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石川 雄一 院長の独自取材記事

石川動物病院

(名古屋市守山区/守山自衛隊前駅)

最終更新日: 2024/12/23

敷地の前面に広い駐車場を備える「石川動物病院」。祖父から父、そして石川雄一院長へと引き継がれてきた動物病院で、60年以上にわたり地域に密着し、地域との信頼関係を積み上げている。2022年に建て替えられた建物は、前面の爽やかなブルーが印象的だ。石川院長は大学卒業後、他県の動物病院に勤務、幅広く研鑽を重ねてきた。日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医II種、動物臨床医学会獣医総合臨床認定医の資格を持ち、がんの手術も得意とする。超音波検査やエックス線撮影検査は画像が鮮明な高度な機器を備えており「しっかり的確な診断をして、エビデンスに基づいた治療をしていきたい」と話す。ゆっくりと丁寧な口調で、動物の心も飼い主の心も穏やかにしてくれそうだ。そんな石川院長に、同院の特徴や診療時の心がけなどについて話を聞いた。(取材日2024年10月1日)

3代続く伝統に先進の設備、知識をプラス

こちらの病院は長く地域に根づいてこられたそうですね。

60年ほど前に祖父が開業し、父、私と引き継いできました。おかげさまで地域の方々とは長いお付き合いをさせていただいています。建物の老朽化に伴い、2022年に建て替え新築。建物は敷地の奥に配置し、前面は14~15台止められる広い駐車場としました。以前は3~4台分しかなかったので、来院しやすく感じていただけると思います。建物の外観のポイントとなっている青は、私の好きな色です。内部は、妻とも相談して、優しい色合いの木目を多用し、やわらかいイメージをめざしました。待合室はワンちゃんのスペースと猫ちゃんのスペースを分けており、診察室もそれぞれ。エコーなどの検査室のみ共用です。猫ちゃんは犬の声や息遣いにもストレスを感じやすく、配慮が必要なのです。当院は「キャットフレンドリークリニック」であり、猫ちゃん専任のスタッフも在籍しています。

先生が獣医師となられたのはおじいさまやお父さまの影響なのでしょうか?

そうですね。祖父と父、そして母も伯父も獣医師で、自然と同じ道を志しました。実家では、犬、猫、ハムスター、カメ、鳥、魚などを飼っていて、私は昆虫も好きでしたので、たくさん捕まえたりしていました。動物病院の2階が自宅で、小さい頃はよく1階に下りてきて遊んでいたものです。ある時、来院したワンちゃんをなでていたら、飼い主さんが「この子は、お父さんのおかげでこの年まで長生きしているんだよ」と声をかけてくださったことを覚えています。祖父と父が築いてきた地域の方々との信頼関係を、私もこれからも大切にしていきたいと思っています。

ペットの動物はどのような理由で来院するのですか?

昔はうさぎやハムスターなども診ていましたが、今は、ワンちゃん、猫ちゃんが対象です。来院理由は、各種ワクチンや健診はじめ、「食欲がない」「元気がない」「具合が悪そう」などさまざまです。ペットの高齢化も進んでおり、特に猫ちゃんの場合は18~20歳の子も。人間と同じように年齢を重ねるにつれて病気の発症率は上がり、がんになる子も少なくありません。猫ちゃんでは腎臓病が特に多い死亡原因ですが、がんは、ワンちゃんでは第1位、猫ちゃんでは第2位の死亡原因ともいわれています。できるだけ早く病気を見つけてあげて治療して差し上げたいと思っています。

しっかりした診断とエビデンスに基づいた治療に尽力

先生は、がん治療など手術経験も豊富だそうですね。

はい。幅広く診療していますが、勤務医時代からがん手術は数多く行ってきました。獣医腫瘍科認定医II種の資格も取得しています。高齢の子で具合が悪いということで来院され、検査をすると腫瘍が見つかったというケースもありますね。その場合、薬や手術による治療へと進みます。また、がんだけでなく、骨折や靱帯の損傷、脱臼など整形外科疾患の手術の経験も積んできました。まれに急を要する手術もあり、当日緊急で行うことも。当院の手術室は衛生・安全管理を徹底しており、呼吸困難な子や重症の子には酸素を充満させた状態で手術を行います。入院室もワンちゃんと猫ちゃんとは別になっています。がん手術の場合、入院日数は、その子の状態にもよりますが、日帰りから長くても1週間ほど、整形外科手術では2~3日ほどとなります。

設備についてこだわった点はありますか?

