望月 啓太 院長の独自取材記事
横浜都筑どうぶつ病院
(横浜市都筑区/都筑ふれあいの丘駅)
最終更新日: 2025/03/03

もともと動物が好きで、父が獣医師だったことから、獣医師を志したという「横浜都筑どうぶつ病院」の望月啓太院長。大学卒業後は東京都内や千葉県のグループ病院、動物高度医療センターで研鑽を積んだ。その経験を生かし「究極の一次医療機関」として地域で貢献したいと、妻で愛玩動物看護師の望月沙織さんとともに開業の道を選んだという。もうすぐ開業3年目を迎え、幅広い専門性を求めて遠方から、あるいはセカンドオピニオンを求めて来院する飼い主も増えてきたとのこと。早期発見のために健康診断や予防にも力を入れたいと語る望月院長に、同院の特徴や特色ある治療、そして、動物医療への思いを聞いた。(取材日2025年1月28日)
腫瘍やFIPの診療に対応。慢性疾患の対応にも注力
とてもおしゃれな雰囲気ですね。

ありがとうございます。従来の動物病院は、臭いや汚れが気になったり、入りづらいというイメージがあったりすると思うので、できるだけ動物病院らしくないようにしたいと考えました。カフェのような雰囲気でありながらも、病院としてのベースはしっかり感じさせる、そんな造りを心がけました。できるだけ犬と猫は顔を合わせないような配慮を考え、診療室も2室用意しています。診療では、動物たちの心をくみ取り、その子に合った診察、治療、健康管理、日常のケアなどを提供することを心がけています。散歩の途中に気軽に寄っていただけるような、そんな動物病院でありたいと考えています。
開業までの経緯などについて教えてください。
小さい頃から動物が好きで、中学生の頃に実際に飼う中で動物を守っていきたいという思いが募り、また、父が獣医師だったこともあり、獣医師になりたいという思いが少しずつ芽生えました。大学卒業後は、東京都心や千葉県のグループ病院で研鑽を積み、前職の南東京動物医療センターでは分院長を務めました。もともと開業志向があり、地元の青葉区に近い所でと場所を探し、こちらで開業しました。一次診療から、ある程度高度な医療まで、さまざまなニーズに応えてきたので、その診療経験をこの地域の皆さんに提供できれば、と考えています。開業当初は、皮膚のかゆみやトラブル、下痢などの訴えが多かったですが、最近は、腫瘍性疾患の治療やセカンドオピニオンなど専門的な対応を求められる方も増えてきました。
診療面にはどのような特徴がありますか。

開業前に、さまざまな分野での知識や技術を身につけ、夜間救急を含めて多様な症例を診てきていますので、急な症状で来られた場合にも提供できる引き出しは多いのではないかと思っています。鍼灸といった東洋医学を取り入れているのも特徴で、慢性疾患や老齢疾患など薬では治らない場合、椎間板ヘルニアの手術をしたが治らないというような場合にご提案することがあります。FIP(猫伝染性腹膜炎)の診療にも対応しています。感染症の専門家である父に学び、また私自身も勤務医時代に研究に取り組んでいましたので、当院でもFIPの診療を行っています。FIPに関しては受け入れている動物病院が少ないので、いつでも対応できるように準備しています。ちなみに、父はワクチンにも詳しいので予防についても教わっています。
健診や予防に注力。猫の扱いに長じたスタッフも在籍
健診にも力を入れていると聞きました。

