野田市駅より江戸川方向へ向かう途中に、おしゃれな建物が目を惹く「かわはら動物病院」がある。猫をかたどった銅板の門を抜け、大きな木の扉を開けると広々とした待合室が迎え入れてくれる。木のベンチと石だたみ、天井の高い造りがちょっとしたリゾート地に来たような居心地の良さだ。河原恒一院長は、「飼い主目線の診療」を何より大切にしている獣医師。取材中も質問の一つひとつに、丁寧かつわかりやすく答えてくれる姿勢からも普段の診療風景が見えるようだった。獣医療の進歩のためには地域の活動、獣医師同士の協力は欠かせないと考える河原院長に、獣医師になったきっかけから今後の展望までじっくり話を聞いた。
(取材日2016年9月5日)
―獣医師めざしたきっかけを教えてください。
小さいころから動物が好きだったのが大きな理由です。動物園に行くと檻の前に張り付いて、親が見失うくらい食いついて見ていました。家では、トカゲを捕まえてベッドに入れていたり、机の引き出しを開けると虫がたくさん入っていたり。動物、昆虫、は虫類何でも好きだったので、それを生かせる仕事に就きたかったんです。とはいえ、学年が上がっていくにつれていろいろな勉強に興味を持つようになり、医師、天文学者、物理学者とさまざまな職業を夢見ました。その中で獣医師への道を選んだのは、中学高校と進学していくうちに、手に職をつけたいと思うようになったため。もちろんその候補の中には医師もあったのですが、最終的に話ができない、気持ちを汲み取るのが難しい動物を治していける獣医師は、すばらしい仕事ではないかと感じたのです。好きなものを仕事にすれば、苦労も楽しめるもの。獣医師はとてもやりがいのある仕事だと思っています。
―獣医師をめざし、開業に至るまでの経緯を教えてください。
獣医学部に進むと決めた時から、何か技術を身につけたいと思っていましたので、入学してすぐに技術が学べる研究室に入りました。そして、その研究室にはちょうど開業医の先生がいらして、「卒業したらうちにおいで」と最初から言っていただいていたので、早い時期に将来進む道も決定。学生のうちから開業をめざして技術を磨いてきました。大学卒業時は、大学に残ってほしいと言ってくださった先生もいたのですが、自分のやりたい獣医療は開業してこそできる。そんな風に感じていたため、大学卒業後は開業医の先生の病院に勤務し、2年後に開業しました。
―獣医師になってから、どのような手応えを感じていますか?
僕が獣医師になった当初は動物病院があまり多くなく、開業してからはそのニーズの高さを強く感じました。動物病院が多くないということは、さまざまな疾患を持つ、いろんな種類の動物が自分の病院に来るということでもあります。当然、獣医師として幅広い知識と技術が必要になりますし、必要とされれば24時間いつでも診療に行ける体制を整えていました。当時は体力もありましたから、365日動物病院で診療をしつつ、往診、夜間診療と走り回っていたんです。今もそのニーズがないわけではありませんが、動物病院の数も増え、動物の種類や往診・夜間と専門にしている病院もできましたから、必要な方にはそちらをご紹介するようにしています。
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