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田中 真治 院長、田中 恵子 副院長、田中 健太郎 先生の独自取材記事
田中動物病院
(横浜市保土ケ谷区/天王町駅)
最終更新日: 2024/01/15
2022年に岩間町1丁目に移転した「田中動物病院」は、アットホームな雰囲気の動物病院。はつらつとした田中真治院長と、笑顔の優しい田中恵子副院長、その息子である田中健太郎先生は落ち着いて頼りがいのある印象だ。「身近なかかりつけ獣医師でありたいと思っているんですよ」と、ほほ笑みながら口をそろえる。真治院長と健太郎先生が病気など一般的な診療を、恵子副院長は犬のしつけを中心に対応。犬の教室では、子犬との接し方を学ぶクラス、その後のしつけを行うクラス、老後のケアを行うクラスと、生涯にわたり犬と飼い主に寄り添う。犬のしつけ教室をきっかけに来院する人や、デグー・チンチラなどエキゾチックアニマルの診療を求めて遠方から来院する人も多いそうだ。地域に根差した獣医療を提供する3人に話を聞いた。(取材日2023年12月26日)
犬のしつけにも力を入れる町のかかりつけ動物病院
保土ケ谷区で長く診療されていると伺いました。
【真治院長】1986年の開業ですから、もう37年になりますね。この辺りは横浜市内でも下町にあたる場所。ずっと身近なかかりつけ獣医をめざしていたので、できるだけ敷居は低く、来院しやすいと感じていただける動物病院にしたいと思いました。今はワンちゃんのしつけ教室をきっかけに来られる方がとても多いですね。次にうさぎ・ハムスター・デグー・チンチラなどエキゾチック系の動物。ホームページを見て鎌倉市や都内など遠方からいらしてくださる方もいらっしゃるんですよ。開業当初は、「とにかく治してくれればいい」という下町気質の飼い主さんが多くいらっしゃいましたが、最近は意識が変わってこられたなあと実感しています。
2022年に2度目の移転をされたそうですね。
【真治院長】そうなんです。1986年に保土ケ谷区神戸町で開業し、1992年に同区内岩間町2丁目に移転、2022年に岩間町1丁目に移転しました。毎回手狭になったことが理由で移転しており、今回の移転で待合室がとても広くなりました。1階は診療エリア、2階はトリミングとペットホテル、3階は犬の教室の他にストレッチ教室など多目的ルームとしても使用しています。 【健太郎先生】待合室の横には個室を設けました。例えばご自身のペットの命が危ない時に、元気な子たちを見るのはつらいですよね。また残念ながら亡くなってしまったペットは、ご遺体をきれいに清める時間が必要です。お待ちいただく間、個室ならば人目を気にせず泣くこともできるでしょう。そのほか、ワンちゃんが苦手な猫ちゃんなども利用されています。
犬の教室は何歳くらいが対象でしょうか?
【恵子副院長】まずは4ヵ月までの子犬と飼い主さんのクラス。その後のクラスでは、しつけ専門の訓練士さんのもとで週1回トレーニングをしながら、飼い主さんと一緒にお出かけができるワンちゃんになれるよう訓練します。ハイキングに行くなどイベントも開いているんですよ。そして老後のケアを行うクラス。こちらでは最後の日までリラックスして過ごせるようなケアなどを行います。まさに、ゆりかごから墓場までですね。 【真治院長】しつけ教室を受けたワンちゃんたちは、みんなおとなしく診察させてくれるので、すぐにわかります。それに動物病院にも慣れてきますから、ストレスも減って、ずいぶん様子も変わってくるんです。病院でありながら、「集う場」にもなれたら本当にうれしい。気軽に来院していただくことが病気の早期発見・治療にもつながればとも思っています。
それぞれに強みがあり、互いを認め合う4人の獣医師
獣医師は何人いらっしゃいますか?
【真治院長】合計4人で、私と息子は病気など一般的な診療を担当しています。息子はエキゾチック系の動物についても勉強していて詳しく、超音波を使った診療も得意です。そして妻がしつけ関連を担当しています。鍼灸やグリーフケアが得意な丸田香緒里先生は週に3日の勤務です。例えば悲しい思いをしている患者さんには寄り添った対応が得意な先生が対応し、男性が苦手な猫ちゃんには女性の先生が対応できます。飼い主さんとの相性もありますよね。4人とも一通りの一般診療が可能ですが、それぞれの得意分野や性格に合わせて対応しています。
複数の先生で診療されていると、意見が食い違う場面もあるのではないでしょうか?
