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塚越 篤 院長の独自取材記事

オハナ動物病院

(鎌倉市/鎌倉駅)

最終更新日: 2023/01/22

「優しい治療といってもいろいろな意味がありますから、説明が難しいですよね」。一つ一つ言葉を選びながらそう話すのは、2008年に鎌倉市の材木座で開院した「オハナ動物病院」の院長、塚越篤先生。「動物に対する痛みなどの負担を最小限に」といった技術面だけでなく、「飼い主との考えの共有」を大切にしていることは、話し方や手書きのリーフレットでの正しい知識提供などの工夫からも伝わる。「飼い主・ペット・医師の三者が一枚岩になってこそ、効果的な治療ができる」との考え方は、ハワイの言葉で「家族や絆」を意味する院名「オハナ」にも込められている。絆をいかに結ぶのか、診療方針や先生のやさしい人柄を取材した。 (取材日2014年10月30日)

治療には、進む方向だけでなく、歩調も合わせることが大切

院名の「オハナ」について教えて下さい。

「ohana」とは、ハワイの言葉で「家族・仲間・絆」などを意味するそうで、開院時に友人が名付けてくれました。ペットも家族ですから、やさしさや思いやりのある「些細な事でも相談できる動物病院」にしていきたいと思っていましたので、大変気に入っています。院内の造りも、飼い主さんが治療の現場に寄り添えるように広くしました。その方がペットも不安になりませんし、家庭で行えるケアのやり方などを直接見てもらえますからね。時間にすると、家庭で過ごす方が医院にいるときより圧倒的に長いわけですから、ヒントのひとつでも持ち帰っていただければうれしい限りです。待合スペース雰囲気は変えています。待合室は木調を主体にしたくつろげる空間、診察室は白をベースにした清潔感をイメージしています。

飼い主への接し方で、何か工夫などはされていますか?

当院では、疾患ごとに原因やポイントなど記載した「リーフレット」をご用意しています。納得されてから治療に入る方が、その効果も望めると考えています。口頭の説明だけでは、家に帰って忘れてしまうこともありますしね。もちろん、診察時の会話にも力を入れています。動物の疾患を人間に例えると、話がスムーズに正しく理解されやすいようです。このとき、「?」という消化不良感が表情に出ないか、そこは注意して感じ取っています。こちらが行きすぎたら一歩戻って、かといって立ち止まるのは避けつつ、一緒に進んでいくその繰り返しが大切なんだと思います。

なぜそこまで、情報共有に力を入れているのでしょう?

いわゆる「インフォームドコンセント」とは、ただ情報を与えればいいという医師側の発想ではなく、「患者さんの理解に基づいた合意」だと考えているためです。手術になってから、「そんなことも必要なんですか?」と言われるようでは、全然コンセンサスが取れていないことになりますよね。それに、インターネットが発達したこともあり、さまざまな情報が交錯している傾向が否めません。たとえば飼い主さんから「先生、インターネットには違うことが書いてあります」と言われた場合、知識の軌道修正を行うことが必要です。診療進行中にそうならないよう、飼い主さんと医師のベクトルを納得の上で合わせていくのが大切です。家族のような信頼関係を築き上げていくための、必要不可欠な情報共有だと考えています。

めざしているのは、飼い主、ペット、医師が「オハナ」になること

特に力を入れている治療はありますか?

「皮膚病」全般ですね。皮膚に関する疾患は、完治が難しいものが多いため、飼い主さんの不安や疑問も多いです。患部の炎症やにおいを発することで「一緒に寝たいけど寝られない」という悩みや、症状がひどい場合、ペット自身がイライラして自分や飼い主に噛みつくことがあります。パートナーという関係性がバランスを崩してしまう、これは獣医師としては放っておけない問題です。一般的な治療では、ステロイド系の薬が用いられることが多いのですが、副作用があったり、体が本来持つ抵抗力を減少させる恐れもあります。実は、これこそが悪循環となってしまい、どこへ行っても治らないという状態を招いてしまうのです。当院を訪れる方のなかにも、5院目、6院目という方が少なくないのです。

そのようななか、どのような治療を施していくのでしょう?

