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上地 正実 センター長、水野 祐 医長の独自取材記事

JASMINEどうぶつ総合医療センター

(横浜市都筑区/中川駅)

最終更新日: 2023/01/22

動物と暮らす多くの人にとって、その存在は家族も同然だ。中には、家族以上の愛情を持って、動物たちの人生を預かる人もいるだろう。彼ら、彼女らが病に倒れたとき、あらゆる手を尽くして健康を取り戻したいと思うのもまた必然だと言える。「JASMINEどうぶつ総合医療センター」は、そんな飼い主の切実な思いに応えることをめざす、幅広い専門科を持つ病院だ。「人にできて動物にできない医療はない、という思いで取り組んでいます」と話してくれたのは上地正実センター長。同院の立ち上げから並走してきた水野祐医長も、「少しでも元気になって帰ってもらえるよう、力を尽くします」と力強く語る。動物への愛と、動物医療の未来を創る日々への誇りに満ちた二人に、同院の特徴や診療にかける思いについて話を聞いた。(取材日2021年11月17日)

専門科増強で、動物の人生をトータルケアできるように

2020年に移転されたと伺いました。どのような点が変わったのか、施設の特徴から教えていただけますか。

【上地センター長】施設が手狭になったため、増床を目的に現在の場所に移転しました。以前よりほんの少し駅に近くなり、病院の裏には14台分の駐車場も備えています。院内の設計で意識したのは、「見通しの良さ」ですね。医療者の視点でも、飼い主さんの視点でも隅々まで目が行き届き、陰になる場所がないような造りをめざしました。開業当初は4床だったICUも20床に増え、受け入れ体制が充実しています。 【水野医長】当院はその性質上、北は北海道から南は沖縄まで全国から患者さんが来られる上、患者さんのかかりつけの先生や学生さん、世界各国の獣医師も来院されます。皆さんに開かれた環境で見学いただけるよう、手術室も外からの見通しにこだわったガラス張りになっています。

スタッフや、診療科も増強されたのでしょうか。

【水野医長】現時点で当院は19人の獣医師と、動物看護師11人、獣医療クラーク8人、受付事務やクリーンスタッフ17人、その他スタッフ3人の総勢58人で構成されています。24時間365日入院管理を行っているので、夜勤専属の獣医師も2人配置しました。診療科は、従来の循環器科、麻酔科、消化器科に腎泌尿器科、腫瘍科、総合診療科が加わりました。 【上地センター長】さらに診療科が増え、より患者さんの人生をトータルでケアできるようになったのは当院の大きな強みですね。

多くのスタッフさんが呼吸を合わせて診療にあたっておられるのですね。お二方の息もぴったりだと感じます。

【水野医長】大学時代の教官が上地だったので、もう25年ほどのお付き合いになるんです。2014年、当院を立ち上げる際にお声がけいただいて以来、ずっと一緒にやらせていただいています。豊富なアイデアと天性の手先の器用さがあり、かつ努力を惜しまない姿勢には、何年たっても感嘆するばかりです。 【上地センター長】もう長い付き合いですから、いろいろなことが阿吽の呼吸で進められるのはありがたいですね。彼は獣医師に欠かせないタフネスの持ち主。どんなときも執刀医が諦めたら終わりですから、最後までできることを探して手を尽くせる精神力が素晴らしいと思っています。

未来の動物たちの幸せも視野に、医療の質向上に尽力

こちらの役割と使命について、改めてお聞かせください。

【上地センター長】当院は、かかりつけの獣医師からの紹介患者のみを受け入れている施設です。ですから、一般的な動物病院のように外来は設けていません。かかりつけの動物病院では対応が難しいと判断された、専門的な知識を要する患者さんについて、タイムリーに受け入れて対応することが私たちの役割です。 【水野医長】動物に対する医療はまだ発展途上ではありますが、人間と同じように細分化・専門分化が進んでいます。例えば「動物は治療できない」と言われていた病気も、そんな時代から少しずつ発展し、状況は変わってきているのです。「JASMINEどうぶつ総合医療センターなら」と頼っていただける存在でありたいですね。

今を生きる動物たちに対応することが、未来の動物たちの命を救うことにもつながっているのですね。

【上地センター長】そのとおりです。動物に対する医療はまだエビデンスが少なく、多くの分野が最善を模索している段階にあります。今、苦しんでいる患者さんのための手だてを考え抜き、対応していくことが、動物医療の未来を創ると思って日々診療しています。そのためのノウハウを増やすべく、併設する「日本どうぶつ先進医療研究所」に基礎研究所を開設しました。

現在、多くあるご相談について教えてください。

【水野医長】犬の場合、僧帽弁閉鎖不全症が多いですね。心臓の僧帽弁が閉じなくなって、血液が一方向に流れず肺に水がたまってしまう病気です。現在では、高齢の患者さんでも元気に予後を過ごせる例が増えてきました。猫の場合、多いのは心筋症です。心臓の筋肉がどんどん厚くなり、部屋が小さくなることで心臓の容量が減って、血液を送り出すのに負荷がかかる病気ですね。血栓や呼吸の荒さなどをきっかけに受診されるケースが目立ちます。

人間にできて、動物にできない医療はないはず

専門科目や診療方針をお聞きしていると、人間に対する医療と遜色ないと感じます。

【上地センター長】私が獣医師を志した当時、動物に対してできる医療は限られていました。獣医師になってからの私は、その現実とのギャップを埋めるために、「人間にできて動物にできない医療はないはずだ」という一心で走り続けてきたといっても過言ではありません。獣医学の進歩に力を尽くすことはもちろんですが、機器についても質にこだわって積極的に取り入れています。

診療の際、どんなことを心がけておられますか。

【上地センター長】期待できる点も、リスクについても理解していただいた上で臨んでいただけるよう、納得していただけるまでわかりやすくご説明することを心がけています。患者さんに対しては、診療前に顔を見に行くようにしていますね。表情を見ると、不安や信頼が伝わってくるような気がするんですよ。その様子を目に焼きつけて、診療の原動力にしています。 【水野医長】患者さんに対するケアは、スタッフたちの力も大きいですね。ストレスがないように声をかけ、患者さんたちを見守ってくれています。飼い主さんに対しては、上地と同じく、不安に寄り添うことと、説明することを意識しています。切実な思いを受け止めて、丁寧に答えを返していきたいですね。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

【水野医長】動物の医療も、日進月歩で進化しています。かかりつけ医から当院を紹介された時点で飼い主さんは大きな不安を感じていると思いますが、「ここに任せて良かった」と言っていただけるように力を尽くしたいですね。 【上地センター長】当院としてできることに、これまでどおり真摯に取り組んでいく。これに尽きます。地域の動物病院の先生方と連携して、できる限り多くの患者さんを受け入れていきたいですね。かかりつけ医、飼い主さん、そして当院の3者でタッグを組んで、動物たちのために頑張っていけたらと思います。

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