大森台駅から徒歩約10分。星久喜三差路交差点から大網街道を少し下ったところにある「くるり動物病院にとな」。開業は2015年。以来、中央区の犬、猫の飼い主たちから信頼を寄せられている。中島穣(なかじま・じょう)院長は、ナーバスな猫と飼い主が安心して受診できるよう、診療室やホテルを犬用と猫用に完全分離し、診療時間も猫専用の時間を設けるなど猫に配慮した診療環境をつくっている。ペットの健康維持と病気の早期発見には定期的な健康診断と毎日のホームケアが重要と考え、飼い主への啓発活動にも力を入れる。最近では歯科診療に注力しており、歯科専門のエックス線撮影装置も導入。そんな中島院長に、獣医療への思いやクリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2018年4月25日)
―こちらでは「猫の時間」が特徴だそうですね。
開業当初から、午後1時から2時まで完全予約制の猫専用の診療時間としています。私も猫を飼っているのでよくわかるのですが、猫は普段あまり外に出ることはないので、病院に来るととても緊張します。待合室で犬が吠えたりするとおびえてしまって体を触ることができなくなる子もいます。ですので、猫と飼い主さんともにリラックスして受診できるよう特別な時間を設けました。「猫の時間」があるためでしょうか、今は、診察の約4割を猫が占めています。一般の診療時間でもできるだけリラックスできるよう、飼い主さんが自由に使えるブランケットを置き、猫が落ち着くようにフェロモンの発生器なども使用しています。診察室やホテルも犬用、猫用で分けています。犬用のホテルは家具屋さんに特注した木製の部屋、猫には一部屋丸ごとキャットウォークのつけたホテルを用意し、場所も離して用意することで不安やストレスを軽減できるよう工夫しています。
―優しい配慮ですね。ほかに心がけていることはどんなことですか?
猫を診察するときは、できるだけリラックスできるように特に注意しています。猫の飼い主さんは繊細な方が多いので、あえて飼い主さんの目をあまり見ないようにしたり、静かに話したりするなど気を配っています。うちの猫もこんな感じでしたよなどと話すと、皆さん心を開いてくれることも多いですね。開業以来、いろいろな飼い主さんのお話を伺ってきていますが、飼い主さんたちは皆さん本当にペットのことを心配しているのだなとあらためて実感しています。あまりに心配しすぎで飼い主さんのストレスになってもいけませんから、少しでも安心してもらえるように時間をかけてわかりやすくお話しするなどを心がけています。
―こちらの診療方針について教えてください。
病気は遺伝的要素と環境要素が合わさって発症することが多く、動物の生活環境を知ることは診断する上でとても重要となります。ですので、診察の際はしっかりと飼い主さんの話を聞くことを重視しています。例えば皮膚疾患が発症した際、室内飼いか外飼いか、室内飼いであればヒーターやエアコン、カーペットなどの室内環境、また同居している動物がいるかどうか、食事やおやつの内容、ノミ・ダニ予防の方法などをお聞きしています。そういた生活環境を得た上で、五感を使って理学所見を丁寧に行い、必要な検査や治療法などについてわかりやすく説明しています。治療については飼い主さんによくご理解、納得していただいてから始めるようにしています。
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