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両國 和教 院長の独自取材記事

小林動物病院

(平塚市/平塚駅)

最終更新日: 2023/01/22

ペットを飼いやすい環境のある神奈川県平塚市。その平塚で開業から30年以上の歴史を誇るのが「小林動物病院」だ。現院長の両國和教先生は、病院の創立者で、現在も顧問を務める小林武医師からの依頼を受け、2年前から同院の院長として日々奮闘している。「直接治療をするのは動物たちですが、私は飼い主さんを介して診療する必要があると思っています。治療のためとはいえ、飼い主さんができる範囲を逸脱して強制をしてはいけないと考えています」と、両國院長は動物だけでなく、飼い主を見守ることも決しておろそかにしない。今回は院長就任から2年目を迎えた今、動物医療にかける思いをたっぷりと聞いた。(取材日2016年1月14日)

犬、猫、エキゾチックアニマルまで幅広く診療

院長に就任なさってから2年目だとお伺いしました。

当院は、現在顧問を務める小林獣医師が31年前に開業した病院です。小林顧問とは大学の先輩、後輩という間柄で、病院を任せたいという申し出をいただいて私が院長に就任したのが2014年。小林顧問には、病院の運営全般に対するアドバイスをいただくのはもちろんですが、現在も週に1~2日ほど、診療にも入っていただいています。当初は私自身、この病院や院長という立場になじむことで精一杯でしたが、最近ようやく昔から通院してくださっている飼い主さんたちにも認知され、信用をいただけるようになってきたなと感じ始めているところです。

どんな動物を診療対象にされていますか?

犬、猫が診療の中心ですが、現在小林顧問と私以外に数名の獣医師が在籍しており、ハムスター、鳥などエキゾチックアニマルの診療が得意なものもいるので、そうしたペットたちの診療も引き受けています。より専門的な治療が必要と判断した場合にはそうした専門病院にご紹介するなど、他の動物病院とも連携して最善の治療をご提供できるよう環境を整えています。

現在はどういった動物が多く通院しているのでしょうか?

現在は犬が圧倒的に多いですね。地元でも一番歴史がある動物病院のひとつですし、規模もそれなりに大きいので平塚にお住まいの方だけではなく、近隣の大磯や小田原、茅ヶ崎などから通院されている方も少なくありません。そのため施設内に5台分の無料駐車場を設けているほか、無料でご利用いただける契約コインパーキングもご用意しています。以前は当院に通院経験がある方のクチコミで評判を聞いてきたという方が多かったのですが、最近は私が獣医腫瘍科認定医の資格を取得していることや、積極的にセカンドオピニオンを受け付けていることもあり、ペットの腫瘍疾患の治療で悩んでいる飼い主の方が、インターネットなどで調べてセカンドオピニオンや治療を求めていらっしゃるというケースも増えているように感じます。また、近隣の動物病院で検査の結果腫瘍があることがわかった場合に紹介で来られることも増えています。

一度引き受けた動物には、最期の瞬間まで責任を持つ

院内の設備についてご説明いただけますか。

犬、猫を中心とした動物の検査、診療を行うために必要な設備はほとんど完備しているといってもいいと思います。診療室は全部で3つあり、そのうち2つが犬、猫用で残りの1つはエキゾチックアニマル専用です。検査については院内でレントゲン撮影、血液検査、超音波(エコー)検査、内視鏡検査を行え、手術については避妊・去勢だけではなく腫瘍の摘出といった手術も大型犬を含め対応しています。そのため入院設備についても、大型犬にも対応できる犬舎を備えています。医療機関としての基本といえますが、オートクレーブ(高圧病気滅菌器)も導入し、院内感染の防止や動物にとって最適な環境の維持に常に努めています。

