山口 真 院長の独自取材記事
星川レオン動物病院
(横浜市保土ケ谷区/星川駅)
最終更新日: 2023/01/22
星川駅から徒歩約2分、マンションの1階に「星川レオン動物病院」がある。犬や猫を主に診療するが、うさぎやフェレットなどの診療・扱いにも同様に力を入れているとのことで、うさぎの飼い主も訪れている。「飼い主はもちろん、動物自身も気づいていない病気を見つけ、早めに治療してあげたい」という思いから、超音波検査機器を導入。迅速に対応し、動物ができるだけ苦しまないようにと心を配っている。優しい笑顔と語り口が印象的な山口真院長に、獣医師としての思いを語ってもらった。 (取材日2017年12月25日)
犬猫を軸にうさぎの診療にも力を入れる
来院するペットに特徴はありますか?
主に犬猫を軸に診療をしているのですが、うさぎも犬猫と同様に診ることができるので、うさぎの飼い主さんが来院されることも多いですね。というのも、うさぎの診療が可能な獣医師が少ないというのが原因ではないかと思います。うさぎの診療は細心の注意が必要なので、診療可能な病院も限られてくるかと思いますが、当院ではうさぎにも犬猫と同じレベルで診られるように努めています。ですので、横浜のほか、東京や千葉、静岡から来ていただいていますね。
診療をする際に心がけていることを教えてください。
一番は基本を大事にするということですね。普段の診察の時も、飼い主さんが気になるところをお聞きしますが、決してそこだけ診て診断を下すことはせず、全身の細部まで診るようにしています。というのも、飼い主さんも気づけないような微妙な異変の中には、重篤な病気が潜んでいることがあります。そのために、毎回の診察の中で目の奥や口の中、脱水はしていないか、皮膚に炎症を起こしていないかなど、全身を診た上での診断を心がけています。そのために、普段の診察が重要であり、基本を大事にすることが飼い主さんへの安心と動物たちの健康な暮らしを守ることにもつながると考えています。また、普段お待たせしてしまうことが多いのですが、少しでも待ち時間を短くできるよう、限られた時間の中で質の高い医療を提供できるよう心がけていますね。
犬や猫では、心臓病を見つけることが多いそうですね。
そうですね。病気を見逃さないようにしっかり診察をする中で心臓病を発見することもあります。今まで心臓病の指摘をされたことがなかったという犬や猫も、うちで心臓病が見つかるというケースがよくありますね。心臓病も早いうちに見つかれば、早期発見、早期治療で寿命が延びる可能性があります。たまたま見つかった結果なんですが、こういう経験からも、普段の診療は常にあらゆる可能性を加味して診察していかなくては、と改めて感じますし、早期発見・早期治療は当院でも力を入れていきたいと思っています。
うさぎの診療では特別気を付けていることはありますか?
