2012年に開業した「アルズ動物病院」は、南柏市の閑静な住宅街の中にある。旧日光街道など大通りが近いものの、騒がしさがなく落ち着いた雰囲気が特徴だ。一面ガラス張りの受付と待合室は、光を取り込むことだけが目的ではない。初めて訪れる患者も、中が見えれば入りやすいだろうと考えた飛知和豪(ひちわ・つよし)院長のこだわりだ。「飼い主さんたちにとって、お散歩の休憩がてら立ち寄れるクリニックでありたいんです」その言葉通り、心遣いあふれる院内はどこも広々として居心地がいい。笑顔でじっくりと話を聞いてくれる飛知和院長に迎えられれば、つい長居してしまう患者も多いのではないだろうか。幼少時から獣医師になる夢を追い続けてきた飛知和院長に、診療へかける深い思いを伺った。
(取材日2014年12月25日)
―広々とした院内で居心地がいいですね。
ありがとうございます。飼い主さんの多くはご家族総出で付き添っていらっしゃるため、窮屈にならないよう待合室と診察室をできるだけ広く設計しました。猫ちゃんなど動きの俊敏な動物は、逃げられてしまうかもしれないので狭い診察室のほうが適しているんですけどね。僕はできるだけご家族そろって診察風景を見ていただき、獣医師の説明を皆さんに聞いてほしいのです。正しい情報をご家族みんなで共有していただくことで、動物はより安全に健康を保っていけると考えています。特に小さなお子さんには、生き物が病気になるとどうなるか知ってもらうためにも診療に立ち会ってほしいですね。病気を通して、より動物を理解し、命の大切さを知ってほしいと思っています。
―先生が獣医師をめざしたきっかけを教えてください。
実家が福島なのですが、幼少期は自宅の周辺に動物がたくさんいる環境で育ちました。自宅でも牛や豚を飼っていて、獣医師さんが往診に来るたび、「獣医師ってかっこいい」と憧れていたんです。小さいころは漠然と夢見ていただけでしたが、中学、高校と進学していくにつれ、はっきりとこの道を志すようになりました。家系には誰も獣医師がいなかったので不安もありました。でも進学に際して学校の先生をはじめ、両親ともよく話し合い獣医学部へ進学。この道を選んで後悔したことはありません。
―大学ではどのような分野にご興味を持って学ばれてきたのですか?
大学で専門の勉強をしていくにつれ、ウィルスや伝染病に興味を持つようになりました。人間でもそうですが、動物は体にウィルスや細菌が入ると免疫システムが働きます。細胞が体内に進入してきた異物に対してどんな反応を示すのか、そんな体のメカニズムに面白さを感じたのです。ただ、研究は楽しかったものの、最終的にめざしていたのは動物と直接触れ合える臨床医。もともと大動物の獣医師になりたいと思っていたのですが、猫の伝染病を研究する研究室に所属していた過程で小動物の可愛さに目覚め、開業を決意しました。
―なぜこの土地で開業しようと思ったのでしょうか。
大学卒業後、最初に勤務したのが千葉市の動物病院でした。そこで8年ほどお世話になって、その後柏市や松戸市の病院に勤務。いつの間にか、千葉県は僕にとって第2のふるさとのような場所になっていました。開業するならこの辺りでしたい、と思ったのです。また、千葉県はビルの並ぶ街と田園風景が混在した土地です。さまざまな生活環境がそこにあるということは、求められる診療にも幅があるということ。幅広い診療をしていきたいと考えている僕にとって、とてもやり甲斐のある土地ではないかと考えました。
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