関水 潔 院長の独自取材記事
関水動物病院
(大和市/桜ヶ丘駅)
最終更新日: 2023/01/22
小田急江ノ島線桜ケ丘駅から徒歩5分、閑静な住宅地の小高い丘に位置する、白壁に大きな窓が印象的な「関水動物病院」。今年5月に改装したという院内は、犬、猫それぞれの外来エリアを分けたり、バリアフリーにも対応するなど、飼い主に対する配慮が随所に感じられた。関水潔院長は、父である先代の院長からこの動物病院を引き継いで今年で10年になるという。「動物が好き、そして人間が好き」という関水院長は、幼い頃から先代の院長の診療を間近に見てきた。謙虚な言葉からは、実直で誠実な人柄がうかがえる。獣医師として地域にどんな貢献ができるかを模索する関水院長に話を聞いた。 (取材日2016年6月7日)
大和市内で歴史のある動物病院
こちらの動物病院は、大和市内でも古くから診療されているそうですね。
はい、1966年に父が開院しました。この辺りは、先祖代々の縁の土地ということもあり、こちらでの開業を決めたようです。当時は、人以外の動物は何でも診ていたそうですが、今は犬・猫専門で診療しています。私も母と一緒に父の診療を手伝うこともあり、小さい頃から自分も獣医師になるのだと思っていました。また、私自身、動物が大好きで、秋田犬・柴犬・紀州犬・土佐犬など日本犬、ポインターやセッターといった洋犬や猫も飼育されていた環境で育ちました。これも、飼っていたというより、一緒に家にいた感じですね。家の中や外でまるで家族のように犬や猫が住んでいました。動物病院を開いた後も、父の往診にもよくついて行ったものです。父の姿を見ていて、中学高校の頃は、早く自分でも注射やオペをしてみたいと思っていましたね。
迷いなく獣医師の道を進まれたのですね。
迷ったのは、動物の医師か人間の医師か、ぐらいでしょうか。しかし、結局獣医師になることにして、麻布大学を1993年に卒業し、その後1年間は麻布大学附属動物病院で研修しました。その後2年間、埼玉の尊敬する先輩の動物病院で臨床を学ばせて頂き、1996年から当院に勤務しています。その後10年間は当院で父にみっちり仕込まれました。これまでの経験が今に生きていますね。当院は歴史が古い分、さまざまな症例の経験があり、設備なども長年診療していく中で自然にいろいろ充実してきたというか、より新しいものになってきた、という感じです。
獣医師になってよかったと思うのはどんなときですか?
手術は、とてもやりがいがありますね。飼っている動物が病気になると飼い主さんも心配そうですが、動物が元気になると飼い主さんも元気になるので、その様子が見られるとうれしいし、やりがいを感じますね。そういうとき、獣医師になってよかったと思います。
最善の方法を模索する診療体制
こちらには、獣医師が複数いらっしゃるとのことですが、どのように連携されているのですか?
治療の難しい病気については、獣医師同士のミーティングで診療方法を決めています。一人が見るのではなくチームとして動物を診ているんです。有獣医学も日進月歩で、一番若くて経験の浅い医師の意見が一番良いこともあるんです。多くの場合は、経験の多い獣医師の判断のほうが良いことがほとんどなのですが。また、獣医師、動物看護師、トリマーが一致団結して患者さん達に対応しますので、当院では、スタッフ同士のミーティングを重視していて、うまく連携していると思いますし、私自身、勉強になることも多いですね。診療においても、よりスムーズな情報共有をするために、電子カルテを使用しています。外部の勉強会や学会にも積極的に出かけて行って常に新しい獣医学を学ぶようにしています。
どんなことを診療で心がけていますか?
