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松岡 達矢 院長の独自取材記事
マカナ動物病院
(稲沢市/国府宮駅)
最終更新日: 2024/12/20
稲沢市稲沢町にある「マカナ動物病院」は2022年10月開院。通称南大通り沿いにあり、車でアクセスしやすい立地だ。周辺には住宅や公園、美術館があり、活気と落ち着きが共存している。「公園の前で開業したいという夢がかないました」と話す院長の松岡達矢先生は、開業前、外科と腎泌尿器科を専門に学び、海外研修にも積極的に参加。現在は犬と猫を対象に、気軽な相談や治療、定期健診による病気の予防まで幅広く対応し、午後10時まで夜間診療も行っている。ガラス張りの待合室には日差しがたっぷりと届き、訪れた動物たちが日向ぼっこをする姿も。院長がめざすのは、動物たちに「感謝」の気持ちを込めた医療を提供すること。院内の環境、院長の思いなど、さまざまな面から温かさが感じられる取材となった。(取材日2024年11月13日)
飼い主との対話を通じ、動物に思いやりある医療を提供
初めに、診療方針や理念を教えてください。
「心のこもった医療という贈り物」を理念に掲げ、動物たちに感謝を込めて診療するようにしています。動物たちが私たち人間に与えてくれる幸福や癒やしに対し、医療という形で恩返しをする……それが当院がめざす診療です。クリニック名の「マカナ」には、ハワイ語で「贈り物」という意味があります。動物に触れると幸せを感じますし、疲れて家に帰ってきても動物が出迎えてくれたら、元気になりますよね。当院では犬と猫を対象に、感謝の気持ちを込めて、思いやりのある診療をするように心がけています。
「心のこもった医療」を提供するために、心がけていることは何でしょうか?
動物を幸せにするためには、飼い主さんの協力が必要です。まずは飼い主さんと対話し、些細な体調の変化や不安に思っていることなどを聞き出します。その後、なるべく順序だてて病気のことや治療について説明し、飼い主さんの不安解消につなげています。いかに獣医師と飼い主さんが会話のキャッチボールをするかが重要です。獣医師が一方的に話すのではなく、飼い主さんから気軽に相談していただくのが理想ですね。相談内容によっては、すぐに治療の必要はなく、様子見をすることもあります。その際、ただ「様子を見ましょう」と伝えるのではなく、なぜ治療の必要がないのかをお話しし、飼い主さんが疑問に思うことがあれば、しっかり説明するように意識しています。獣医師への相談にハードルを感じている飼い主さんも少なくありません。なるべくラフにお話しいただけるよう、院内の環境を整えることも大事だと考えています。
院内の環境づくりでこだわったことはありますか?
ハワイをイメージして院内のカラーや雰囲気を考えました。ハワイの自然や文化が好きなんです(笑)。全体的な色合いや院内で流れる音楽、大きな葉を持つモンステラをモチーフにしたロゴなどから、ハワイの風が感じられると思います。待合室は日当たりが良いので、日向ぼっこをしながら寝ている子もいますね。待合室から公園の木々が見えますので、飼い主さんも外を眺めながら、ほっとしていただけると思います。ハワイを全面的に押し出しているわけではないのですが、訪れた方から「ハワイを感じる」と言っていただけると、うれしいですね。待合室は、犬専用エリアと猫専用エリアに分かれています。内装、外観ともに、病院というよりもカフェに似た雰囲気です。散歩中に気軽に立ち寄っていただけるような動物病院でありたいですね。
定期健診と早期治療で、動物の健康寿命を延ばしたい
ご経歴や専門に学ばれたことを教えてください。
北里大学を卒業後、千葉県の動物病院で一般診療と夜間診療に携わり、その後、外科が得意な先生のもとで研修を受け、2022年10月に開院しました。海外で外科を学ぶ機会もあり、ハワイやラスベガスなどのアメリカで先端医療について学べたのは良い経験です。また、腎泌尿器についても専門性を持てるように勉強中です。開業後は幅広く全身の疾患に対応していますが、外科や泌尿器科に関わる診療には、専門的な知識とスキルが役立っていると思います。院内での手術も対応可能です。また、歯科については、特に予防に重点を置いており、歯磨きの仕方やお手入れ方法を覚えさせ方からアドバイスし、病気の予防につなげています。
外科と腎泌尿器を専門に学ばれたのですね。犬や猫は泌尿器の病気にかかりやすいのでしょうか?
