うことに付随する危険性」を強く再認識しました。失敗から学び、絶対にこうした事故を繰り返さないという決意で、現在も診療にあたっています。「動物相手だからケガをしても当たり前」という病院にはしたくない、そのことは繰り返しスタッフにも伝え、安全管理に気を配るようにしています。
「頼れるプロ」と長くつきあうことが大切
「りょう動物病院」の「りょう」の由来は?
「りょう先生」と呼ばれることも多いのですが、私の名前ではなく、実家で飼っていた犬の名前からとりました。「りょうすけ」は病気がちな犬でした。高校時代に進路を決定する直前にも大きな病気をして、地元の獣医師に助けてもらうという経験をしました。自ら獣医師として他の動物たちにその恩を返していきたいという思いから、獣医師を志すようになったのです。「りょうすけ」はここをオープンする半年前に残念ながら他界してしまいましたが、初心を忘れないためにも、クリニック名に彼への思いを込めたのです。
今後、クリニックをどのように展開していきたいですか?
これ以上規模を拡大したいなどの思いはないのですが、患者さんをお待たせしないよう、スタッフを充実させていきたいですね。あとは、私自身まだまだ勉強不足と感じるところが多く、もっと勉強して「あそこに行けばなんとかしてもらえる」と頼られる動物病院にしていきたいと考えています。毎年、自分でテーマや課題を見つけて意識的に勉強に取り組むようにしています。今はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に興味を持っており、今後はその奥深い分野での知見も広げたいですね。
読者の皆さんにメッセージをお願いします。
当院に限らず、かかりつけ医院を大切にしてほしいと思います。情報があふれている時代だからこそ、信頼できるプロを見つけて長く付き合うことが、ペットの幸せな一生を支えるのです。当院ではセカンドオピニオンも大歓迎ですが、基本的には休日などに飛び込みでいらっしゃる方もかかりつけ医に戻るようにお願いしています。ドクターと飼い主の信頼関係はとても大切だと思うのです。もちろん、当院でも現在の気軽に相談していただけるというスタンスを今後も変えることなく診療を続けていきます。信頼して通っていただく方の思いにお応えできるよう、スタッフ一同全力で頑張りますので、よろしければぜひ一度ご来院ください。