扱い方には特に配慮しています。うさぎの骨はとてももろいので、うさぎがケガをしないように、持ち方や抱え方にはかなり気を遣っています。また、うさぎは非常に憶病な動物なので、できるだけ怖がらせないように静かな環境をつくることを心がけていますね。診察室の一つはほぼうさぎ専門にしていて、猫やフェレットなどの肉食動物は入れないようにしています。特にフェレットの臭いに敏感なようで、フェレットが多い場所ではうさぎが暴れてしまいます。そのため、診察室ではできるだけ肉食系の動物の臭いがしないように注意しています。
動物の健康な暮らしを守りたい
獣医師をめざしたきっかけを教えてください。
父の仕事の都合で、子ども時代をマレーシア、香港、インドネシアで過ごしました。その頃から、犬やうさぎなどいろいろな動物を飼っていたんです。インドネシアにいるときに飼っていたうさぎの具合が悪くなったとき、獣医師を探したのですが、僕が住んでいた場所の近くにはいなかったんです。動物病院が見当たらなくて、なんとか見つけた牛や馬を診ている獣医師に往診してもらったのですが、自分でどうにかしたいと思ったのが最初です。マレーシアでは犬を飼っていたんですが、家の庭に毒蛇が出たんですよ。僕が毒蛇だとはわからずに手を伸ばしたら犬が飛んできて、ワンワン吠えて守ってくれたようなんです。父から「犬に助けられたね」と言われて。動物が身近にいる環境で育ったというのも大きな要因ですね。
うさぎの診療にも注力されているのには、どんな経緯があるのでしょうか。
インドネシアに住んでいた際、飼っていたうさぎの歯が伸びて元気がなくなったとき、何もできなかったという経験がまずあります。また、大学時代に友人からうさぎをもらって飼っていたときも、ちゃんとうさぎを診られる先生が近くにいなくて、すごく動物病院を探したんです。そのとき藤沢にうさぎを専門的に診てくれる動物病院を見つけお世話になりました。そんな経緯から「うさぎをきちんと診ることができる獣医師になりたい、犬や猫の診療の技術を身に付けつつ、なかなかしっかり見てもらえるところが少ないうさぎも診療したい」と考えるようになりました。
導入されている医療機器について教えてください。
当院では半導体レーザー、超音波検査機器を導入しています。健康診断でエコー検査を行いますが、超音波は犬猫、フェレットなど、どんな動物でも可能です。
犬や猫の飼い主のニーズにも応えられるように
こちらではペットホテルとトリミングサロンも併設していますよね。
獣医師がいないと何かあった時に対応できないので、ペットホテルは僕がいるときだけお預かりをしています。また、一般のトリミングサロンでは高齢になった犬や病気がある犬は断られてしまうことが多いんですが、当院では、心臓病がある犬なども、どこまでならできるかということも配慮してお受けしています。「通常のトリミングサロンでは病気の子を断らなくていけなかったのがつらかった」というトリマーが勤務してくれているので、心強いですね。トリミングサロンを利用されるついでに健診もしてほしいという飼い主さんも多いです。預かり中に診られるので、通常よりじっくりチェックすることができます。また、トリマーが皮膚の疾患や外耳炎などに気付くこともよくあるんです。
スタッフはどのような方が勤務されていますか?
トリマーは現在2名です。犬はもちろんですが、猫やうさぎのトリミングも行っています。猫のトリミングは沈静が必要なことが多いのですが、当院のトリマーは沈静なしでトリミングしています。うさぎのトリミングは毛玉を取ったり、長毛種のうさぎのカットを行っています。他ではなかなかできないことなので助かっています。他に補助スタッフ、そして獣医師は私を含め2名体制で診療を行っています。
今後の展望や課題を教えてください。
実は現在、うさぎを診ることが多くなってきて、犬の飼い主さんが入りにくくなってしまっているんです。うさぎは犬が来ると「怖い」と感じてしまうこともあったりして、犬の飼い主さんも遠慮してしまうという状況です。ですので、どちらの飼い主さんも気兼ねなく通いやすい動物病院にしていきたいと考えています。また、ありがたいことなのですが、来てくださる方が多いのでお待たせする時間も長くなってしまっています。現在は獣医師を2名体制にして、もう一人の獣医師が犬と猫を優先的に診ています。皆さんのニーズに応えられるようスタッフの増員や、設備充実を行っていきたいですね。
読者の方へメッセージへお願いします。
定期的に健康診断を受けてほしいと思います。日ごろ動物病院に行くことがなく、重症化してから来院される方がいらっしゃいますが、元気そうに見えても病気が裏に隠れていることが少なくありません。通常の健診だけで見つかるものもありますし、付加健診としてエコーやレントゲンで見つかることもあります。ただ、早く病気を見つければペットもつらい思いをしなくて済みます。早く病気を見つけるためにも、2~3ヵ月に1回、少なくとも半年に1回は健診を受けていただきたいですね。