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- 中澤 亮太 院長、中澤 夕里絵 先生
中澤 亮太 院長、中澤 夕里絵 先生の独自取材記事
あおい動物診療室
(横浜市栄区/港南台駅)
最終更新日: 2025/01/08
2022年、栄区上郷町に「あおい動物診療室」を開院した中澤亮太院長と中澤夕里絵先生。動物病院というより地域の人が気軽に立ち寄れる身近な存在になりたいとの思いから「動物診療室」と名づけたという。動物にも飼い主にも寄り添った診療がモットーだ。院内の構造や対応にも動物にストレスがかかりにくいよう配慮されており、猫の特性に配慮したキャットフレンドリークリニックのゴールドにも認定されている。そんな同院は思いを同じくする愛玩動物看護師やトリマーと連携したチーム医療が特徴である。「多様な専門性を生かした総合的な診療で地域に根差して、身近な困り事にも対応していきたい」と話す中澤院長と夕里絵先生に話を聞いた。(取材日2024年11月8日)
動物と飼い主に寄り添い、ストレスの少ない診療を提供
こちらは猫に優しい動物病院とお伺いしました。
【中澤院長】猫にだけ優しいのではなく、すべての動物に優しくストレスのかかりにくい診療を心がけています。ただ従来の動物病院は犬が中心であることを受けて、当院では猫の特性に合わせて配慮しています。診察室、入院室を犬と分けるなど、猫にストレスがかかりにくい環境を整備した院内は、キャットフレンドリークリニックゴールドの認定を受けました。猫は動物病院が苦手という子が多いので、ケージから出てこない子はそのまま診ることもあります。一方犬は高い所が苦手なので、犬用の診察室の診療台は低めに。うさぎの診療は床の上で行うなど、動物種に合わせた診療を行っています。飼い主さんの希望があれば犬も猫も、フェロモン剤などを使いながら落ち着かせることもあります。 【夕里絵先生】院内を北欧風のデザインにしたのも、動物病院らしくない落ち着いた雰囲気で、動物も人も快適に過ごせる空間にしたいとの思いからです。
「あおい動物診療室」という院名もとても印象的です。
【夕里絵先生】動物病院や診療所というより、もっと身近で、動物や飼い主さんと近い距離感の存在になりたいという思いがありました。そこで私が勤務していた京都にある動物病院の名前の「動物診療室」を、理念が同じだったので使わせてもらうことにしたのです。「あおい」は京都の葵祭から。私の好きな言葉で、ペットのうさぎも「あおい」というのですが、とてもやわらかくまろやかな響きで、私たちのめざす診療スタイルに合っていると思って名づけました。
では、開業までの経緯を教えてください。
【中澤院長】私はもともと横浜出身で、動物が好きで動物飼育員になりたかったのですが、病気になった動物を助けたいとの思いから獣医師の道に進みました。外科治療を学ぶために京都の動物病院で研鑽を積んだ後、横浜に戻ってきたのですが、勤務医では自分の思うような診療ができないこともあると感じ、自分の理想にかなう場所をつくりたいと考えて開業しました。 【夕里絵先生】私は小学生の時からうさぎを飼っていて、病気になったうさぎを自分で治せるようになりたいと思い、獣医師を選択しました。京都や東京にある鳥専門の動物病院などで経験を積み、院長とともに開業に至りました。
犬・猫に加え、小鳥、うさぎなど小動物にも幅広く対応
診療方針や診療の特徴を教えてください。
【中澤院長】診療対象は犬、猫、うさぎなどの小動物、小鳥です。自然が豊かで戸建ても多い地域なので、中型犬や大型犬、多頭飼育も目立ちます。当院ではこれまでに培った腫瘍や循環器疾患、皮膚疾患など多様な領域の知識・技術を生かし、地域のかかりつけとしてすべての疾患を総合的に診たいと考えています。診療方針は動物と飼い主さんに寄り添い、ストレスのかかりにくい診療を行うこと。動物病院らしくない雰囲気にしているのも、健康な子にも来てほしいからなんです。病気になって初めて受診するとストレスがかかりますから、元気な時に来て慣れてもらえたら幸いです。また飼い主さん同士の交流の場にもなればいいなと思っています。 【夕里絵先生】男性と女性の獣医師がいるので、女性が苦手、男性が苦手という場合にも柔軟に対応できます。2人ともうさぎを診ることができるのも特徴だと思います。
