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馬場 美岐 院長の独自取材記事
アイペット動物病院
(野田市/川間駅)
最終更新日: 2023/01/22
東武アーバンパークライン川間駅・七光台駅より車で5分、イオンタウン野田七光台内にある「アイペット動物病院」を訪ねた。医院前には芝生のドッグランがあり、院内は木目のインテリアを用いた癒やし空間だ。やわらかい笑顔で患者や飼い主を迎える馬場美岐院長は、根っからの動物好きで自身も4匹の犬を愛情深く育てる。日本獣医生命科学大学で数多くの診療経験を積み、犬や猫だけでなく小動物の知識も豊富。開業にあたっては周囲の人々と支え合いながら医院づくりをすすめ、先端医療にも取り組む。真摯に患者と向き合い、飼い主との対話を大切にする姿勢から、厚い信頼を寄せて遠方から訪れる患者も多い。「動物たちの命を大事にしたい」と優しく語る馬場院長に、患者や飼い主、そして獣医療への強い思いを聞いた。 (取材日2016年7月25日)
動物の生命に興味を抱き、開業を経て新たなスタートを
獣医師をめざしたきっかけをお聞かせください。
私の出身はこの野田市ですが、田舎は岩手県にあり、とても動物好きな祖父母が小鳥や犬と暮らしていました。小さい頃に田舎に帰ると、いつも朝5~6時に起きて小鳥のご飯づくりから一日が始まり、犬の散歩に出かけていました。とにかく動物と触れ合うことが多かったので、私も自然と動物が好きになりましたね。ちょうど自分の将来を考え始める中学・高校生時代は、都内まで1時間以上かけて電車で通学していたので、いろいろな種類の本を読みました。中学生の時に読んだ恐竜のSF映画の原本がとても面白くて、遺伝子の話や生命の誕生、DNAのことなどに興味をもちました。次第に、生命や動物の成り立ちについて学んでいきたいと思うようになり、大学進学時に獣医師への道を選びました。実際に大学に入ってからは、研究職というよりも、朝から晩までずっと大学病院で外来にみえる患者さんと触れ合う日々を過ごしました。
開業までの経緯を教えてください。
開院は2006年なので、今10年ですね。自分が今まで大学で学んできたことを生かし、地元の動物たちに貢献できたらいいなと思って、この地に開院しました。でも実は、もともと開業する気持ちがあったわけではないんです。以前に勤めていた病院の患者さんから、「先生、たくさん患者さんがいるから開業しては。」とすすめていただき、たくさん手伝っていただいたんですよ。当時の患者さんが、今うちのスタッフとして勤めていたり、医院のホームページを作ってくださったり。周りの皆さんに支えられながらこうして今があることに、とても感謝しています。
どのような動物が患者さんとして多いですか?
私が鼻がペチャっとした犬、ブルドッグやフレンチブルドッグ、パグ、シーズーなど鼻の長さが短い犬種が好きなんですが、皆さんクチコミも集まって、鼻ペチャの患者さんは多いですね。そして、とても高齢で手術ができないと言われて他院からまわってくる子や、最近では、がん患者も多いですね。そういう子たちに何かしてあげられることはないかと、私自身も学びながら診療しています。犬の他にも、猫やフェレット、鳥などの小動物もよく診ています。以前勤務していた病院は小動物がよく来るところだったので、遠くから通われる患者さんも多くいらっしゃいました。その方たちが引き続きこちらに通院されていたり、クチコミも広がり、フェレットなど小動物の患者さんも多いですね。
獣医療の選択肢を広げる、新しい治療への取り組み
院内の設備についてお聞かせください。
医療機器については、開業当時は資金も無かったですし、最初からそろっていたわけではないんですよ。いろいろな病状の子を診察していくうち、次々と必要とする機械が増えていき、その子の治療のために新たに導入することで、さまざまな設備が整っていきました。レーザーの機械にしても、必要な症例があり、メーカーさんに連絡して急いで持ってきてもらい、そのまま購入となりました。そういう時は、金額のことなどを考えていないんですね。でも、これらの機械は後々に他の子にもすごく役立っていて、今では外科手術や整形外科など、ひと通りの診療をできるようになりました。もちろん、他院へ紹介しますとお話させてもらうケースもありますし、それでも私に診てほしいと言ってくださる方もいます。いつでも全力で、その子に合わせた治療をしていきたいと思っています。
健康診断などの定期検診に訪れる患者さんは多いですか?
