高層マンションや商業施設が建ち並ぶ浦安新町エリア。海を身近に感じられるこの街に、2010年に開院した「ヴィアーレ動物病院」は、犬・猫を対象に病気の予防や治療を行う地域密着型のクリニックだ。白と木目調を基調とした院内は、通りに面した窓からやわらかな日の光が差し込み、明るく落ち着いた雰囲気に包まれている。「何でも気軽に相談できる、アットホームな雰囲気を大切にしています」と語る刑部允勝(おさかべ・まさかつ)院長は、松戸市の「いちかわ動物病院」や東京農工大学動物医療センターで研鑽を積んだ、経験豊富なドクター。一般診療はもちろん、小型犬に多いとされる皮膚病や加齢性の心臓病の治療を得意とし、心臓病の診断・治療に力を入れている。「ペットと飼い主さんの目線に立った、『心ある診療』を提供したい」と熱く語る刑部先生に、同院の診療方針や日々の診療について、また自身のペットとの思い出など、さまざまなお話を伺った。
(取材日2015年7月14日)
―スタイリッシュなデザインの、すてきなクリニックですね。
ありがとうございます。「地域密着型のアットホームなクリニック」というコンセプトをベースに、明るく清潔感のある空間を意識してデザインしました。獣医師という命に関わる仕事をしているせいか、私自身こだわりが強くて、何に対しても「妥協したくない」という思いを常に持っているんです。だから内装に関しても、「イメージだけ伝えてあとは業者さんにお任せ」ということでなく、設計士さんといろいろ相談しながら、ひとつひとつ丁寧に形にしていきました。子どもの頃から自分でいろいろ工夫して物を作るのが好きでしたね。小学校、中学、高校を通して、得意科目は理科、図工、体育。理科の中でも特に生物が好きでした。そして、子どもの頃から動物が大好きでしたので、「好きなことを仕事にするなら、獣医師しかないな」と、早いうちから考えていました。
―図工は、獣医師のお仕事とどのようにリンクしているのですか?
手術で必要となる「手先の器用さ」と、「発想力」ですね。実は、日本では動物専用のお薬や治療器具など、獣医療に特化したアイテムが極端に少ないんですよ。だから多くの獣医師は、自分で創意工夫して治療に役立つツールを見つけたり、ときには自分で作ったりしています。例えば、小さなスプーン。本来はラー油用なのですが、膀胱結石や胆石になったワンちゃんネコちゃんの、小さな膀胱や胆のうの中から石を取り出すときに非常に便利なんです。このスプーンをホームセンターで見かけて、「使えそうだな」とピンときて採用したわけですが、いろいろなところからインスピレーションを得て、診療に役立つアイディアに結びつけていく発想力が、臨床にはとても大事だと思います。
―静岡県ご出身だそうですが、新浦安で開業されたのは何故ですか?
入院している子がいれば夜間でもちょくちょく様子を見に行きますから、必然的に私自身もクリニックの近くに住むことになります。ですから、まずは「自分が住みたい場所」であることがポイントになりました。新浦安は、新しくてきれいなだけでなく、緑や海など自然環境にも恵まれた街です。休日にはペットを連れて散歩しているご家族をたくさん見かけます。住む場所としても仕事をする場所としても、新浦安は理想的だと思いました。2010年に開業して5年が経ちましたが、このエリアの飼い主さんは、ペットの医療に対する意識が高いと感じています。事前にインターネットで病気や治療法について調べてから来院される方も多く、熱心な姿勢からはペットへの愛情が感じられ、私もうれしくなりますね。ただ、インターネットには信憑性の低い情報も多く出回っていますから、すべてをうのみにしないことが大切です。情報が多すぎて、正誤が判断できなくなったときは、遠慮なく動物病院にご相談ください。インターネットで100の情報を得るよりも、他院の2〜3人の獣医師に意見を聞くほうがはるかに有意義で、役立つ情報が手に入ると思います。当院ではセカンドオピニオン、サードオピニオンも積極的に推奨していますので、大いに利用していただきたいですね。
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