視診、聴診、触診等、五感をフル活用し、必要に応じて先進の検査機器を使って、慎重に正確に体の状態を把握するようにしています。次にその内容を飼い主さんにわかりやすくお伝えし、お互いに情報を共有しながら、最善の治療、看護法を見付けていくようにしています。動物は言葉が通じないので意思疎通が難しいですが、顔を見ると、重い病気か軽い病気かはわかりますね。表情に出るのです。また、メニエール病、心臓病、白内障などは診断名を伝えると、飼い主さんも同じ病気の経験をお持ちだったりすることがあるので、飼い主さんとのお話は大事ですね。飼い主さんに説明するときには、なるべく専門用語を使わず、わかりやすい言葉で説明するようにしています。
飼い主さんのための爪切り教室などもやっているのですね。
はい。そのほか、パピーパーティーという子犬のしつけについてや、歯磨き講習なども行っています。もともとこういうイベントを院内でやってみたいなと思っていましたが、通っていらっしゃる飼い主さんの中にドッグトレーナーの方がいて、その方と一緒に実現することになりました。
今年5月に改装されたとお聞きしました。
まったく偶然ですが、今年は開院50周年で、そういう節目の年に院を改装できてよかったとスタッフに言われました。猫の外来と犬の外来エリアを分けました。犬が近くにいるとどうしても縮こまってしまう猫ちゃんも多いのですが、分けることで落ち着いて待てると思ったからです。その他、診察室の奥に、レントゲン室、手術室、エコー室、トリミング室などがあります。手術によっては一泊二日で泊まることになりますが、飼い主と離れて動物がストレスを感じるので、入院室(宿泊用のゲージ)は大型・中型・小型犬、猫用にすべて部屋が分かれていて、かつ通常のものより大きくゆとりがある設計にするなど、なるべくストレスがかからないように院内でも工夫しています。飼い主さんにとっては、動物は家族ですから、常に最善のケアを心がけて、大事にお預かりしています。
獣医師として、地域に貢献する方法を考えていきたい
お休みの日は、どのように過ごされていますか?
趣味は、小さい頃から柔道をやっていまして、今でも高校の柔道部に顔を出しています。一応、黒帯ですが、後輩たちに教える中でこちらが教えられることもありますね。また、大学時代は馬術部に所属していたので、時折練習に参加します。あとは家族と過ごすことが多いですね。
獣医師会活動をされているそうですが、どのようなことをされているのですか?
主に関わっているのは、動物介在教育と人獣共通感染症の予防です。動物介在教育というのは、小学生や中学生が動物と触れ合い、命の大切さを知ってもらうものです。弱い動物に愛情をもつことで、友達同士でも愛情をもてるように、また人を大事に思う感情をもって大人になれるようにと思って関わっています。また、動物に関する講演や、学校の先生も参加する合同の勉強会なども行っています。人獣共通感染症は、主に狂犬病の予防接種ですね。日本では狂犬病はすでに根絶しているのですが、近隣諸国にはまだ残っていて、いつ外国から入ってくるか分からない状況です。また、普段飼われているペットの寄生虫の駆除等も人獣共通感染症の予防です。
地域の人々にも関わる活動ですね。
はい。私は、動物と同様に、人も大好きです。今は動物病院の業務がメインですが、子どもが大きくなって独立したら、獣医師としての経験を生かして、さらに地域に貢献していきたいと考えています。
最後にメッセージをお願いします。
現代は核家族化が進むなど、単身世帯も増えてきました。また、例えばご高齢の方でも、動物がそばにいれば明るくなれるという点で、動物は大切な存在だと考えています。そのため、伴侶動物の存在はこれからますます重要になっていくのではないでしょうか。ペットを亡くされた高齢の飼い主さんに、「次は自分のほうが先に逝ってしまうから飼えません」と言われると、私は、「いざというときには何とかするから、飼ってみてはどうですか?」と勧めます。ペットが元気だと飼い主さんも元気になれることがよくあるからです。そういう意味で、診療する動物はわが子、飼い主さんは家族と思って、親身になって診療しています。また、休診日や夜間は、他の動物病院を紹介することも可能ですので、気になることは気軽にご相談ください。