そうです。受診された時点で、手遅れであったり、治療方法が限られていたりという場合に、飼い主さんが口をそろえて言われるのが「もっと早くわかっていれば」ということなので、開業して、健診を受けてほしいとの思いを改めて強く感じています。セカンドオピニオンで来られた場合も、手遅れになっていることも少なくないので、症状が出る前に健診を受けておいてほしかったと思うことが多いですね。子犬や子猫のうちから来てくれている子の場合は、健診を勧めていますし、いくつかのコースも設けています。画像診断も得意としているため、少なくとも1年に1回は健診を受けて、病気の早期発見、早期治療につなげてほしいです。
そのほかに、こちらならではの取り組みなどはありますか。
犬に比べて猫は受診が難しいといわれますが、当院のスタッフは猫の扱いにとても慣れており、過去に「診察は無理」と言われたことがあるような子もうまく扱ってくれています。「イーッ」とムキ顔をする犬もかわいいですし、スタッフがうまく手なずけてサポートしてくれるので、私は楽しています(笑)。また、高齢や病気が理由で、あるいは噛み癖があるからと、サロンで断られるような子のトリミングも当院では行っています。何かあれば私もすぐに対応しますので、安心して利用していただきたいですね。高齢になっても最後の最後まできれいにしてあげたいと思っています。あと保護犬の活動団体にも協力しています。
診療の際、重視されていることを教えてください。

検査機器などハード面はもちろんそろっていたほうが良いですが、それより大切なのはソフト面だと考えています。正確な診断や飼い主さんへの説明といった、私自身のソフト面の追求が大切であり、私は「究極の一次診療」をめざしたいと強く思っています。当然ながら動物は言葉を話せませんし、飼い主さんもわからないことが多いわけですから、検査結果から推測して診断を整えて、この子はこういう状況だから必要な治療はこれで、当院でできるのはここまで、それ以上は高度な医療施設を紹介しましょうと、基本的なベクトルを示すのが地域の動物病院の役目だと思っています。ですから診療方針としては、まずはご家族である飼い主さんのお話をよく聞いて、その上でいかに解決できるかを模索し、しっかりとした方向性を示して丁寧な説明を行い、納得して治療を受けていただくことを心がけています。
動物と家族のより良いエンドストーリーを見守りたい
先生の立場から気になることはありますか。

この地域では、動物病院は敷居が高いと感じられている方が多いのかなという印象があります。様子を見てしまって、結果的に悪化してから来られるケースも多いのです。特に猫の場合、「病院に行くのは猫のストレスになる」と思われている方も多いようです。健診や予防で普段から通い慣れておくと、動物も病院に慣れて、診療や検査も和やかにスムーズに終わりますし、動物はもちろん、飼い主さんも受診に慣れていただくことが大切かなと思います。様子を見ていないで、ちょっとおかしいかなと思った時点で来ていただきたい。ご相談だけでもいいので、気軽に受診していただきたいですね。
今後の展望について聞かせてください。
犬や猫に病気になってほしくない、できるだけ元気に長生きしてほしいという気持ちがありますので、健診や予防に力を入れていきたいと考えています。そして人間でいえば終活、動物のより良いエンドストーリーをご提供したいと思っています。より良い最後を迎えるために、一頭一頭、一人ひとりに対し、動物病院としてどのように手を差し伸べていくかを常に考えています。大切なご家族の最期を迎えて悲しいけれど、飼い主さんが悔いなく「よく頑張ったね」と穏やかに見送れるようにつなげていくこと、そこがとても大切なことだと思っています。飼い主さんの病気や治療への理解が、良いエンドストーリーには欠かせないので、納得していただける診療をご提供できるようにこれからも努めていきたいと思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院では診療に対する恐怖を和らげ、動物に病院という場所を少しでも好きになってもらえるよう、動物の気持ちに寄り添った対応を心がけています。そして飼い主さんが抱える不安やつらい思いを少しでも軽くしたい、一緒に乗り越えていきたいです。「診てもらえて良かった」「出会えて良かった」などといったお声を大切に、これからも質の高い医療の提供をしていきたいですね。また、動物とともに暮らすということは、幸せホルモンというか、とても癒やされることだと思います。時にはストレスに感じることもあるかと思いますが、それよりも圧倒的に楽しい、幸せな時間が得られますし、お子さんの成長にも良い影響があると思います。動物を飼いたいと考えていて、責任を持って飼える環境であれば飼っていただきたいです。動物を飼うにあたっての不安や疑問もあると思いますので、ご家族として迎え入れる前からお気軽にご相談ください。