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堀 雅人 院長の独自取材記事

すすきの動物病院

(横浜市青葉区/あざみ野駅)

最終更新日: 2023/01/22

あざみ野駅から、バスで終点まで。すすきの動物病院は、人々が仕事や遊びを終えて、帰りつく街にあります。この道のりを、遠方からもたくさんの飼い主さん達が、大切なペットを連れてやってくるのは、誠実で穏やかな掘雅人先生と、先生によく似た愛犬クーパーさんが、不安を抱えた飼い主さんを暖かく迎えてくれるからでしょうか。(取材日2006年12月25日)

本職の研究者の人達との交流から学んだ事

先生の子供の頃のお話を聞かせてください

落ち着きのない子でしたね。勉強よりは遊び、家の中よりは外で遊ぶ、でした。もともと、小学生の頃から獣医になろうって思っていたんです。ずっと動物を飼っていました。犬とか猫とか、途切れた事がない。ある時、飼っていた動物が亡くなってしまいまして。その時、もちろん獣医さんにかかっていて、今考えるとしょうがない事だってわかるんですけれど、子供だった頃は「自分だったら助けられたかもしれない」って思ったんです。でも、実際に大学受験の時期まで親は私が何をやりたいのか、知らなかったと思いますよ。ビックリしたでしょうね(笑)。

じゃあ、子供の頃からの夢がかなったわけですね。

そうですね。嬉しかったです。もちろん苦労した事もありましたが。それは普段の勉強もそうですけれど、やはり国家試験が大変でしたね。獣医は皆そこで苦労すると思います。まあでも、受かってしまえば、後は楽しいですから。

獣医さんになった、という事を実感したのはいつですか?

研究室に入った時ですね。猫のエイズの研究室だったんです。当時はそういうのが出始めたばかりでしたから、やりがいもありましたし、ずっと研究させてもらいました。国立予防衛生研究所に出向かせてもらって、そこで、本職の研究者の人達と交流が持てたというのが良かったですね。化学関係の人もいれば、薬学の人もいれば、また中国やブラジルなど世界中から勉強しに来てる方とか。そういう人達は学生だったり、企業の研究者だったり、公務員として働いている人だったり、立場もいろいろでしたから刺激になりました。物事の考え方とか組み立て方という部分で。基礎研究って、外堀を固めて、理屈だてて考えていかなければならない所があるので、ものを詰めて考える方法を学びました。それも凄く面白かったんですけれど、研究職としてのひらめきっていうんでしょうか。そういう部分は自分にはあんまりないなぁっていう事も感じましたね。すごいなって思うのと同時に「自分は研究職には進まない」という、結論を出せた事も、よかったと思っています。

飼い主さんとの話し合いが重要

言葉のわからない動物の診療をするのはとても難しいのではないでしょうか

動物が何を訴えているかは、やはり見ただけではわからないんです。苦しそうとか辛そうっていうのはわかるけど「どこがどうなの?」っていうのは、触診をして、痛そうだったり苦しそうだったりする場所の確定をするんです。あとは飼い主さんとの問診ですね。いつもと何が違うのかっていう事や、何故おかしいと感じられたのかという事。例えば、動物が動きたがらなくなってしまったという時、じゃあ逆にいつもはどういう時に動きたがるのか、とか。それぞれのケースを聞いてゆくわけですから、一人一人にかかる時間は長くなりますね。初めての方は、こちらも情報が少ないですから、40分から1時間くらいかかる時もあります。

飼い主さんのお悩みも大きいでしょうね

そうですね。その診断結果や話し合いが一番重要かもしれませんね。治療をするという事がもちろん大事なんですけれど、例えば「このお薬を飲ませてあげてください」と言っても、ちゃんと飲ませないと治らないわけですから、飲ませ方をきちんとわかってもらう事がとても大事なんです。またそれを続けることに、どれだけ大きな意味があるかを理解していただきたいのです。そうでなければ良くなってきているのに、途中でやめてしまうと、また再発したりするケースもありますよね。ですからその辺のお話は、できるだけしっかりしたいですね。

