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中島 保司 院長、中島 広樹 副院長の独自取材記事
中島動物病院
(綾瀬市/さがみ野駅)
最終更新日: 2023/01/22
さがみ野駅より車で5分ほどの住宅街にたたずんでいる、「中島動物病院」。同地に開院してから34年、クチコミで訪れる患者が後を絶たないという。それは中島保司院長と広樹副院長、拓人医師の親子で丁寧な診療を行ってきたことと、病気を発見するきかっけにもなるトリマーたちの鋭い観察眼の賜物であるようだ。保司院長は34年以上もこの地で動物医療に携わってきた。広樹副院長は、茅ケ崎の動物病院で経験を積んだ後同クリニックの医師として勤務。その院長と副院長に、興味深い話をたっぷりと聞いた。 (取材日2016年01月26日)
開院34年、クチコミで多くの患者が訪れるクリニック
開院されて34年目になりますが、クチコミで訪れる患者が多いと伺いました。
【院長】当クリニックは住宅街にあってわかりづらい場所にあるのですが、ご紹介いただいているおかげで多くの患者さんがお越こしくださっています。近隣の方だけでなく、都内や、遠方の患者さんもいらっしゃいます。クチコミでいらっしゃる方というのは、なかなか治らなくてお困りのケースが多いため、そういった病気を診させていただくことで経験を積ませていただいています。 【副院長】病気について納得のいく説明をしてもらえなかったり、今の治療法に不安を抱えていて、セカンドオピニオンとしていらっしゃる方も多いですね。当クリニックで色々と診察や検査をして診断をつけ、もし対応しきれない場合には専門のクリニックをご紹介しています。
クリニックの方針や特色などについて教えてください。
【院長】一人ひとりを大事にするということをモットーに診療にあたっています。どんなにいい仕事をしていてもお相手に伝わらないと意味がないので、丁寧な説明を心がけていますね。また、動物達を一日でも長生きさせることが私たちの使命なのですが、命は限りあるものですから、最後はどうしても亡くなってしまいます。その時に悔いを残さずに看とっていただけるよう、飼い主さんとのコミュニケーションをしっかりととるようにしています。
スタッフさんは、どのような方たちですか?
【副院長】院長と私、弟の3人が、ドクターとして勤務しています。他にトリマーが3人いるのですが、トリミングの最中にしこりや耳の汚れ、皮膚の違和感などに気づいて報告してくれますので、病気の発見につながることも多く、とても頼りになりますね。また、ドクターには話しづらいことも、トリマーとの何気ない会話からご相談いただくこともあり、助かっています。 【院長】動物病院のトリマーは、普段から我々ドクターと話す機会もありますから、病気を見つける目を持っていますので信頼できます。副院長が申し上げたように、彼女たちは本当にたくさんの病気を見つけるきっかけを与えてくれていますね。「以前より毛が薄くなった」とか「最近太ってきた」などささいなことも気づいて報告してくれます。彼女たちの仕事ぶりに感謝しています。
ペットを通した人とのつながりを、提供していきたい
ヒューマンアニマルボンドやコンパニオンアニマルの重要性などについてお考えと伺いました。
【院長】そうですね。最近では、高齢者の方が「私もう生き物は飼えませんよね……」とお話しになることが多くなり、私は「飼うといいですよ」と申し上げているんですよ。これからの時代、核家族になって、いずれ夫婦2人になって、やがて一人になる。そういう時に、生きる喜びを得るのに生き物ほど素晴らしいものはいないと思います。例えば、金魚1匹飼うことでも「私がいなかったらこの子は生きていけないんだ」という気持ちを持つことで、生きる力につながっていきます。犬を飼うことによっていわゆる犬友達など飼い主さん同士のつながりが生まれることもあります。当クリニックを通じてたくさんの犬友達の輪が広がり、飼い主さんたちの人間的なつながりが自然に生まれてくることが、私にとっても喜びですね。
診療に際して、どのようなことを心がけていらっしゃいますか?
