「わたなべ動物病院」は、栄町の豊かな自然に惚れ込み、1993年に渡辺言之(わたなべのぶゆき)院長が開院。院内には太陽の光がたっぷりと注ぎ、冬でもポカポカと暖かい。渡辺院長は患者からの推薦がきっかけで、東京税関麻薬探知犬、千葉県警空港警備犬等の嘱託医も務めている。勉強熱心で現在も積極的に学会に参加しているが、患者が協力的で、周りの人に恵まれていると語る渡辺院長。温厚で謙虚でありながら、動物に対して熱い思いを持つ渡辺院長の人柄に、多くの人が集まってくるのを感じた。診療についてはもちろん、獣医師をめざしたきっかけ、また動物や飼い主に対する思いについてなど、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2017年3月23日)
―はじめに、獣医師をめざしたきっかけを教えてください。
父が大学病院に勤務する小児科医でした。リウマチという治療の難しい病気の研究をし、親御さんに感謝される様子を多く見てきて、医師の仕事の素晴らしさを間近で感じていました。それで、僕は犬や猫を飼っていて動物が好きだったので、獣医師をめざしました。大学では皮膚真菌症に関わるカビの研究に関心を持ち、のちにそれが実際にどのように動物に影響を及ぼしているのか知りたいと思い、臨床に興味を持つようになりました。
―なぜ、こちらで開業されたのでしょうか?
勤務医としての仕事にも満足していたのですが、結婚し、家庭を持つようになってから、家族との時間を考えたときに、開業への思いが強くなりました。僕は長年、国分寺に住んでおり、豊かな自然に囲まれた住環境に愛着があったのですが、近年は開発が進み、子どもや飼っていた動物のことを思うと、開業はもっと自然のあふれる場所でしたいと思うようになりました。そう考えたときに、僕の姉は結婚して安食台に住んでいたのですが、自然の多く残るこの地域は自分の理想に思い、また、よく姉のもとを訪ねていたので親しみもあったので、こちらでの開業を決めました。当時この近くには家や店など何もなくて「大丈夫かな?」とも思いましたが(笑)、当初から細々とでも地域に根差して診療していきたいという思いがあったので、僕の性格に合った場所だと思いました。
―患者さんはどちらからいらっしゃいますか?
地域にお住まいの患者さんのご利用が多いですが、今では、千葉県だと香取市や銚子市、また茨城県からもご来院いただいています。もともとこちらで診療をしていた患者さんがご結婚されてこの町を出ても、動物と一緒に顔を見せに来てくれることも多く、その気持ちがとてもうれしいですね。当初は小さな病院でしたが、ありがたいことに外まで患者さんが並ぶようになり、待合室を拡張しました。開業当初は病院の2階に住んでいたのですが、2人目の子どもが生まれてその騒音が診療に響くといけないですし、また忙しくなりスタッフも増えたので、住まいを隣に移し、2階には血液検査室とスタッフルームを設けました。
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