猫の3頭のうち1頭が腎臓病にかかるといわれています。犬も猫も死因の上位に入るほど、腎不全などの腎臓の病気にかかりやすいのです。症状が現れた時には病気がかなり進行していて、ターミナルケア(終末期医療)しかできないこともあります。症状が出る前の定期健診で腎臓の状態をチェックし、病気の予防や早期治療を始めることが大切です。病気の早期発見・早期治療により、動物の健康寿命を延ばしたいと考えています。健診を受けるのが当たり前になるのが理想です。これまで助けられる命を助けられなかった状況を何度も経験してきました。定期健診の重要性を強く感じています。
こちらには、複数の定期健診のコースがあるそうですね。
はい。「お手軽コース」「基本コース」「しっかりコース」の3つを設けており、それぞれ健診内容や健診にかかる時間、費用が異なります。お手軽コースは触診による身体検査と血液検査のみですので、手軽に検診を受けてみたい方向けです。一方、基本コースとしっかりコースは半日動物をお預かりして、身体検査と血液検査、尿検査、胸部と腹部の超音波検査などを行います。動物は中・高齢期になると、ホルモンの病気や心臓の病気にかかりやすくなるため、体の細部まで検査が必要です。定期健診は動物にとって大切ですが、時間や費用がネックとなり健診に連れていけないと考える飼い主さんも少なくありません。3つのコースから選択していただき、必要に応じてこちらから適切な健診内容を提案することもあります。ご不明な点があれば遠慮なくご相談いただきたいです。
飼い主だけで立ち寄れる、地域の気軽な相談場所に
動物を病院に連れて行くのに苦労されている方も多いようです。何かアドバイスはありますか?
動物を連れてくるのが難しければ、1つの方法としてまず飼い主さんだけお越しいただいても構いません。気になる症状を相談していただくだけで、病気の予防につながることもあります。「飼い主だけで良いの?」と思われるかもしれませんが、動物病院は治療や検査をするだけの場所ではなく、獣医師と話をする場所であると考えてほしいのです。受診したいけれど、動物が暴れて連れてこられない場合は、気持ちを落ち着けるための薬をご提案することもあります。「連れてこなきゃ」と思い込まず、ひとまず飼い主さんだけでも気軽にお越しください。
夜間診療にも対応されているとお聞きしました。
1人での診療になるため応急処置になったり、緊急性があったりする場合に限りますが、午後10時まで診療しています。稲沢市や周辺地域で夜間診療を行っている動物病院が少ないようで、稲沢市外から訪れる方もいらっしゃいます。「夜10時まで診てもらえて、心強いです」と声をかけられることもありますね。夜間診療をきっかけに、当院に定期的に通われるようになった方もいらっしゃいます。関東地方で勤務医をしていた時は、夜間診療をしている動物病院が多かったのですが、こちらの地域は少ないようで。少しでも困っている方のサポートができればと思い、開業当初から夜間診療を行っています。また、入院設備を利用し、ペットホテルを提供しています。万が一具合が悪くなっても、動物病院内ですのですぐに対応が可能です。
診療やさまざまな取り組みを通して、動物と飼い主をサポートされているのですね。
現在は、私とスタッフ計4人が働いていますが、今後ペットトリマーの資格を持つスタッフが入社し、2025年4月から新たにトリミングにも対応する予定です。スタッフがやりたいこと、学びたいことを尊重し、診療の質を上げていければと考えています。また、現在、獣医師は私1人だけですが、今後増やして病院の規模を大きくすることも目標です。獣医師がそれぞれの専門性を生かせば、治療の幅が広がります。飼い主さんや動物たちに貢献できる動物病院にしていきたいですね。