三橋 孝博 院長の独自取材記事
みつはし動物病院
(川崎市中原区/元住吉駅)
最終更新日: 2023/01/22
水色の地に白の文字で描かれた「みつはし動物病院」の看板は、住宅街に違和感なく溶け込みながらも、見る人に鮮やかな印象を残すデザインだ。その秘密は、看板中央に描かれたサーフボードと、その脇に佇む犬の後ろ姿を描いたかわいらしいタッチのロゴマークにあるだろう。ロゴマークをデザインしたのは、三橋孝博院長の妻であり、ともに医院を守る三橋美央先生。命を救いたいという思いに無類の動物好きが重なって獣医師になったというふたりは、動物たちとの生活で学んできたことを日々の診療に生かしている。さまざまな動物を飼育してきた経験と、生き生きとした話しぶりから動物への愛が伝わる三橋院長に、診療のポリシーについて聞いた。 (取材日2015年12月24日)
多様な動物との生活から、飼い主目線での診療が可能
開業にあたって、武蔵小杉を選ばれた理由を教えてください。
妻とふたりで開業の場所を探す中で、重視していたのは「子育てしやすい街であること」でした。地域に根を張って、子育てをしながら広く地域貢献していきたいと思っていたんです。武蔵小杉は住んでみると非常に理想に近い環境でとても気に入っています。学会でさまざまな地域に行くので、交通の便が良いのもうれしいですね。人間性豊かで温かい方が多いのも地域性だと思います。一年が経ちましたが、友達のように接してくださる方ばかりで、とても楽しく診療させていただいています。
看板や院内のタイルなど、水色が効果的に使われていますね。医院づくりでこだわった点はありますか。
私の趣味がサーフィンなので、海を想起させる水色を多く使っています。受付と診察室を仕切る壁に敷き詰めた水色のタイルもそうですね。妻がデザインしたロゴマークにも、ラブラドールレトリバーの隣にサーフボードが描かれています。施設面でのこだわりは、診察室をオープンにしたことでしょうか。怖がりな子 については個室で診察しますが、基本的に待合室から見える診察室を利用します。「逃げてしまうのでは」という不安を抱かれる飼い主さんもいらっしゃるのですが、ほとんどの動物は何も問題なく診察できますのでご安心ください。どのような診療や検査をしているのかをオープンにすることで、来院される方に安心感を与えられるのではないかと考えています。前もって言っていただければ、最初から個室での診察も可能です。
ご夫婦ともに、とても動物がお好きだそうですね。
はい。私も妻も、無類の動物好きです。幼い頃は、猫を拾ってきたものの家族にアレルギーがあるために飼うことができず、秘密基地に運んでこっそりと育てていました。中学時代からカメを飼い始め、今ではその魅力のとりこになっています。同じように動物好きで、フェネックやハリネズミといったエキゾチックアニマルを飼っている叔母の影響も大きかったと思います。私も犬、猫、リクガメ、うさぎ、小鳥などと一緒に暮らしているんですよ。だからこそ獣医師としてだけでなく、オーナー様と同じ目線で診療させていただいています。特にエキゾチックアニマルは、飼ってみないとわからないことがあるので、これまでの経験を生かしたアドバイスをしていきたいと思います。
犬・猫をはじめ、うさぎやカメ、エキゾチックにも対応
幅広い動物を対象に診療されていますね。
やはりメインは犬と猫ですね。エキゾチックアニマルは、全体の2割ほどでしょうか。ウサギ、ハムスター、鳥、カメといったところが多いですね。エキゾチックアニマルに関しては、診療可能な動物病院も少ないので、相談する場所がないとお悩みの方が多いと感じています。近隣には見当たらないということで、インターネットで調べてから当院に足を運ばれる遠方の方も少なくはありません。私もすべてのエキゾチックアニマルを飼ったことがあるわけではないので、残念ながら経験不足な動物もあります。それでもほかの動物の治療法を応用しながら、出来る限り多くの動物を診てあげたいと思っています。
往診も行っているそうですね。
通常の診療の合間、13時から16時の間で、手術や予約診療が入っていなければ往診をお受けしています。「飼っている大型犬がぐったりしているが、車がなく運ぶ手段がない」といった飼い主さんのご事情で連れてくるのが難しい場合や、猫ちゃんがどうしてもケージに入るのを嫌がる場合などにご依頼を受けることが多いですね。ワクチン接種から病気の治療といったさまざまな場面で、来院してもらうという方法のみではなく往診という方法を取り入れることで、ホームドクターとしてペットの一生に寄り添っていきたいですね。
診療の際、一番大切にしておられることは何ですか。
触診、聴診を必ず行うということです。私たちは、何をおいてもまず動物の体に触れて、状態を見極めた上で疑わしい病気を想定し、検査を開始するという流れを重視しています。「とりあえず検査をする」という考え方は、動物に余計な負担をかける上、コストも増大させてしまいますから、なぜその検査をするのか、何のために必要な検査なのかという根拠を明確にすることはとても大切だと思います。
飼い主とペットが健やかに暮らす手伝いをしていきたい
開業までの経緯の中で、今に生きていると思われるところを教えてください。
勤務医時代は、検査機器を駆使して診断を行う方法と、触診や聴診を基本に“動物を診て”診断を行う方法を学び、そのいずれもが現在診療を行う上での土台となっています。また大学時代の先輩である妻と同じ病院で働くことができたのも大事な経験ですね。開業前からお互いの診療の仕方やポリシーを共有できていたことが本当に大きいです。今、妻がどんな治療をするかは聞かずともわかりますし、妻も同じだと思います。いつも私の考えていることを先回りして準備をしてくれるので、やりやすいことこの上ないですよ(笑)。
飼い主さんに注意してほしいことやアドバイスはありますか。
特別気になる症状がなくても、定期的に検診を受けて、病気を未然に防いでいただきたいですね。また、すべての動物に共通して、ごはんをあげすぎないようにしてほしいと思います。特に猫に関しては、多くの子が肥満傾向にあります。糖尿病のリスクが高まりますし、関節炎の要因にもなるので、ご飯を置きっぱなしにしてほしがるだけあげるという給餌方法はなるべくさけることをお勧めします。また今までひとっ飛びだった段差を、椅子などを経由して降りるようになったら、関節炎を起こしている可能性があります。水を飲む量が増えたり、おしっこの量が増えたりしたときは、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、糖尿病の可能性もありますので注意が必要です。飼い主さんが気づきやすい変化だと思いますので、ふだんから様子をよく観察して、少しでもおかしいと感じたらなるべく早く連れてきてあげてください。
では最後に、今後の展望をお聞かせください。
獣医師としてのこれまでの経験や動物たちとの暮らしで学んできたことをベースに、学会に積極的に出席して新しい知識も積極的に取り入れて、ひとつでも多くの命を救っていきたいと思っています。できるだけ多くの動物を助けることで、地域の皆さんとつながり、仲良くしていけたらいいですね。家族の一員であるペットと飼い主さんがより幸せに、健やかに暮らしていくお手伝いができればうれしいです。