常磐線、我孫子駅から徒歩5分の地に建つ「ナガイ動物病院」。大きな一枚ガラスが取り囲むクリニックは、テラスにベンチが並び、まるでカフェのような趣だ。窓から陽射しが降り注ぐ待合室は、明るくて広々としている。院長の永井岳先生が2009年に開業してから6年、同院は近隣住民の間で地域のホームドクターとして着実に根付いてきた。土日祝日も開院し、平日も含め夜は20時まで診療するなど、忙しい飼い主に配慮した体制を整えている。多忙のため趣味の温泉旅行にはなかなか行けないという永井院長だが、代わりに大好きなお酒でリフレッシュするそうだ。帰りが遅くても、野菜中心のメニューを自らつくるほどの料理好きという一面も持つ。丁寧な話し方と笑顔が印象的な院長に、治療のことからプライベートまでお話を伺った。
(取材日2015年10月20日)
―我孫子で開業した理由を教えてください。
私は生まれも育ちも我孫子で、大学もここにある実家から通っていました。ですから、小さい頃から暮らしている我孫子でいずれは、開業したいと思っていました。この辺りは5、60年前に分譲された土地に住む高齢者の方々と、ここ10年くらいでできた大型マンションの若いファミリー層が混在している地域です。開院した頃は、高齢者の方々がだんだん動物を飼うのをやめているなという印象でした。最後の猫なんです、犬なんです、と来られていたので。その反面、ファミリー層は、子育てがひと段落して、やっと飼い始めたという方がいらしたり、世代が少しずつ入れ替わってきている感じがします。飼い主さんの傾向としては、共働きの方もいますが、家でワンちゃんネコちゃんと接する時間がある方が思ったより多い印象です。病気として連れてくるのも比較的早い段階で、悪化してから駆け込んでくるという感じではなく、飼い方にゆとりがある方が多いようです。
―健康診断で来る飼い主さんも多いそうですね。
はい。その目的で来院される飼い主さんがどんどん増えています。こちらからも受診しやすいように、いろいろとご提案することがあります。例えば、フィラリアとか狂犬病の予防の診療のときに血液検査も一緒にやりましょうとお勧めしたり。フィラリア予防のときに採血するのですが、その時に同時にすれば、1回ちくっとするだけで済みますし、そこで病気を見つけていけるわけです。結果を見た飼い主さんが「犬にもコレステロールがあるんですね」と驚かれたりします。貧血気味とか、肝臓の値が高いとか、血液検査については、本当に人間と同じです。あとはレントゲン、超音波検査、尿検査なども、希望に応じて検査することができます。
―どんな症状が見つかりますか?
最近だと生活習慣や高齢などで、肝臓を悪くする子が多いですね。ご存じのとおり、肝臓は症状が出づらいのですが、本人元気なのに普段の食生活から脂肪肝気味だったり、食べ物の影響などで胆のうに泥状のものが溜まる胆泥や、胆石ができたりします。検査すると、症状が無くてもそういうことがわかります。逆に症状が出たときは重症になってしまっているケースがある。症状が現れにくい病気も発見できるのがやはり検査のメリットですね。ですから、健康診断を受けにきて、その結果、では治療しましょうというケースが結構多いです。全般的に、乱れた食生活と高齢化が原因の疾患が増えていると思います。
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