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明石 唯也 院長の独自取材記事

いくら犬猫クリニック

(神戸市灘区/新在家駅)

最終更新日: 2023/12/13

阪神本線石屋川駅や新在家駅からほど近く、国道2号沿いに立つ、ひときわ目を引く黄色の外観が印象的な「いくら犬猫クリニック」。高度医療施設で研鑽を積んできた院長の明石唯也先生が「1日でも早い発見と適切な治療」をめざし、2023年3月に開院した犬猫の診療に特化した動物病院だ。明石院長は日本獣医腎泌尿器学会の認定医でもあることから、腎泌尿器における適切な診断や治療はもちろんのこと、腎泌尿器以外でもオールラウンドに精度の高さにこだわった医療を提供している。現在は新たに循環器分野の認定医もめざすなど勉強熱心な横顔を持つ一方、とてもフレンドリーでなんでも相談に乗ろうとする姿勢から、飼い主からの信頼も厚い。そんな明石院長に同院の特徴や腎泌尿器の疾患、今後の展望などについて聞いてきた。(取材日2023年11月14日)

高度医療の経験を生かし幅広く精度の高い診療をめざす

開院までの経緯についてお聞かせください。

以前ここで動物病院を運営していた方が引退するということだったので、事業譲渡を受ける形で2023年の春に私がここに開院しました。開院前は、一般診療・整形外科・腫瘍科・眼科・皮膚科など各分野のスペシャリストが集まる大阪の「ファーブル動物医療センター」で7年間勤務していました。スペシャリスト集団による高度医療を提供する施設で、私は基本的に一般診療科に在籍。そして専門である腎泌尿器をはじめ、 予防医療から難治性の内科系疾患・外科系疾患の手術を含む、多様な症例に対応してきました。ケースによっては各科の先生とチーム医療で対応。この経験のおかげで、多くの分野の高水準の医療を学ぶことができたと思っています。ちなみに現在は、大学から研究している循環器に関する認定医資格も取得するために勉強を続けています。

設備でこだわったことはなんですか?

幅広い疾患に対応し、即日に検査結果を出したいという思いが強くあるので、院内設備にはこだわりました。早期に適切な診断をし、早期治療へつなげることもそうですが、重症の場合など外部に検査を頼むと結果が出るのに数日かかってしまいます。その結果を待っている間に弱ってしまうことは避けたい。その思いから設備はなるべく高度なものを導入するように努めました。例えば、甲状腺の病気やクッシング症候群などを診断する上で必要となるホルモン濃度の測定機器、レントゲン撮影装置、血圧測定器や目の病気を診断する上で必要不可欠な各種眼科検査機器、歯科ユニットなどですね。手術機器としては新たに手術器具や電気メスを買いそろえ、手術を安全性重視で受けてもらえるよう血液凝固測定装置も導入。イボやできものなどを診断する細胞診検査も院内で実施しています。その他、内視鏡や超音波検査機器も備え、正確な診断・治療を心がけています。

夜間の救急診療にも対応しているそうですね。

できる範囲で対応しています。外出している時や別用がある場合など電話に出ることができない場合もあるので、すべての電話に対応できるわけではありません。基本的には水・日・祝日以外の19時30分~22時までなら、当院にカルテのある動物と飼い主さんを対象に、できる範囲で対応している状態です。何か緊急の事が起きれば夜間でも一度お電話でお問い合わせください。 夜間診療のほかに、土曜日は平日と同様に診察しており、日・祝日についても午前のみ診療に対応しているので、休日に具合が悪くなった場合や平日に仕事があるといった理由で時間が取れない方も、来院していただきやすいかと思います。

認定医ならではの知識・技術で腎泌尿器疾患に対応

腎泌尿器の専門性を生かした医療が受けられるのですか?

認定医としての経験と知見をもとに、適切に診断や治療を行い、病変を見逃さないように心がけています。実は膵炎や尿路結石、感染症、脱水、循環器疾患、加齢などさまざまな原因が腎臓の数値の異常を引き起こす可能性があります。慢性腎臓病と一括りに言っても、患者さんに応じて食事療法、薬物治療、点滴など必要とする治療内容が異なります。また、犬や猫の難治性の膀胱炎なども頻繁に診察する機会があるのですが、その時も一般的な尿検査、超音波検査、レントゲン検査に加えて、薬剤感受性試験、病理検査など、ケースに応じてより専門的な検査を実施した上で精度の高い治療内容をご提案するよう心がけています。場合によっては複数の原因が絡み合うような難しいケースがあったりもするので、日々知識をアップデートし、なるべく専門性の高い最新の知見を飼い主さんに提供できるように日々努力しています。

腎泌尿器疾患は犬猫ともによくかかるのでしょうか?

