川崎市川崎区の「わたりだ動物病院」を訪ねた。院長の田村通夫先生は犬と猫を中心に、副院長の田村裕美先生は小鳥やハムスターなど小動物を専門に診ているドクター。開業して34年という時間を振り返り、「病院も、私たち家族も、地域の皆さんに育てていただいたようなもの」と話してくれた。診察室には飼い主から贈られたという動物たちの写真や絵が飾られ、人や動物への愛情を感じた。治療においては一次診療以上の医療をめざしており、ドクターとしてベテランの領域に達してもなお、勉強を欠かさないという。検査機器などもそろっており、大切な動物を安心して任せられる。今回は、院長、副院長の診療に対する思いや、印象に残っている出来事などさまざまな話を聞いた。
(取材日2016年12月2日)
―開業して34年を振り返ってみていかがですか?
【田村院長】開業時と今とでは、飼い主さんの意識も、私たちの技術も次元が変わりましたね。昔は動物が病気をしても、病気だと気づけない飼い主さんが多かったと思います。フィラリアの予防にしても、知識がある方は少なかった。ワンちゃんや猫ちゃんの食事にしても、人が食べた残りをあげている人も多かったですからね。今は飼い主さんの意識が高くなり、私たちが伝えるべきことも変わってきました。
【裕美副院長】動物の、家庭での価値が変わってきたことがうれしいですね。昔は小鳥を連れてきて、「いくらで治せる? 買ったときより高いなら、新しい小鳥を買う」ということもありました。今は小動物に対しても質のいい診療を求めている飼い主さんがたくさんいます。「世界にこの子しかいない」という意識でいらっしゃるので、私たちも力を存分に発揮できます。
―病院内はゆったりしていますね。どんな施設があるのですか?
【田村院長】3年半前に新築して、病院としては現在が4ヵ所目になります。まず、診察室が犬、猫と小動物で分かれており、入院室もそれぞれ設けています。設備面では、小動物にも使用できるマイクロCTをはじめ、いろいろそろえていますので、飼い主さんにも安心していただけると思います。ドクターは、私が犬と猫、副院長が小鳥やハムスターなどの小動物、さらに長男が腫瘍科を専門としていますので、それぞれの得意分野を生かして質のいい診療を提供したいと考えています。
【裕美副院長】各部屋に空気循環装置や太陽灯を設置したりと、見えないところにもこだわりが詰まっています。自家発電装置も備えているので、突然停電しても安心です。手術中に電気が止まったり、エアコンが止まると入院している動物が危ないので。災害などいざというときは、当院が地域の人も動物も守れると思っています。あらゆる面で理想を詰め込んだ病院になりました。
―予約診療も特徴ですね。
【裕美副院長】予約制にすると、私たちと飼い主さんと、双方にとっていいことが多いのです。以前は特定の時間帯に人が集中し、場合によっては3時間くらいお待たせしてしまうことがありました。お忙しい飼い主さんにとって、時間が読めないのは困ると思いますし、待ち時間が長いと動物たちにも負担がかかりますよね。現在は予約制が定着しましたので、時間が大きくずれることはないですし、お一人ずつ十分な時間をとっていますので、落ち着いて相談していただけます。私たちも次にどんな子が来るかわかっているので準備ができますし、病気を診るだけでなく飼育指導まで丁寧に行うことができます。
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