超音波検査機器は2台あり、1台は主に胸腔内や心臓、腹腔内などの大きな空間や臓器を、もう1台は目の中や関節、靱帯など細かい部分を観察するのに使用します。エックス線撮影機器もですが、病気の発見、治療には、まずしっかりとした検査が重要です。そのため、画像の鮮明度にはこだわり、先進の機器を選びました。またエックス線撮影機器は歯科用も備えています。歯の健康が体の健康につながるというのは、人間だけでなくワンちゃんも猫ちゃんも同じです。飼い主さんには定期的に歯磨きをしていただければと思います。歯ブラシは、ドラッグストアで売っている小児用の歯ブラシでも大丈夫。若いうちから慣れさせておくことが望ましいですね。

診療において先生が心大切にされているのはどんなことですか?

一番大事にしているのはシンプルなことですが、まず病気をきちんと診断することです。それが最初に最も大切なことだと考えています。この子の体に何が起こっていて、それがどのように影響して現在の状況になっているのか、検査をして原因を明確にし、それに対してエビデンスに基づいた治療をする。一貫して、ごまかさず、誠実に向き合うことを心がけています。飼い主さんのどんな質問にもきちんと答えられるよう、学会や勉強会に出席するなどして日々アップデートされていく知識・技術を取り入れ、学び続けています。

誠実に向き合う姿勢を大切に

飼い主さんやワンちゃん、猫ちゃんに対して心がけていることは?

待合室をワンちゃん猫ちゃんで別にしていることをはじめ、その子を緊張させないように、その子の性格に合わせて診察を進めるように心がけています。警戒心が強く非常に怖がる子は優しく毛布にくるむなど工夫をしています。また、透明性を大事にしており、状況によりますが、採血や超音波検査などは飼い主さんに一緒にいていただくようにしています。わかりやすく例えると、飲食店でも厨房が見えると何となく安心できますよね。それと同じで、動物病院でも検査の流れを見れば安心していただけるのではないかと思っています。ワンちゃん猫ちゃんにとっても、飼い主さんがそばにいてなでてもらえたら安心につながるでしょう。他院で怖がってしまって診察が受けられなかったという子が当院で診察できて、飼い主さんにとても喜ばれたことは印象に残っていますね。

スタッフさんについても教えてください。

私のほかに獣医師が2人おり、今日も私がこうしてお話ししている間に、1人が手術を終えました。スタッフは、愛玩動物看護師4人、診療サポートスタッフ1人、受付2人、トリマー4人です。動物好きで明るく、勉強熱心な人がそろいましたね。愛玩動物看護師は国家資格で、看護師たちは今では採血や点滴の管の挿入など私より上手なくらい(笑)。みんな知識面でも技術面でもよく学んで頑張ってくれており頼もしいですね。当院は休診の水曜以外は平日20時まで、土曜は18時まで、日曜・祝日は午前、診療しており、土曜は特に忙しいこともあるのですが、スタッフは常に笑顔で対応してくれていてありがたく思っています。飼い主さんとのコミュニケーションはもちろん大切ですが、普段からスタッフとのコミュニケーションも大切にしています。

今後の展望についてもお聞かせください。

繰り返しになりますが、飼い主さん、ワンちゃん猫ちゃんに誠実に向き合い、しっかり診断をして、エビデンスに基づいた治療をしていきたい、ということに尽きます。それが一番大切です。中には、検査をしても原因が明確にならず、診断が難しいケースもあるのですが、最終的にはそうした子もきちんと診察できるよう、自分もアップデートし、頼られる動物病院にしていきたいですね。直近では県外の動物病院に週1度出向き、一流といわれる先生の丁寧ですばらしい仕事や、獣医師としての考え方を学んで感銘を受けました。これからも学びを続け、得たことを日々の診療に生かして、ワンちゃん猫ちゃんの治療、健康維持に尽力していきたいと思っています。

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