この地域の飼い主さんは、ペットをすごく大事にされている方が多いんですよ。最初は、「犬や猫、フェレットなどはフィラリアの予防をしたほうが良い」ということを知らない方もいたのですが、きちんとこちらで説明してお話させてもらうと、一生懸命に対応してくださいますね。定期検診についても、皆さん意識が高くて、こちらから言わなくても、誕生日などに合わせ1年や半年に1回くらいの周期で、検査を受診されます。早期発見・早期治療という意味でも定期的な検査はすごく大事ですね。また、私が大切にしているのは、飼い主さんとの何気ない会話の中から患者さんの情報を聞き出すこと。「最近、おしっこが漏れるんだよね」とか、「ちょっと匂いが気になる」など、気軽に話しやすい環境をつくっておきたいですね。
新しい治療の研究に携わっているとお聞きしました。
鳥取大学の岡本教授と医療機器メーカーが共同で開発をすすめている、「ICGリポソーム」という先端のレーザー治療の研究のために、治療について教授から助言をいただいたり、当院での症例をご紹介させていただいたりしています。今後、がんの治療法の選択肢として、世に浸透していけたら素晴らしいなと願っています。こうして研究の力になれていることがあれば、とてもうれしく光栄です。それによって、ひとつでも多くの命が助かればいいと思っています。
獣医師として、動物と飼い主の幸せを願いたい
トリミングやしつけ教室もされているのですね。
トリミングは、診察を受けた患者さんに看護師が行います。ほとんどが、皮膚病の子やすごく高齢の子、心臓病がある子などで、様子を見ながら治療を兼ねてのトリミングをしています。しつけ教室は、昔からお世話になっている先生に定期的にお願いしています。うちの患者さんのトレーナーさんだった先生で、その飼い主さんがとても犬を大事にされている方だったので、ぜひうちでも先生に教室をやってもらえないかとお話させてもらいました。パピー犬だけでなく高齢の子でも、犬はとても賢いので教えられたことはきちんと覚えます。その過程で、飼い主さんが思ってもいなかったペットの気持ちを知ったり、学ぶことも多いんですよ。メンタル面での絆を深めたいとの思いで教室に来られる方もたくさんいます。
お忙しい毎日かと思いますが、お休みの日はどのように過ごされていますか?
今日の取材に一緒に参加させてもらった2匹、ブルドッグのピンク、トイプードルのどきんは我が家のペットで、毎日一緒に医院に来て、一緒に帰ります。家には他にもう2匹いて、みんな里子です。私にとっては動物のいる生活が普通なので、この子たちと遊ぶのが趣味みたいなものですね。休みの日は、なるべく少しでも出掛けるようにしています。実は、知り合いの方のつながりで、医院以外にもいろんなことに携わらせてもらっていて、最近、立ち飲みの焼き鳥屋さんをオープンしました。そのお店はペットを連れて行くことができるので、この子たちと一緒に行くこともあり、とても良いリフレッシュになっています。病院に通ってくださっている飼い主さんたちも、ペットと一緒に来てくれたらうれしいですね。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
患者さんや飼い主さんが幸せで、元気で長生きしてくれるというのが続けばいいなと思っています。そのために、獣医師として今自分に与えられている使命と向き合い、いつも全力で一生懸命診療させてもらっています。そして、飼い主さんが家族として迎え入れたペットたちが、「お父さん、お母さんありがとう」と言って、先に旅立てるようなお手伝いをできたらと思います。残された飼い主さんはとても寂しい気持ちになられるかと思いますが、そういう方たちにもきちんとケアができるような獣医療をめざしたいですね。