JR成田線新木駅より徒歩2分の立地にある「あゆくペットクリニック」。犬や猫はもちろん、うさぎ、小鳥、ハムスター、フェレットなどの小動物も診療している。動物に対する愛情が表情や話しぶりからも感じられる橋本有子院長は、自身も高齢の猫を4匹飼っていることもあり、年を取った動物との関わり方についても獣医師と飼い主両方の立場からアドバイスを行ってくれる。ヒューマンアニマルボンド(人と動物の絆)を大切にし、飼い主の不安を取り除くことでペットの寿命を延ばしていけたらという橋本院長。飼い主の気持ちに寄り添う診療と、患者とのエピソードなどについて話を聞いた。
(取材日2016年7月26日)
―どんな疾患や症状で来る動物が多いですか?
比較的多いのは、皮膚炎、外耳炎、尿石症、内臓疾患、神経病、心臓病、外傷などです。最近は内分泌系の病気も多いです。とはいえ、専門性に特化するのではなく、幅広く診ることに重きを置いています。地域のニーズとしても、1つのクリニックですべて診てもらいたいという声が多いので、それに応えたいと思っています。また、健康診断で来院される方もいます。近年はペットの高齢化が進んでいるので、ある程度の年齢になったら、特に症状がなくても検査や健康診断を受けることが大切です。必ずしも教科書通りの症状が出ないこともあるので、きちんと検査を受けることが病気の早期発見につながります。
―治療する上で心がけていることをお聞かせください。
はい。それも飼い主さんの話をよく聞いて、しっかりと検査・診断を行うことですね。飼い主さんは本当によくペットを見ていて、些細な変化にも「何かおかしい」と気づいてくれるので、それらも踏まえて検査・診断し、どういう病気なのかを丁寧に説明することを心がけています。というのも、私自身、母の介護をしていた時、お医者さんにはっきりと言ってもらえないことが大きな不安でした。それだけに、明確な答えを出すことで、飼い主さんの不安を取り除いてあげたいんです。質問でも、セカンドオピニオンでも気軽に当院を利用していただければと思います。
―インフォームドコンセントに重きを置いているのですね。
飼い主さんに正しい情報を伝え、理解してもらうことは、ペットの寿命を延ばすことにもつながります。例えば心臓が悪いワンちゃんの場合、毎回散歩に行く前に注意すべきことをわかりやすく伝えます。それを知っているのと、知らないのとでは飼い主さんの意識も違いますし、発作が起こる確率も違ってきます。ですから、飼い主さんにも日々の生活で心がけてもらえるよう伝える努力をしています。特に高齢になると腎臓病や心臓病、内分泌系の病気など、持病を複数抱えるペットもいて、毎日の薬や生活上の注意点が増えてしまいがちです。それでも「もう治らないんだ」と悲観的になるのではなく、飼い主さんが気をつけて暮らしていくことで、ペットの寿命を延ばすことにつながるので、理解を深めてサポートしていただきたいですね。
―それ以外で、飼い主とのコミュニケーションで心がけていることはありますか?
飼い主さんの不安を取り除くためにも、気持ちに寄り添うことです。例えば、介護が必要になった場合、まずは「大丈夫だから!」と力づけることで飼い主さんに安心してもらいます。飼い主さんに気持ちの余裕が出てくると、連れてくるペットも幸せそうに見えるんですよ。年を取って病気になると動物は甘えん坊になるのですが、飼い主さんもそれがうれしいようで、そういう姿が幸せそうですごくいいなと思うんです。介護や看病は大変ですから、心配ごとがあったら、気軽に聞いてほしいですね。そうやって話す中で、検査・診断・治療の手がかりになることもありますし、少しでも不安を軽くして、飼い主さんとペットが触れ合う時間を増やせたらと思います。
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