犬も猫もとても多いですね。特に高齢になると、慢性腎臓病の罹患率はかなり高くなります。調子が良くても腎機能が低下していることもよくあるので、普段から定期的に健康診断を受けることが大事です。また、猫は膀胱炎の発症も多いです。膀胱炎の初期症状に気づかずこじらせてしまうと、膀胱の中の炎症により尿道が詰まり、尿が出なくなってしまうこともあります。尿道閉塞ですね。これはかなり緊急性の高い、命に関わってくるものなので、そうならないためにも早期にしっかりと検査をして、適切な診断・治療につなげることが大切なんです。高齢期だけでなく、若い猫でも、特発性膀胱炎というストレス性膀胱炎や尿路結石になることがあるので、普段の生活から「尿に血が混ざっていないか」「排尿体勢を取っている時間がいつもより長くないか」など観察し、少しでも変化を感じたら早めに受診することをお勧めします。

歯周病の治療や予防にも注力しているそうですね。

歯周病は人間と同様、悪化すると全身に影響を及ぼしたり、重症の場合は顎が骨折したりする場合もあるので、予防・治療がとても重要です。当院では歯石取りや抜歯などの処置時間の短縮をめざし、新しいタイプの歯科ユニットを導入しました。犬猫の場合、全身麻酔をかけて歯周病の治療を行います。つまり処置時間の短縮は、全身麻酔の時間の短縮にもつながるということ。動物の負担はかなり軽くなるでしょう。このほかにも、ブラッシングなど自宅でできるデンタルケアの指導も実施。歯の健康も丁寧にサポートさせていただいています。

犬猫のストレスを軽減し、飼い主にも寄り添う診療を

診療において心がけていることはありますか?

問診はできるだけ長く時間をとって、飼い主さんの話を丁寧に聞くことを心がけています。話をお伺いするときは、不安な気持ちに寄り添い、何でも相談しやすく話しやすいような雰囲気を大切にしていますね。また動物に対しては、動物病院を怖がる子もいるので、できるだけストレスがかからないように配慮しています。なるべく優しく声かけをしながら触診をしたり、ストレスのかかる処置の後はご褒美をあげたりもしています。例えば、一部の検査・治療は飼い主さんがそばにいる状態で行うなどですね。そうすることで動物は少しでも安心感が増すと思うので。飼い主さんが一緒にいることで気持ちが安定し、適切に血圧測定が行えるというメリットもあるんですよ。

どうして獣医師になろうと思ったのですか?

奈良県の田舎に住んでいたので、子どもの頃から裏山で虫を捕まえたり、金魚や亀を飼ったり、生き物がいつもそばにいっぱいいて触れ合うのが日常だったんです。それで高校生の時に「生き物に携わる仕事がしたい」と思って、この道を選びました。大学の獣医学科で心臓と腎臓の生理学に興味を抱き、研究室に入り専門的な知識を身につけました。そして大学卒業後は、高度医療施設で犬猫を診ることを選択しました。今は犬のジャック・ラッセル・テリアのポム君と愛猫のいくら君と一緒に暮らしています。妻も獣医師で、今は育児に専念していますが、時々検査や手術などで手が足りない時に手伝ってもらうこともあります。

今後の展望やメッセージをお願いします。

アットホームな雰囲気を大切にしているのに加えて、スタッフたちもみんな優しいので、喫茶店に行くような感じで気軽に何でも相談に来ていただけたらと思います。すでに院内でトリミングやペットホテルにも対応しているのですが、将来的には今よりも本格的にトリミングやペットホテルにも対応し、しつけ教室なども定期的に実施できるように考えています。そして病気だけでなく、動物に関わることを気軽に相談できる動物病院になれたらいいですね。通院する動物たちはもちろん、飼い主さんの不安も取り除くことができるホームドクターとして地域に根づいていきたいです。

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