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北村 臣一 院長の独自取材記事
ひだまり動物病院
(高槻市/富田駅)
最終更新日: 2024/07/16
阪急京都本線富田駅から徒歩7分、JR京都線摂津富田駅から徒歩11分の場所にある「ひだまり動物病院」は、年中無休で医療を提供するだけでなく、2階にトリミングサロン、屋上にドッグランといった施設を備えた複合的な動物病院。院長の北村臣一先生は内科、循環器、画像診断の分野で知られる専門家から指導を受け、アメリカでの外科研修に参加した経験を持つ。どんな症例の患者も受け入れていることが特徴で、院長の専門である循環器科、皮膚科に加え、外科、眼科領域も専門の獣医師と連携。幅広い分野に対して専門的な治療を届けている。今回は北村先生に「治療の際に大切にしていること」「患者との接し方で心がけていること」「理想としている医療」などについて詳しく話を聞いた。(取材日2023年6月15日)
理想の医療実現のため、研鑽を積み重ねる
獣医をめざされたきっかけ、こちらの動物病院を開院した経緯についてお聞かせください。
獣医をめざした理由は、小さい頃からワンちゃんと暮らしていたこともあり、漠然と動物が好きだったことがありますね。それで自然に動物と関われる仕事をめざすようになりました。開院するまでの経緯については、大学を卒業後、大小いくつかの動物病院に勤務し分院長まで経験させていただきました。そんな中今後のことを考える時があって、これまでどおりどこかの動物病院に勤め続けていくか、自分の理想とする医療を追求してみるかと考えたんです。結果、自分の医療を突き詰めてみたいと思い、開院に至りました。
先生が理想としている医療について教えてください。
すべての病気に適切に対応できるというのが究極の理想ですが、一人の獣医がすべての分野で100%の診療というのは非常に難しいです。そこでチーム医療を意識した病院づくりが必要になるのですが、チーム医療というのは病院内だけではなく、信頼できる2次診療施設やフリーランスの専門獣医とも連携を取り、当院だけに収まらない医療を提供できる形を作ることだと考えています。また連携の形も「手に負えないから」ではなく「必要だから」行う連携が理想です。1次診療で丁寧な診察を行い、先を見据えたロードマップを作成。その中で2次診療の必要性が見えたら、ご家族に選択肢を提示する。もちろん紹介を望まれない場合は自分ができる限り最善の医療を提供します。そのために1次診療としての知識、技術はもちろん、その先の2次診療を見据えた対応ができるよう、日々研鑽を積んでいます。結果それが1次診療としての質をさらに高めてくれると考えています。
理想の医療を実現するためにされていることは何ですか?
大きい動物病院に勤めていた時から、カルテとは別に患者さんがどういった病気でどんな症状が起こっていたか、その病気に対して自分で勉強したことなどをまとめたノートを作っています。カルテはどうしても載せられる情報が限られてしまうので、患者さんの現状をカルテの中だけで完結させたくないと考えていました。病気に関連することも調べているので、同じ病気、似たような症状がある新しい患者さんにも役立っていて、積み重ねたことが今につながってきていると感じます。
患者とその家族、一組一組のつらさに向き合った治療を
特に力を入れている治療はありますか?
循環器疾患と皮膚疾患の治療です。循環器については僕が興味を持ってずっと続けてきた治療で、皮膚科は困ってる方が多く、また治療の際にご家族とのコミュニケーションが重要と感じ、注力しています。皮膚の病気は、注射をして終わりというわけにはいかず、家でシャンプーしてもらったり薬を飲ませてもらったり、動物病院とご家族での連携、チームプレーが特に大切という面があります。だからこそ、ご家族との会話の時間をしっかりと取ることが必要で、密なコミュニケーションを心がけています。そうなってきた時に、一般診療の枠組みの中ではどうしても対応の難しい部分もあったので、専門的に対応できるように体制を整えました。ご家族の悩みを聞いて、患者さん自身のつらさもきちんと診てあげられるように、一組一組としっかり向き合って治療をしていきたいです。
治療時に大切にしていることは何ですか?
