―動物や飼い主さんに接する際、先生が心がけていらっしゃることはどのようなことでしょうか?
飼い主さんに対しては、おうちでの様子をできるだけ詳しく聞くことです。動物に対しては、押さえつけて無理矢理処置をする、ということはしません。犬や猫の場合でも、処置室で怖がったり緊張したりして逃げる・暴れるということがありますが、小動物でも同じです。体が小さい分、急に無理な力がかかると思わぬ事故に繋がることもあります。例えば、ウサギを興奮させてしまうと、大きくジャンプしてしまって、着地のときに骨が折れてしまうこともあるんです。病院に来てケガを増やしてしまっては意味がありませんから、動物の様子を見て落ち着かせながら処置をするよう、心がけています。
―大変お忙しいと思いますが、趣味やリフレッシュの時間はおありですか?
あまり頻繁には行けないのですが、演劇を見に行くのが好きです。普通のお芝居だけはなく、歌舞伎やミュージカルなど、面白そうだなと思った演目は見に行きますね。また、大学病院のほうでも診察させていただいているので、そこで普段会わない方とお話できるのも、良いリフレッシュになっています。あとは、家で飼っている犬と遊ぶことですね。
―先生の今後の展望についてお聞かせください。
呼吸器や腫瘍の知識を深めていきたいと思っています。それから、「犬や猫ではできるけれども、まだ小動物ではできない治療法」というものもあるので、それをなくしていくことですね。難しい話ではありますが、獣医師になった当初は不慣れだったことも、今はできるようになりましたし、寿命が延びてきている分、ちゃんと治して健康に長生きできるお手伝いをしていきたいので、今後も前向きに取り組んでいくつもりです。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします。
普段の生活や食事を、それぞれの動物に合ったものにしてあげてください。小動物に関しては住宅事情で犬や猫を飼えない住宅でも飼えることがあるのですが、やはり正しい生活習慣やお世話を守らなければいけません。また、犬や猫の飼い主さんで「欲しがるからごはんやおやつをあげてしまう」という方がいらっしゃいますが、クッキーのような小さいもの一つだけでも、人間に置き換えると食事の半分くらいの量になっていることがあります。それが原因で肥満や病気になってしまうこともあるので、あげるのなら食事の量を調整して、全体的なエネルギーが同じくらいになるようにしていただきたいなと思います。また、ご家族全員が動物と触れあうようにしておくといいですね。入院しているときに、飼い主さんやご家族が面会しにいらっしゃると、動物が元気になることもありますので。日頃一番長く接している方に来ていただくのが良いのですが、一緒に暮らしている方がいらっしゃるだけでも随分違いますから。
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