【真治院長】それが、そういうことはないんですよ。というのも息子が以前学んでいたのは、私が所属している勉強会の先生なんです。同じ先生に学んでいるのですから、考え方や治療の方向性も同じなんですね。妻はしつけ、丸田先生は鍼灸と担当分野が異なるため、こちらもバランスが取れています。一般診療の症例も都度共有していますし、お互いの専門分野についてはお任せしています。獣医師が複数人いると話に一貫性がなくなって飼い主さんが困ることもあるでしょうが、当院ではそのような心配はないんです。 【健太郎先生】家族ですから普段の生活の中で難症例について話し合ったり、丸田先生も15年近く当院にいるのでお互い気心が知れています。コミュニケーションは良好です。
先生方はなぜ獣医師をめざされたのですか?
【真治院長】私は実家がペットショップだったんですよ。金魚や小鳥、うさぎ、ハムスターなどを扱っていました。幼い頃からずっと動物たちに接していましたし、生き物が大好きでしたね。実は中学生の時、飼っていたセキセイインコを自分の不注意で死なせてしまったことがあって。その時に初めて、「獣医師になろう」と意識したように思います。 【恵子副院長】私も小さい頃から動物が大好きだったんです。物心ついた時には身近に犬もいましたし、小学生の時にはさまざまな生き物を飼っていました。毎日、学校に行く前にお世話を全部するのが日課だったんですよ。その当時、「おこづかいは何に使っていますか?」というアンケートがあった時、「鳥のえさ」と書いたことも覚えています(笑)。
健太郎先生はやはりご両親の影響が大きかったのでしょうか?
【健太郎先生】そうですね。長く続けていくのは大変なことですから、37年間診療を続けている両親には尊敬の念を持っています。当院のアットホームな雰囲気や飼い主さんとの信頼関係も両親がつくり上げたもの。それらを大切にしながら、自分なりの色を見つけていきたいと思っています。
飼い主とのインフォームドコンセントが大切
開業から37年を経て、どのようなことをお感じになりますか?
【真治院長】37年も診療していれば、大抵のことができるだろうと思っていましたが、それは大きな間違いだと痛感しています。毎年、獣医療は進歩していますから、いつもアンテナを張って新しい知識を学んでいかなければいけない。立ち止まっていては、本当に遅れてしまうと思うんです。そうやって変わっていくことが自分にとっても大事なことですし、「獣医療に終わりはない」と改めて実感していますね。 【恵子副院長】犬のしつけ教室は、本当に幅広い世代の方が参加されています。ご夫婦でいらしていた飼い主さんにお子さんが生まれ、新しい形になったご家族の中にワンちゃんも寄り添っている姿を拝見するのは何よりうれしいことです。そんなすてきなご家族がもっともっと増えてくれるのが、私の理想ですね。
診療する上で心がけていることをお聞かせください。
【真治院長】まず一つの病気を見つけると、それだけにこだわってしまうことがあるので、他の病気の可能性を見落とさないように気を引き締めて診療にあたっています。飼い主さんに対しては、インフォームドコンセントですね。どのような治療を望まれているのか、何を重視されているのか。しっかり話をして、方針に納得していただいた上で治療を行うことが大切だと感じています。 【健太郎先生】飼い主さんにきちんと伝わるよう、わかりやすい言葉を使うようにしています。ペットがどのような状況なのかを理解してもらい、治療について一緒に考えていきたいと思っています。 【恵子副院長】とにかく、ワンちゃんと飼い主さんが幸せでいてくれることが一番です。ワンちゃんを飼う時、飼い主さんの生活スタイルに合った犬種のお伝えや、2匹目をお迎えするタイミングのご相談など、私自身の経験も踏まえながら、親身になってお話しするように心がけています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
【真治院長】ペットの様子が普段と違う場合には、「こんなことで」と思わず気軽にいらしてください。これからも常に飼い主さんと動物たち両方に寄り添いながら、心を込めて診療していきたいと思います。