落ち着いた住宅地の洋光台にある「ひびき動物病院」は身近な町の動物病院をコンセプトに2007年に開業。犬や猫を中心にたくさんの動物たちと飼い主の健康で楽しい生活を見守り続けている。ペットの一般的な病気や予防接種、しつけ教室のほか、院長の岡田響先生が得意とする腫瘍の治療にも力を入れている。岡田先生は麻布大学動物病院で腫瘍治療に従事。日本獣医がん研究会の認定医の資格を持ち、その知識と技術を生かして的確な診断をする毎日だ。そしてそれ以上に動物たちのことを第一に考えた上で、飼い主と上手にコミュニケーションを取ることを心がけている。「押しが弱くて」と自身について話す岡田先生だが、お人柄はとにかく誠実で穏やか。取材中も質問の一つひとつを自分の中で消化してから話される姿が印象的だった。そんな岡田先生に、日々の診療についてや専門である腫瘍治療について、獣医師になった理由などたっぷりと語っていただいた。
(取材日2013年7月19日)
―はじめに開院の経緯について教えてください。
2007年6月に開院し、今年で6年目を迎えました。横浜で開業したいと思って場所を探していたところこの場所を見つけました。高校時代にこの界隈で過ごしたこともあり、馴染みがあったのも選んだ理由の一つですね。洋光台は高級住宅街でもなければ繁華街でもないのですが、お庭がある家が多く、のびのびと動物たちが飼われている印象があります。円海山という山もあり自然も残っているので過ごしやすいところなんですよ。当院は何かに特化するのではなく「町の動物病院」として機能することをコンセプトとし、犬、猫を中心に診られる範囲でその他の小動物の診療を行っています。
―先生がお得意とされる腫瘍科の治療についてお話ください。
動物医療が進歩し治療レベルが上がり犬猫が長生きできるようになった結果、ペットもがんが増え、現在は死亡原因のトップとなっています。がん治療においても日進月歩がはやく、開院当初時と比べても治療の選択肢が増えてきていますが、大きな病院でしかできない治療、クリニックでもできる治療など、飼い主さんのニーズとのバランスが大変重要になります。当院では、院内でも手術や抗がん剤治療ができるように体制を整えていますが、ここでできる治療には限界があるのも事実ですので、飼い主さんの意見を聞きながら、個々の動物にとって最良の治療を選択できるように心がけて相談しています。大きな病院で最先端の治療もいいけれど、あちこちの動物病院に行くのではなく、当院だけで治療を完結したいという考えの飼い主さんも少なくないので、できる限り支えてあげたいと思っています。そして、その幅を広げていきたいと思っています。
―日々の診療において大切にしていることはありますか?
一次診療のかかりつけの動物病院として、動物たちやご家族に寄り添っていける存在でありたいと考えています。抗がん剤治療の場合、動物は人間のように「頭が痛い、気持ちが悪い」と自分で伝えることはできませんし、こちらが全部気づいてあげられているかどうかもわかりません。治療をすることで苦しめるようなことはしたくないので、動物のことを一番に考えた上で、その周りにいる家族と寄り添って一緒に治療を進めています。残念ながら最期を迎えた時には「あの子がいてくれてよかった」と思ってもらえるようにしたいですね。動物を飼ってすごくつらかったという思いはさせたくありませんから。また次の子を迎えられるような、動物と一緒にいてよかったと思える生活のお手伝いをしていきたいと思っています。
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