うさぎや小鳥の診療にも多く対応されているのですね。
【中澤院長】うさぎは草食動物であり、犬や猫とは骨格や生理面、扱い方やかかりやすい病気が異なります。当院ではその特性に合わせた診療を行っています。跳び出すこともありますし、犬や猫よりさらに怖がりですから診察台に乗せず床の上で診ていますね。小鳥の診療は夕里絵先生が専門なので任せています。 【夕里絵先生】小鳥はセキセイインコが多く、内科的な症状に対してはほぼ対応しています。小鳥の場合、ペットショップで飼育方法を聞いた程度で、正しい飼い方を知らない方も多いでしょう。また飼い始めた時点で感染症や寄生虫を持っていることもあるので、小鳥の飼育を始めたらなるべく早く受診して、飼育指導や感染症の検査・治療を受けさせてください。うさぎの飼い主さんは熱心に勉強されている方も多いのですが、SNSなどの情報は正しいと限らないのですべてをうのみにせず、専門家にご相談いただきたいと思っています。
こちらではスタッフも活躍されていると聞きました。
【中澤院長】そうですね。動物にも飼い主さんにも丁寧に向き合いたいという思いに共感するスタッフが集まり、進んで対応してくれています。特に体重管理や歯磨き指導などで愛玩動物看護師が活躍してくれていますね。動物さんやご家庭それぞれに合ったプログラムを提案するなど、無理をさせない程度に指導しています。 【夕里絵先生】愛玩動物看護師が国家資格になり、私たちの方針に賛同してくれるスタッフも増えてきたので、連携して質の高いチーム医療を実践したいと思っています。院内での勉強会も積極的に開催して、救急で来院した場合の処置なども学んでもらっています。
トリマーなどスタッフと連携した皮膚診療、歯科も特徴
皮膚診療やトリミングにも力を入れているそうですね。
【夕里絵先生】皮膚のトラブルはとても多いので、獣医師、愛玩動物看護師、トリマーが連携して対応しています。当院のトリマーは経験豊富で、飼い主さんが気づいていない症状にも気づいてくれるんです。また適切なシャンプーを選んだり、家庭でのケアを丁寧にアドバイスしたり、とても頼りになる存在です。高齢犬の対応にも慣れていますし、サロン経験も豊富なので、シニアの子もかわいくトリミングしてくれます。 【中澤院長】動物病院というとスポーティーな短めカットのイメージがありますが、かわいいカットにも対応しています。病気や高齢の子の扱いにも慣れていて、動物に負担がかからないように手際良くケアしてくれるので、皮膚のトラブルが気になる方はぜひ相談していただきたいです。
今後どのような展望がありますか。
【中澤院長】スタッフ一丸となり、多様な動物・症状に対応できる体制を整え、さらに地域貢献していきたいです。例えば、勤務医時代に診る機会が多かったことから得意としている子犬・子猫の診療では、近いうちにパピー教室なども実施できたらいいですね。また感染症やマダニの流行を知らない飼い主さんも目立ち、情報が届いていないと感じることがあります。当院から正しい情報を、また診療についても最近の研究や知見を取り入れてお伝えしていきたいです。 【夕里絵先生】医療機器を拡充して診療の幅を広げていきたいですね。特に歯科は私の好きな分野であり、病気を予防する上で重要な分野なので、歯磨き教室を展開するなど今後さらに注力していきたいです。
読者へのメッセージをお願いします。
【中澤院長】動物にも飼い主さんにも親身に寄り添い、何かあれば相談していただける、散歩の途中に寄ってもらえるような存在になりたいです。動物の最期はどうしても悲しいものですが、できるだけ笑顔で迎えられるようなサポートを心がけています。高齢犬の夜鳴きや介護の悩みに対しても役立てると思いますので、頼っていただけたら幸いです。これからも、1匹でも多くの動物を助けるために努めていきます。 【夕里絵先生】動物を亡くした後、動物病院に来るのはおつらいと思うのですが、そんな方にも寄り添いたいと思っています。実際、当院は新しい子を連れて来てくださる方も多く、とてもうれしく感じています。病気になってからではなく、健康診断やおやつの購入、トリミングなどで気軽に立ち寄ってください。うさぎや小鳥の診療を行う動物病院は少ないようですので、些細なことでもご相談いただければと思います。