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浅野敦男院長、浅野萌恵先生の独自取材記事
あさの犬猫病院
(横浜市旭区/三ツ境駅)
最終更新日: 2023/01/22
相鉄本線二俣川からバスに乗り、最寄のバス停で下車して徒歩1分。静かな住宅街に佇む一軒家の入り口に「あさの犬猫病院」の看板が掲げられている。院内はまるで誰かの自宅に遊びに来たような、アットホームな優しい雰囲気に溢れている。こちらは開業して約30年という犬猫専門の動物病院で、地域住民の大切なペットたちの健康を見守り続けてきた。地域の動物のかかりつけ医として内科・外科・皮膚科など全般的な診療を行うとともに、各種ワクチン接種や健康診断などの健康管理・予防医学にも注力している。インタビューに応じてくれたのは「動物が大好きで、自宅にもたくさん動物がいるんですよ」と温かい笑顔で微笑む浅野敦男院長。そして、椎間板ヘルニアや脳炎など脳神経系の疾患診療を専門とする、娘さんの浅野萌恵先生にも加わっていただいた。とても仲が良くコンビネーションも抜群の浅野先生親子に、クリニックの特徴や治療に対するポリシー、大切なペットの健康アドバイスなどを楽しく聞かせていただいた。 (取材日2013年8月22日)
「近いから行く」のではなく「ここの治療を受けたいから行く」と言われるクリニックに
開業して30年ということですか、この街の印象は変わりましたか?
【敦男院長】30年前と比べるとこの辺りもだいぶ開発が進んで、街の様子も変わりました。今はすっかりきれいな住宅街になりましたけれど、それでも緑はたくさん残っていますし、静かでとても住みやすい街なので気に入っています。開業当時このエリアの獣医さんの数はとても少なくて、旭区全体でも6人くらいしかいなかったんです。私が「旭区では10年ぶりの開業医」と言われるような状況でしたから。そのおかげもあってか、開業当時から特に派手な宣伝などをしているわけではありませんが、たくさんの方にご愛顧いただいております。当クリニックに来院なさる飼い主さんとペットは、この近辺に住んでいる方が中心です。30年もやっていると飼い主さんも代替わりして、ずっと通ってくださっていた方のお子さんがまたペットを連れて来てくださるケースも多いです。
こちらのクリニックの診療科目を教えてください。
【敦男院長】当クリニックは犬と猫を専門とした動物病院です。どんな悩みでも気軽に相談できる“地域のホームドクター”をモットーとしており、外科・整形外科・軟部外科・内科・皮膚疾患とオールマイティに対応しております。その他にもワクチン接種やフィラリア症予防などの各種予防や、血液検査や循環器系の検査を行う健康診断など、近年のニーズに合わせて予防的な診療にも力を注いでおります。特に循環器疾患・消化器疾患・眼科疾患など内科一般については詳しく診察させていただきますので、少しでも気になることがあれば、早期発見・治療のためにもできるだけ早くご来院くださいね。外科的治療に関しても、専門的な技術や機器が必要な場合は、娘が勤務している川崎の日本動物高度医療センターなどの大きな病院にご紹介しますが、当クリニックでもできる範囲内で手術まで対応させていただきます。
最近増えている悩みや症例はありますか?
【敦男院長】皮膚がんや内臓系がんなど、腫瘍関係の病気に悩むペットが増えています。その理由は、最近は飼い主さんがペットを非常に大切に飼うため、動物の平均寿命が延びていることです。今の飼い主さんは、本当にペットの健康に普段から気をつけているという印象を受けます。日々の食事管理はもちろんですが、クリニックにも「病気になったから治しに来る」のではなく、「病気にならないように予防する」という目的で来院なさる方も多いです。ペットのことを“家族の一員”として人間同様に考えているため、治療に対しても「できるだけのことをしてあげたい」と非常に積極的です。そのニーズに答えられるよう、治療内容や使用する医療機器・設備等も人間と同レベルにまで進化していく必要があると痛感しています。
過去を補うのではなく、自分の未来を描く予防型治療
こちらのクリニックでは、具体的にどのような予防治療を行っているのですか?
