草場 翔央 院長の独自取材記事
横浜みどり動物医療センター しょう動物病院
(横浜市緑区/中山駅)
最終更新日: 2024/04/15
「的確な診断を重視し、無駄のない治療の提供と、飼い主さんの不安払拭に努めています」と話す草場翔央院長が複数の獣医師とチーム体制で診療する「横浜みどり動物医療センター しょう動物病院」。2017年に院長含め3人の小規模体制でスタートを切り、移転・拡充を経てこの春新体制をスタートさせた。JR横浜線とグリーンラインが利用できる中山駅の南口から歩いて5分ほどの場所にある同院に向かうと、草場院長が笑顔で迎えてくれた。「当院が大切にしている診断のレベルをさらに上げるためにCTを導入しました。相談の多い消化器科、皮膚科はもちろん、循環器科、呼吸器科、腫瘍科など、幅広い領域において高水準の診療を提供することをめざします」と抱負を語る草場院長に詳しく話を聞いた。(取材日2024年3月11日/情報更新日2024年4月10日)
「最期までここで」の声に応えて診療体制を拡充
まずはご自身のご経歴と、動物病院の成り立ちを簡単にお願いします。
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、千葉県や東京都の動物病院で臨床を経験。2017年に私を含めて3人のスタッフとともに開院しました。当初は予防接種や健康診断、トリミングなどを中心に地域貢献してきましたが、難しい病気に直面した際にも「最期までこの病院で診てほしい」という飼い主さんのご要望を受けて、難しい手術やターミナルケアも手がけるように。そうするとスタッフの増員と設備充実が必要であると感じ、5年目となる2021年に現在の場所に移転拡張しました。経験豊富な獣医師やスタッフが加わり、医療の充実を図ることができています。2024年に入ってCTを導入したほか、獣医師をはじめスタッフをさらに増員。4月からは「横浜みどり動物医療センター しょう動物病院」と院名も改め、新しい体制でスタートを切りました。
診療上の特徴を教えてください。
さまざまなバックグラウンドを持つ複数の獣医師によるチーム体制をとっており、二診・三診体制を基本に、日常の健康管理から二次診療まで幅広く対応するのが最大の特徴です。また、土日に夜間診療の枠を設けており、電話予約にて24時まで受診していただけるほか、緊急対応が必要な場合には曜日問わず可能な限り対応させていただいています。診療対象は犬猫のほか、うさぎやフェレット、ハムスター、モルモットなどの小動物も診ています。
どのような方針で診療されていますか。
診断を大切にすることを方針としています。良い医療を提供するためには、的確な診断が欠かせないというのが私の考え。そのために、診断がつかないというケースを少しでも減らしたいという思いで診療・運営にあたっています。新たに導入したCT検査機器の他にも、先進の超音波検査機器や気管支鏡、内視鏡などを導入しており、臓器や体液の状態を把握できる血液ガス検査やホルモン検査などにも対応しています。診断がつかない状態では、複数の可能性を考慮しながら手探りでの治療を続けざるを得ませんが、診断さえつけば治療のオプションを明確に提示することができます。同じ薬を使うにしても、副作用と作用の予測がある程度つくため、無駄な治療を減らせるという大きなメリットがあるのです。
診断がつかない症例を一件でも減らしたいとCTを導入
CTを導入された背景を教えてください。
100パーセントは難しくとも、診断がつかない症例を一件でも減らしたいという思いがやはり根底にあります。CTは皮下疾患や心臓、腎臓などの腫瘍の広がりを立体的かつ全身網羅的に調べるのに適していますし、超音波では見つけることができない極小の尿管結石など、ミリ単位の病変を見つけることも可能となります。こうした検査を駆使してペットを苦しめている症状の原因を突き止められれば、最適な治療に最短距離でたどり着ける上、飼い主さんの不安を拭えるはずと考えています。
どのようなご相談を多く受けていらっしゃいますか。
皮膚トラブルの相談は以前から多いのですが、近年では呼吸器や循環器の疾患で受診されるケースが増えています。これは、ペットの高齢化によるものとともに、検査機器の進化により昔は見つけられなかった病気が見つけられていることにもよると考えています。心疾患リスクが見つかっても、以前であれば「年だから仕方がない」と対症療法的に薬を処方するといった対応が当たり前でした。対して、現在は精密な検査によりリスクを細かく分析し、必要な対応をとれる体制になってきたのです。
セカンドオピニオンも積極的に受けていらっしゃると伺いました。
皮膚疾患や消化器疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、外科疾患などの専門性を求められる症例に加え、「様子を見ようと言われたが心配」「治療を受けているものの改善が見られない」といったケースでのセカンドオピニオンの相談をお受けしています。治療を受けているものの治らないケースとしては、多くの場合、的確な診断がついていないか、あるいは必要な治療オプションが提示されていないかのいずれかだと思います。診断までのフローは獣医師によって異なるケースがありますから、まずはこれまでの検査・治療経過をお聞きし、別の視点からのアプローチができないかを考え、当院の方針をお伝えします。紹介状があればなお良いですが、なしでも大丈夫です。じっくりお話しされたい場合は、飼い主さんだけでご来院いただきお話しすることも可能です。
助けられなかった子も5年後10年後には必ず助けたい
院長が獣医師をめざされたきっかけは何ですか。
動物好きな両親のもとに育ち、物心ついた頃から常に動物と一緒に過ごす環境でした。そのような環境で当たり前に動物を好きになり、幼い頃から将来の夢は「獣医さん」でした。ただ、心から獣医師の仕事に取り組もうと思ったのは、実は獣医学科を卒業後、臨床の現場に立つようになってから。たくさんの動物たちと触れ合う中で、目の前の動物を治療することにやりがいを感じ、さらに多くの動物たちを助けたい一心で専門的な勉強を続け、知識と技術を積み重ねてきました。以前は助けられなかった子も今は助けられる、今助けられない子も5年後10年後には必ず助ける……そんな思いが獣医師としてのモチベーションになっています。
今後の展望を教えてください。
ある程度の展望は持っていますが、ニーズに応えたいという思いが最優先なので、現時点ではこの先のことは正直よくわかりません。ただ、すべての診療科においてなるべく高水準を維持すること、どのスタッフが診ても同水準の医療を提供できる体制をつくることはめざしていきたいと考えています。自分自身、獣医師として現場に出てから改めて学びの大切さを実感し、一つずつ設定したハードルを越えるべく勉強を続けてきました。高くて越えられないと思えたハードルも、振り返ってみると低く見えるものです。例えば、「専門外だから」「看護スタッフだから」というように自分自身に天井を設定してしまうことなく、スタッフ全員で切磋琢磨しながら成長していける病院でありたいと思っています。
読者に向けてひと言メッセージをお願いします。
今年4月から、院名も新たに、新たなスタートを切ることとなりました。ただし、当院がめざすのは高次医療に特化した施設ではありません。専門的で高度な医療は追求しつつも、飼い主さんの小さな気がかりにお応えできる病院でありたいと考えています。定期健診や予防接種など日常的なケアを続けているのもそのためです。どんな小さな気がかりでも、それが病気発見のヒントや治療のスタート地点となることも。そのため、受付スタッフやワクチン担当の獣医師らにも、しっかりお話を伺うことを大切にと常に伝えています。「こんなことで相談しても良いのか」と悩まれる方も多いようですが、どのような小さなことでもお気軽にご相談ください。
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