家に帰ったら、頼れるのは飼い主さんですからね

飼い主さんもそれぞれなんです。「この時間に、こうしてください」と言っても、小さなお子さんがいたり、お仕事があったりするとやりたくてもできない事もありますよね。それをどう解決してゆくかという事も、話しあって行きたいですね。これは、どのお医者さんもそうだと思うのですが、医者は神様ではないので、命をどうにかする事はできないんです。治ろう治ろうとする力を、手助けしてあげるっていう事なんです。そこで薬を出したり、食事などのアドバイスをするわけですけれど、その時に飼い主さんが一緒になって手伝ってもらわないとなりません。家での環境や食事など、飼い主さんに気を付けてもらう事がすごく大切なので。

体力勝負という事はないですか?

押さえる力は、そんなには必要ありません。何故かっていうと、押さえ付けるとかえって動物って暴れてしまうんです。ですから、基本的には支えているというか、触れているというか。あんまり暴れるような時は、押さえるのではなく枠を作ってあげるんですね。なので、そんなに力はいらないんです。ですが、生活は不規則になったり、時には徹夜もしなきゃならなかったりっていう、そういう部分での体力は必要になります。いつでも仕事できるようにしている感じですね。内科的な病気で重症な子だと、急に容態がわるくなったりしますから。うさぎは特にころっと症状が変わるんです。草食動物なので、お腹の中がほとんど盲腸なんですね。人間もストレスがかかるとお腹を壊しますよね。うさぎの場合、強いストレスがかかって、盲腸の中のいい微生物が、全部悪いばい菌に変わっちゃったりすると大変なんです。

ホームページにうさぎのコーナーがありますね

ホームページを作った時、当時から犬とか猫の情報っていうのはインターネット上に出ていたんですけれど、うさぎに関してはあまりなかったので、じゃあそっちを先に書いてあげようって思って作ったら、うさぎがたくさんやってきました(笑)。遠方からもいらっしゃいますよ。

悔いのないようにして行きたい。それは趣味も仕事も一緒

お休みの日はとれるのでしょうか?

最近はスタッフが休みの時にも出てくれるので、ようやく昨年くらいから結構楽になりました。1年半くらい前から始めたのですが趣味がウクレレなんです。それまでは楽器とかをやっていたわけではないんですけど、何かできたら楽しいだろうなって思っていました。でもやった事のない楽器だと、どのくらい続けられるかわからないじゃないですか。初期投資があまり高いと、辛いので(笑)。安く始められて、一人で弾いても楽しめるようなものを。例えば縦笛とかは単音しか出ないけれど、ウクレレなら一応コードで弾けるので、楽しめますよね。青葉台に教室があるので通っています。いい先生ですよ。結構練習しましたね。「涙そうそう」とか、今練習しているのは、ジャズの「スターダスト」。自分の頭の中では音が出ているのに、上手く弾けなくてくやしい、そういう事にのめり込むタイプなんです。仕事もこうしたいああしたいっていう事があって、くやしさ半分っていう所からがんばって、達成した時こそが嬉しい。遊びも同じで、ちょっと頑張って行く感じが好きなんでしょうね。

先生の夢や希望があったら教えてください

夢とは違うかもしれませんが、「くやしい」とか「こうしたい」と思う事を埋めていく事ですね。埋めても、またそういうものは出てくるんですけど。コツコツとやっていく事しかないと思ってます。そういう事への評価は、後からついてくるものだと思いますから。そういう意味では、仕事も趣味も、取り組みかたは似ているかもしれないですね。ダラダラできればいいんですけど(笑)、そういう所は子供の頃から変わっていないです。空いた時間ができると「どうしよう」と思ってしまう。やっと去年くらいから休みができて、それまでは「空いた30分の間にこれをやらなきゃいけない」とか、「これやっている間に次ぎの事を考えなきゃいけない」とか、段取りをしないと自分の時間が全然とれないっていうのがあって要領よく間をうめていくような感じでした。そうやって、悔いのないようにして行くだけですね。それは趣味も仕事も一緒です。

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