【敦男院長】血液検査時や消化器ドッグ・循環器ドッグなど、各種検査をご用意しております。また病気を予防するためには毎日の食事管理が非常に有効ですので、各動物の体質にあった食事管理指導や処方食などの提供も行っております。今は動物用処方食の種類が非常に豊富で、腎臓が悪い子用の塩分控えめの物や、肥満症の動物にはカロリーを抑えた種類などをおすすめしています。これらの処方食は一般の店舗では販売しておりませんので、クリニックでのみ購入いただけるものです。白内障や関節疾患予防のためのサプリメントなども各種取り揃えております。また、動物の体調不良は皮膚の色や毛艶に現れる可能性もあります。当院でおこなっているグルーミングは単に身体をきれいに整えるためだけではなく、診療の一環として行っています。グルーミングで毛のコンディションを見ることで、皮膚病やその他外耳炎・内臓・循環器疾患の早期発見が可能になるのです。
先生の得意ジャンルを教えてください。
【敦男院長】私が得意としているのは皮膚系疾患の診療です。皮膚系のトラブルは他ジャンルと違って、改善されていく様子が目に見えて分かりますので非常にやりがいを感じます。的確な治療を行えば明らかに症状が良くなっているのが分かりますから、自分の行った治療の成果をダイレクトに実感できるのが魅力ですね。皮膚系疾患に関するセミナーにも積極的に参加して、常に専門的な知識や細心の情報を入手できるように心がけています。皮膚系疾患は季節によっても発生する病気の内容が異なります。夏ですとダニやノミアレルギーなどの感染症が多く、冬になると乾燥によって引き起こされる皮膚トラブルが急増しますのでご注意ください。 【萌恵先生】私は脊髄の病気や椎間板ヘルニアなど、脳神経科の治療を専門としており、普段は、現在川崎にある日本動物高度医療センターで勤務し、同時にこちらの父のクリニックを手伝っています。脳神経系の病気は、てんかん・脳炎・脳腫瘍など様々な種類があります。いずれも生活習慣や遺伝等によって起こるケースは少なく、先天的なことが原因になっていることが多いです。つまり、どんな動物にも起こりうる病気ですので、飼い主さんは十分に気をつけてあげてください。症状によってより精密な検査や専門的治療が必要な場合は、私の勤務先の2次医療センターとも連携をとっておりますので、そちらに紹介させていただくことも可能です。
先生方がドクターになったきっかけは何でしょうか?
【萌恵先生】獣医として働く父の姿を小さい頃からずっと見ていましたので、子どもの頃から自分も父と同じ道に進もうと決めていました。「大変そうだな」と思うこともありましたが、父はどんなに忙しくても決して辛そうな顔をしないんです。いつも楽しそうに働いていたので、いつしか私もそんな父のような獣医になりたいと思いました。 【敦男院長】私は昔から動物が大好きでしたから、獣医という職業を選択しました。今も自宅で犬と猫を飼っていますし、昔は鳥やプレーリードッグなど犬猫以外を飼っていたこともありました。今は毎朝早起きをして犬を散歩に連れて行くことが日課ですが、これがちょうど良い健康管理になっています。
個々の動物に合った、生涯の歯の健康プランをご提案
診療の際に心がけていることはありますか?
【敦男院長】動物の病気を治してあげることはもちろんですが、飼い主さんの気持ちも同時に汲みとってあげられるようにしています。ついついドクターは「動物を救いたい」という一心で、動物だけを見て治療に没頭してしまいがちですが、飼い主さんには飼い主さんなりの事情がありますよね。まずは飼い主さんとじっくり相談をして、最適な治療法を一緒に考案するようにしています。 【萌恵先生】大きな病院に来る患者さんは最初から「治療すること」を目的としていますが、当クリニックのようなホームドクターのところに訪れる患者さんは、治療をするべきかどうか「相談する」という段階からスタートします。私たちは飼い主さんのお話をしっかりと聞いて、何を望んでいるのかを聞き出すことから始める必要があります。そのためにも、飼い主さんとの信頼関係の構築も非常に大切な仕事だと思っています。
今後の展望などがあれば聞かせてください。
【萌恵先生】これからは徐々に動物病院の数が増えてくると思います。そんな中で患者さんに選んでいただくためにも、当クリニックならではの“特色”を作っていかなければならないと思っています。今後は私が専門としている脳神経科を強化して、それを当クリニックの強みにできればと考えています。そのためにこれからも修行を重ねて、より多様な手術や治療に対応できるようにしていくつもりです。今は飼い主さんがペットを家族の一員として非常に大切にしているので、それだけ動物病院にも積極的に足を運んでくださいます。私たち獣医もその要求に応えるために、人間と同様に高度な医療を提供していかなければいけないと思います。 【浅野院長】動物が病気になったときの治療はもちろんのことですが、将来なるであろう病気を予防するための場所としてもご利用いただきたいと思っております。動物に身近な病気を防ぐ相談相手が近くにいれば、飼い主さんとしても安心でしょうし、何より動物にとってためになります。そういったクリニックを目指していきたいと思っていますので、遠慮せずに何でも聞いてくださいね。
読者にメッセージをお願いします。
【敦男院長】人と同様に動物も食事管理が大切です。最近は色々な種類のペットフードがありますが、すべてが各動物の体質に合っているとは限りません。体質に合わないものを与えていると、皮膚にトラブルが出たり腹痛が起こるなどのサインが現れますから、それを見逃さないであげてください。また、今は「食事よりもおやつの方が、動物が喜んで食べるから……」という理由で、おやつばかり与えているという飼い主さんも増えているようです。それでは栄養バランスが崩れてしまいますから、ペットが喜ぶからといって甘やかしすぎは禁物ですよ。 【萌恵先生】いざ難しい病気にかかってしまったら治療費も高額になってしまいますので、普段からしっかり予防をすることをおすすめします。大切なペットの健康を守るために、まずは何でも気軽に相談できるホームドクターを見つけてくださいね!