治せるものは確実に治しますが、100%の完治が望めないケースでは、「自分でコントロールができるレベルにまで症状を抑える」ことを治療の目的にします。今までは下り坂であった症状を、最低でもフラット、できれば上り坂へ持っていくイメージです。私は、日々のケアを重視した治療を行っていて、「シャンプー療法」をメインにすることもありますし、食事内容や住環境もお尋ねし、原因を取り除くためのアドバイスもしています。ただ薬を使うよりも飼い主さんのモチベーションを維持しやすく、費用も抑えられるのではないかと考えます。とにかく、「もうダメだ」と諦めないで、一度連れてきてほしいですね。何かしらの手だてはあるはずですし、私も精一杯、真摯に診療させていただきます。

施設面の特徴を教えて下さい。

正しい治療には正確な診断が欠かせませんから、検査器具類は充実させています。例えば、当院には長さや太さが異なる4本の内視鏡があるのですが、これはもともと人間用の高性能なものです。患部を直接見るためのものなので、機器の精度の高さは診療の精度の高さにつながります。注意が必要なのは、「説明が付かない症状」もあるということ。皮膚の疾患は、原因がなかなか見えないこともあります。そのような場合は、病名を明らかにするより、「どうすれば快適に生活できるのか」を考えます。当院では「やさしい動物医療」をモットーにしていますが、骨折や椎間板ヘルニア等の整形および神経外科など外科的処置が必要な場合は、しっかりと当院でも対応できるようにしています。つまり、「飼い主、ペット、医師が歩調を合わせることができる診療」といった感じでしょうか。いずれかが独り歩きしてしまうことなく「できるだけ快適な生活」をめざして、全員でゴールへ向かっていけるやさしさを常に心がけています。

千里の道も一歩から、常に前進し続けることが大切

先生個人のことも伺いたいのですが、この道をめざしたきっかけは何なのでしょう?

私は湘南地域出身で、小さな頃から犬や猫に囲まれた生活を送ってきました。子猫などが生まれる姿を見ていると、家族の一員が増えたという実感がありましたから、「ペットをショップで買う」という感覚はなかったですね。そんな兄弟たちの病気を診てくれたのが獣医師。自然と「かっこいい」と思っていました。そして高校時代、「動物たちに関わった仕事をしていきたい」という気持ちが大きくなり、自分の中で獣医師に結びついたと思っています。

どのような学生時代を送られたのですか?

高校時代は山岳部に所属していました。アルプスの急斜面を乗り越えた後に仲間と作る食事は、景色というスパイスが加わり、何にも替えがたい楽しみでしたね。獣医師になってからは時間がなくて、たまにしか登れていませんが、今考えると、登山と治療には共通点があると思います。一見遠回りに見えても、一歩一歩進んでいけば、いつか頂上に着く時がある。ときどき頂上を見ながら道からそれていないことを確認し、正しいルートを進んでさえいれば、歩みの速さはあまり関係なくなってきます。登山も治療も、焦らず、互いに信じ合って着実に進んでいくことが大切だと思います。

学会での論文発表もされているそうですね?

はい。やはり「皮膚」に関するものが多いです。資格などを取るのが目的なのではなく、医療は登山と一緒で立ち止まったら終わりですから、技術を高める意味で研究を進めています。ときどき、「自分がガラパゴスになってないか」と自問することがあるんですよ。自らを外部の目にさらすことで客観性を保ち、知識に確信を得てから、地域に還元したい。その方が、当院を訪れる方にとっても、安心材料になるのではないでしょうか。また、勉強を通じて得た正しい知識をかみ砕いて発信し、各ご家庭で実践できるようなアドバイスにする試みも始めました。「専門は何ですか?」とたずねられると、「皮膚科」ではなく「ホームドクター」と答えられる獣医師でありたいと思っていますので。

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