遠藤 隼人 院長の独自取材記事
キズナ犬猫クリニック
(船橋市/船橋法典駅)
最終更新日: 2023/01/22
船橋法典駅から徒歩3分ほどの場所に、「キズナ犬猫クリニック」はある。同じ建物内にはドッグサロンも隣接している。温かみのあるクリニックの待合室には仕切りがあり、犬がいる環境でも、猫ができるだけストレスなく待てるように工夫が施されている。院長の遠藤隼人先生は、親しみやすい雰囲気の先生で、飼い主の話をよく聞き、わかりやすく説明する診療を心がけているという。遠藤院長の専門は、消化器科と泌尿器科。「まずは地域のかかりつけ医としての定着をめざし、いずれは専門性を生かした頼れるクリニックになりたい」と語る遠藤院長に、クリニックの診療方針やこだわりなどについて話を聞いた。(取材日2017年3月30日)
困った時に頼れる身近なクリニック
クリニック名にはどのような思いが込められているのですか?
「人と動物の絆」、そして「人と人との絆」の意味を込めました。動物を通して、人の暮らしがより豊かに、より幸せになってほしいと願っています。また、クリニックの開院にあたり、たくさんの方々との「絆」に助けられ、支えられてここまで来れたという気持ちも込めています。そして余談ですが、場所柄、競馬場の近くですので、「キズナ」という名の強い有名な馬がいたことが、少しだけ影響しています(笑)。
どのような症状での受診が多いのですか?
診察する動物は犬猫が主なのですが、症状としては、具合が悪くて相談に来られる方が多いです。1ヵ月近く吐き気の止まらない子、心臓が悪くて呼吸困難を起こしてしまっている子、お腹や胸に水が貯まっている子、オシッコが出なくなってしまった子。糖尿病により合併症を起こしてしまっていた子もいました。このようなワンちゃん、猫ちゃんには、できる限りの事は頑張らせていただいていますし、セカンドオピニオン的な形で相談したりもします。すでに大きな二次診療施設に紹介させていただくような子もいました。予防や爪切りでいらっしゃる方もいますが、まだまだ多くないです。病気の子のお役にも立ちたいですし、元気なかわいい子たちにも会いたいですね。
施設の特徴について教えてください。
決して広くはないクリニックですが、必要なものはちゃんとそろえ、効率的に動けるように設計士さんと相談しました。見た目以上に患者さまに頼っていただけることと、スタッフが少しでもストレスなく働けることを意識しました。また、目隠し的な本棚を利用して、犬優先スペースと猫優先スペースに待合室を分けています。限られた空間ですので、混雑時には共有いただくようお願いしています。機器や機材でこだわったのは、超音波診断装置、内視鏡、麻酔器(ベンチレーター)になります。
動物と飼い主さん、両方に幸せになってほしい
診療で心がけていることや理念について教えてください。
話を良く聞いて、わかりやすく話す。そしてその人にあった提案をして、納得して治療を受けていただくことを心がけています。ホームページにも書いていますが、動物はもちろん、飼い主さんにも幸せになってほしいと思っています。ペットが病気になると飼い主さまはいろんな心配を抱えてクリニックに来ます。だからこそ、しっかり気持ちに寄り添いながら診察をするよう心がけています。また当院では、データに基づいた診察や治療を行っていきます。ただ、データだけで診察や治療を進めるのではなく、その方の生活環境などに合わせ、オーダーメイドの治療を行うことも心がけています。
先生の診療の特色は何ですか?