【院長】まず、飼い主さんのお話をよく伺うことを心がけています。検査だけに頼らず、動物をよく見てよく触ることも大切ですね。私の昔からの口癖なのですが、「正常な生き物を見れば見るほど異常に気が付く」んですよ。どんな病気であっても聴診を必ずするようにしているのですが、正常な音を聴いていると、そうでない音に気づくことができます。このように、正常な状態を良く知ることが、異常を見つける早道だと考えています。 【副院長】1次診療の長所だと思うのですが、飼い主さんと直接の関わりが多い分、お話を聞く時間をしっかりとりたいと思っています。その上で、技術的には2次診療に近づけるようにしていきたいと思います。当クリニックでは、去勢や避妊、腫瘍、骨折など多くの手術ができますが、場合によっては設備が整っている大きな病院をご紹介させていただいています。
何か思い出深いエピソードがあれば、教えてください。
【副院長】昨年末のことですが、ワンちゃんの足のくるぶし辺りに大きな腫瘍ができていて、他院で「断脚しないと難しいよ」と言われた飼い主さんがセカンドオピニオンとしてお越しになりました。念のため病理診断で細胞を調べてもらったところ、やはり断脚が望ましいような状況で。さらに血小板の減少や貧血もあり、輸血が必要なほど深刻でしたので、川崎の高度医療センターをご紹介しました。そのワンちゃんは血管肉腫という悪性腫瘍だったのですが、それとは別に形質細胞性腫瘍が足だけでなく全体にあったと聞きました。結果的に最初のクリニックと同じ診断でしたが、飼い主さんに納得していただけたことで命を救うことにつながり、良かったと思います。
クリニックでできる限り診療する1.5次診療をめざす
獣医師をめざすようになったきっかけについて、教えてください。
【院長】小学生の頃飼っていた犬がフィラリアにかかり、妙蓮寺にある動物病院で診ていただきました。当時はフィラリアの薬がとても高くて、結局死んでしまいましてね。そのことがずっと心残りで、中学生になってから再び妙蓮寺の先生に会いに行ったんですよ。獣医師になりたい気持ちを相談してみたところ、「君ならなれるよ」と励ましてくださいました。こうして開院することができ、やりがいを感じています。 【副院長】自宅がクリニックの上にあることもあり、父の仕事ぶりを見てきました。また、父が会議などで留守をしている際に急患が来て、父に電話をして指示を受けることもあり、中には、状態がひどくて助けてあげられない子もいて。その時の「もっと他にしてあげられることがあったかもしれない」という思いもきっかけの一つかもしれません。
お忙しい中、休日はどのようにお過ごしでしょうか。
【院長】植物が好きなので、たくさん育てています。当クリニックの駐車場の脇や玄関などにも植えているんですよ。他に、今はあまり行けませんが、釣りと山歩きも好きですね。 【副院長】できるかぎり家族と過ごす時間をつくりたいと思っていて、3人の息子たちと、公園に遊びに行ったりしながら過ごしています。もう少し大きくなったら、父に連れてもらったように山登りなどにも連れて行きたいですね。
クリニックの今後の展望について、教えてください。
【院長】私たちドクターにとって、とても大事なのは、的確な診断をして自分の病院でできることはするということだと考えています。その上で対応が難しいと判断したなら、専門医をご紹介することも大事な仕事ですね。今まで以上に的確な診断ができるよう、精進していきたいと思っています。 【副院長】1次診療の長所を生かしつつ技術的に少しでも2次診療に近づけていく、いわば1.5次診療という形を実現させたいと思っています。手術や検査についてもさらにできることを増やして、当クリニックで診断がつけられるようにしたいですね。また、今まで以上に飼い主さんのお話をじっくり伺って、その会話の中から病気を見つけられるような関係性を強くしていきたいと思っています。