トリミングやペット預かりも実施しているそうですね。

入院用に、大型犬にも対応できる犬舎もありますので、施設の空きにもよりますがペットのお預かりサービスも実施しています。対象となるのは大型犬を含む犬、猫だけではなく、フェレット・うさぎ、そしてハムスターといった小動物も対象です。トリミングについては、トリマーの専門資格を持った者が対応しています。ただし、トリミングの場合も、ペットのお預かりの場合も、当院への通院歴の有無は問いませんが、きちんとワクチン接種をしている動物のみを対象としています。

往診も実施していらっしゃるとか。

現在、ご要望があれば対応しており、月に数回ほど往診を行っています。最近はペットの寿命も延びて高齢犬の介護といった問題が顕著になってきています。それと同様に飼い主の高齢化にもこれからますます拍車がかかると思います。ですから当院に限ったことではないと思いますが、これからは往診を必要とするケースがどこでも増えてくるでしょうね。

往診を始められたきっかけを教えていただけますか。

実は往診を始めたのは、当院にずっと通院されていた飼い主のお一人から、ペットの大型犬の具合が悪くなったのだけれど、高齢で車もなく通院できないので往診をお願いできないかという問い合わせがあったことがきっかけでした。これは当院の診療方針にも通じるかと思うのですが、一度診療した動物たちについては、最期の瞬間まで責任を持って診療にあたりたいと思っているんです。一度診療させていただいた動物たちについては、病状が悪化して動けなくなったり、飼い主の方の事情で通院ができない状況になったのなら、往診をしてでも最後まで責任を持ちたいと思っています。

求められたらいつどんなものでも対応できる環境を

飼い主の方と向き合う上でどんなことを大切にされているのでしょうか。

獣医療が人間医療と一番異なる点は、治療対象は動物であったとしても、飼い主を通じて行うという点にあると考えています。ですから仮に「こうすれば治癒が可能だ」という治療方法があったとしても、通院や介護にかける時間、そして金銭的な面などで飼い主の負担の限度を超えるのであれば、その治療方法を飼い主に対して強制すべきではないと私は考えています。ですから検査、診察した上でどのような治療の選択肢があるのかをご提示はしますが、最終的な選択、そしてどこまで治療するのかについては飼い主の方のご判断に任せるようにしています。当院では、飼い主の方がどんな判断をされても対応できるように、設備や治療技術を持ち合わせることはもちろんのこと、当院で対応できない治療の場合には適切な施設をご紹介できる環境まで整えておくことが、動物病院として、また獣医師としてのプライドだと考えています。

動物との向き合い方で大切にされている点はありますか。

検査をするときも診療をするときも、必要以上に苦痛を与えないということを一番大切にしています。動物の場合、診療時間が長引けば長引くだけストレスになります。ですから短時間でいかに必要な情報を動物から引き出すかが大切になり、意識しているところです。

先生ご自身が息抜きで取り組まれている趣味などはありますか?

サーフィンと、動物と対することも大好きです。私が獣医師を志したのは子どもの頃、家で犬を飼い始めたことがきっかけだったので。平塚は海に近いこともあり、実はこちらに暮らし始めてから始めたのでまだまだサーフィンのキャリアは浅いのですが、逆に始めたばかりで一番おもしろさを感じていて、時間があれば海に出かけています。

最後に、飼い主の方に何かアドバイスがあればお願いします。

動物は自分が具合が悪くても、それを言葉で飼い主に伝えることができません。野生においては具合が悪いそぶりを見せれば襲われる危険が高まりますから、隠そうとする習性がペットにも残っているんです。私の専門の腫瘍であれば、表面付近にできたものなら触れて感じることもできるので、少しでも違和感を覚える部分があれば、早めに一度病院で検査を受けていただきたいですね。一方、内臓にできる腫瘍の場合は触れて発見することはできません。動物の場合、食欲がないというのは重要なシグナルなので、いつもより食欲がなくて変だと思ったら連れてきてください。また犬の場合も猫の場合もおよそ10歳を目安としてそれ以上の高齢であれば年に2回、それ以下の若い犬猫の場合でも年に1回は、最低限血液検査とレントゲン検査、可能であれば超音波検査を受けさせることも大切だと思います。

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