困った時に頼りにしていただける病院をめざしています。そのために、まずしっかり病気の診断をつけて、何が起きているのかをハッキリさせることを心がけます。最近は犬猫も高齢化が進んでおり、診断も治療も苦労する病気が増えています。私が開院前に勤めていた病院で培ったこれまでの経験を生かし、皆さまのお役に立ちたいと思っています。もちろん、予防などの日常ケア、爪切りなどのグルーミングケア、お散歩がてら立ち寄っていただいたり、ちょっとした相談だけでも大歓迎。特に健康な状態を日常から診させていただけると、その先に病気で困った際に気づきやすくなります。飼い主さまや動物の性格、生活環境までわかっていれば、最適な治療の選択肢をご提案しやすいです。ゆくゆくは、これまで専門診療に携わってきた消化器科、泌尿器科の病気について一歩先のトラブルにも対応できるようにしたいと思っています。
開業に至るまでの経緯について教えてください。
大学を卒業後、2ヵ所で勤務してきました。もともと重い病気の患者さまのために頑張りたいという気持ちで働いてきましたが、自分の特徴を最大限に生かす環境を追い求めた結果、開業して頑張っていくことがベストと考え、決断しました。この地に開院したのは、出身地である松戸を中心に幅広く探した結果、縁あって選ばせていただきました。大きな決め手となったのは、こちらのテナントの場所と大家さん、お隣の店舗の方との「キズナ」ですね。どちらのお店も同年代の方々が営まれていて、ドッグサロンさんとは同業種として協力しあい、不動産屋さんとはテナント選びから現在までとてもお世話になり、英会話教室さんには私の子どもたちの一時保育をお願いしていました。大家さんにも動物病院の開業をとても快く応援していただき、素晴らしい場所に巡り会えたと思っています。
診療の際に大切にしていることは何ですか?
動物をよく見て、実際に触って、自分なりに気付いたことを探します。言葉が話せない動物だからこそ、目の前で起きていることを大切にします。また、家と病院での様子は違います。飼い主さまには家での様子をよく聞くようにしています。動物医療は日々進歩しており、とてもさまざまな検査や治療ができるようになっています。しかし、それでも原因がわからない、治療の方針が立てられないという時には、何から始まり、今何が起きていて、何を解決してあげれば良いのかを整理します。そのためには、お家でちょっとでも気になることがあれば、教えてほしいと思っています。飼い主さまの気付きは大切です。
当たり前の日常を守るのが、病院の役割となるように
こちらをオープンしてから印象的なことがあったそうですね。
はい、こちらをオープンしてすぐ2組の患者さまが来院されました。そしてその2組それぞれ、心臓と胃に重い病気を患っておりました。どこへ相談していいか悩んでいたそうですが、当院のことを知り、相談にいらしてくれたそうです。「困ったときに頼れる身近なクリニック」をめざして開業した私なので、オープン初日から、頼ってもらえていることが実感できましたね。とてもうれしかったですし、身が引き締まる思いです。
ところで先生の獣医師をめざしたきっかけは何でしょうか?
いろいろなことが積み重なり、気づいたら獣医師になっていた、という感覚が大きいです。もちろんもともと動物が好きでしたが、子どもの頃は飼える環境ではなく、漠然とした憧れだけ持っていました。しかし、高校生の時に犬猫相手ではない、ちょっと特殊な獣医さんに触れ合う機会があり、それから獣医師という職業を少しずつ意識するようになりました。自分の将来像の一つとして意識するようになってからは、頑張って勉強して大学に入り、大学でさまざまなことを学び、それからは獣医学の面白さ、大変さ、奥深さにどっぷりとはまってしまいました。獣医師という職業は、犬猫相手の動物病院だけでなく、非常に多岐にわたる社会的役割があります。その中で、自分に最も合っていると思う道を選んで、今に至ります。大変な仕事を選んでしまったと思うこともありますが、それ以上のやり甲斐、楽しさ、充実感を日々感じています。
今後の展望をお聞かせください。
「困った時のキズナ犬猫クリニック」をめざします。まだオープンして間もないので、まずは地域の皆さまに認めてもらえるよう頑張ります。ただ、困りごとといっても、小さなことから大きなことまでさまざまだと思います。ですので、ちょっとしたことでも相談しやすいような雰囲気づくりを心がけています。大変な病気の時にはできる限りの対応を努めております。近くに良い病院ができたな、と思ってもらえるとうれしいです。その上で先々は、自分の専門性を生かした病院にしていけるよう、いろいろなことを進歩させていきたいと思っています。