説明できないことは一切しないということを心がけています。先ほどの理想の医療に通ずる部分でもあるんですが、「とりあえず検査しましょう」「とりあえず薬を出しておきますね」というのは獣医として良くないこと。ちゃんとその患者さんがどういう状況で、これからこういう治療が必要だからこそ、検査や薬が必要でとご家族に説明し、可能な限り、良い選択肢を提案するべきと考えています。この症例にはこの治療をとある程度流れが決まっているケースも少なからずあるのですが、患者さんが皆同じわけではないのできちんと向き合いたいです。流れで医学的に必要ない処置をしてしまうと、患者さんは余計に痛い思いをするかもしれませんし、ご家族の金銭的負担も増えていきます。医療行為に対する目的や責任をきちんと持つべきだと思って対応しています。
患者さんへの接し方で心がけていることは何ですか?
一番大事にしているのは、その子が何に苦しんでいるのかを常に一番に考えてあげようということです。これは、他の獣医とも共有して当院の方針としています。わかりやすい例で言えば外耳炎。耳がばい菌で膿んでしまって、外耳炎になっている場合、耳洗浄をし、お薬を出すというのが普通の治療です。でも、強引には治療を進めません。耳が炎症を起こしているわけだから、耳に触れられるのも嫌なくらい痛かったり、不快感があったりするはず。だから、緊急を要さない場合は一旦鎮痛薬の投与などワンクッション挟んで、少しでもその子の不快感の軽減を図った上で、耳の中を洗うステップに進んでいくようにしています。病気が目の前にあるとそのことを忘れてしまいやすくなるので、常に考えるようにしています。
特に治療経験の多い症例はありますか?
胆嚢疾患ですね。胆嚢の病気っていろいろ論じられてはいるんですが、まだわからない部分が多い疾患なんです。ただ、当院ではこれまで数多く胆嚢の症例を診ており、お薬での管理を中心に、開業以来100件以上(2013年3月~2023年6月)の手術も経験しているため、臓器を診た経験や術後の反応といった治療に役立つ知識がしっかりあると感じています。それだけの症例をこなしたからこそわかることがあるという意味では、自信を持って治療にあたっています。
患者が苦しまず、ハッピーな生活を送るために
予防にも力を入れていると伺いました。
はい、ご家族にはとにかく病気の予防をしていただきたいと思っています。さまざまなものが値上げされている世の中ですが、当院では予防薬を費用に配慮して提供できるように努めています。金銭的な負担を少しでも減らすことで、その分予防にも取り組みやすくなればと考えています。だからこそ、飼い主の方々には予防を諦めないでほしいです。
2階にトリミングサロン、屋上にドッグランを設けていますね。
サロンは通常の美容のイメージとは違っていて、スキンケア、健康な皮膚の維持に目的を置いています。院内に併設しているからこそ、持病があって体調が優れない子でも可能な限り対応していきたいと思っています。ドッグランについては、日光浴や運動と体にとって必要な要素を取り入れてほしいという思いからです。病気の子もリハビリテーションのために少しお散歩することが必要なので。結果、屋上にすごく気持ちの良いドッグランができました。
最近、猫ちゃんだけを専門的に診る時間ができたと伺いました。
はい。ワンちゃん、猫ちゃんを主に診ていますが、猫ちゃんだけを診る時間を設けています。猫ちゃんって移動や知らない環境で過ごすことにストレスを感じやすいので、何らかの工夫をしてあげたいとずっと思っていて。あとは、当院で働いている獣医さんから猫ちゃんをしっかり診たいという希望もあり、少しでも猫ちゃんの負担が減らせればと思って3月から始めました。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
生き物である以上、病気は避けられないし、いつかは必ず訪れてしまうものです。獣医として病気を治療するということは大前提で、その中でもどうしたら患者さんが苦しまないで、ハッピーな生活を送れるかということを、常に考えて診るようにしています。患者さんの状況やケアの仕方について、時にはご家族の方に少し厳しいことを言うかもしれません。ただ、それは患者さんのことを思っての発言なので、どうかご理解いただけるとありがたいです。