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島田雄平 院長の独自取材記事

さくら台動物病院

(横浜市青葉区/青葉台駅)

最終更新日: 2023/01/22

青葉台駅から12分ほど。桜台公園に面したところにさくら台動物病院がある。「動物が可愛い、好きだという気持ちだけでは、獣医師という仕事はできない。」と語るのは院長の島田先生。大学で臨床と研究をされていた島田先生は、獣医師の今の状況を冷静に見つめ、今の獣医臨床が人の最先端医療には遠く及ばない実情を話してくださった。今後は本当の先端医療が獣医領域にも浸透することを目指し、現在も臨床研究に熱意を燃やす島田先生の言葉からは、静かな情熱と病気の動物たちを少しでも多く救いたいという思いが感じられた。(取材日2008年11月11日)

人の先端医療が浸透しないのが獣医療の現状なのです。

開業までの経緯をお聞かせください。

高校では理数系のクラスだったので、大学は工学部に進もうかと考えていましたが、その頃から医学や農業の分野でバイオテクノロジーの研究が盛んに行われるようになり、面白そうだなと思ったのがきっかけで、小さい頃から犬猫が好きだったのもあって、獣医学の道に進もうと考えました。北里大学獣医学科に入り卒業後開業するまで、東京大学で臨床研究生2年、大学院4年、大学院卒業後に農学特定研究員3年と合わせて約9年ほど、東京大学付属家畜病院(VMC)で診療をしていました。学部学生の時も臨床系の研究室だったので、本格的な研究レベルのものに携わったのは大学院以降なのですが、とにかくずっと臨床系にいました。大学院在籍中はPET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)という核医学を動物に応用するための研究を行い、獣医学博士号を取得しました。この研究は大学ではなく東京都老人総合研究所で行わせていただきました。PETとは糖代謝、血流、神経レセプターの変化など目に見えないものを画像化すると言ったもので、人では臨床応用されており、近年では腫瘍の早期発見等に使われていると思います。僕がやっていたのは主に脳神経でしたが、その他にも心臓や、視覚神経をふまえた眼科疾患等に関してもお手伝いさせていただいたことがあり、こういったものにも応用可能です。僕が大学院生の時の話ですので、もう十数年前の話になりますが、現在でも獣医学領域では世界的にも一切行われておりません。最近ようやく大学等でやってみたいという話が出てきているようですが実際にはまだまだのようです。

先端医療が浸透しない問題点とは?

悔しい話ですが、コスト、マンパワー、獣医師の専門性あるいは法的な問題などさまざまな面で「動物に対してはそこまでできない。あるいは、しない」というのが、正直なところなのです。特にコストの問題は大きいです。飼い主の方はもちろんペットに対し、自分の子供や本当の家族のように可愛がっておられると思います。でも、実際子供と同じかと聞かれたら、そうではないはず。自分の子供のためなら、借金して1億円かけてでもアメリカに行って手術をしたりしますよね。でも、自分の犬が、例えば「1億円かけたら助かる」と言われて、やるかと言われても実際にやる方はほぼいないと思います。僕は学部学生の頃(16、7年前)に動物の人工透析の研究もしていたことがあって、当院でも透析ぐらいはやれるようにしてあるのですが、それですらなかなか選択してもらえないことの方が多いです。人間では当たり前にする透析治療ですら、やはりコストやそれにかかる手間を考えると、どうしても動物の領域では選択の幅は狭まります。われわれがいくら最先端の技術を目指したいと願っても、獣医の世界ではそこまで手が出せない。あるいは出しても・・・というのが本音なのです。

動物の病気を広く診ていかないといけない獣医。でも広く"浅く"にはしたくない。

人間と獣医師の医療との差に愕然とされたとか。

僕も若い頃は、「人間の医療に追いついて、追い越すんだ!」と熱意を燃やし、PETの研究にも没頭しましたが、現実を知りましたね。大学病院で臨床をしていたので、それなりの先端レベルの医療をやっていると思っていました。実際大学に来る症例は難病といわれるものが多く、なかなか見られない症例も経験することが出来ました。でも、たまたま大学院の間に"人間の最先端医療"というものに触れる機会があり、愕然とすることに。そこにおられた先生方も世界を相手に活躍されている方々で、僕が行くような場所ではなかったのかもしれませんが、そこで聞く話はレベルや目標としていることが、獣医師とはかけ離れていました。先端医療ということにおいては人医療と獣医療ではこんなに違うのかと思い知らされましたね。

今後、獣医師はどう進むべき?

そんなたいそうなことは僕にはわかりません。ただ人間だと、一種類と言ったら変な言い方だけど、人の体だけを診ればいいですよね。しかも、細かく診療科目が分かれていて専門的に診ることができますが、獣医師はいろんな種類の動物を全身的に診なければいけない。犬と猫では全く違う生き物だし、犬だけでも品種や大きさが様々。おまけに歯科、眼科、産科、内科、外科etc.それを「獣医師」というくくりで全部を診るのですから、結局、獣医師に求められることは、「広く浅く」ということになります。踏み込んだ研究レベルの医療が敬遠され、そういったものが末端の獣医師までなかなか広まっていかない一つの理由だと思います。「広く深く」が本当なのでしょうが、なかなかそういうわけにはいきません。特に我々開業医は専門性だけではダメで、やはり「広く」というのは重要なのです。もちろん専門性はあっていいと思いますが、専門というのは「すべてが出来て特にここが」ということだと思います。これは獣医師の世界では大学ですら不可能に近いかも。でも、今の若い子たちは賢くて優秀な人たちが多い。教育次第では獣医師の世界も変化していくのではないでしょうか? 現に獣医医療にも新しい風が少しずつ吹いてきていると感じています。「人医領域で当たり前にやっていることを動物にもどんどんやって、また人でやれないことを我々獣医師が先に・・・」と熱意を持っている大学院時代の後輩がいて、現在、彼は大学で腫瘍科の先生をしていますが、彼と共同して、遺伝子検査や免疫療法また再生医療などの獣医領域への応用などの研究を進めて行くことを相談しています。それを手伝ってくれている大学院生の子たちなどはとても優秀で、彼らがこれからの獣医療を変えていってくれそうです。実際、この前学生さんの講義を頼まれて大学に行った時に、今の学生さんたちはそういった話を彼らから教わっているので、我々開業医にまだまだ浸透していないような検査や治療法について、しっかりとした話をしているのを聞いてとても驚いていたばかりです。

「動物が可愛い」だけで獣医師は続けられない。

先生が診療で気をつけていることは?

動物は痛みなどの症状を言葉で訴えることができません。「私の経験ではこれだ」と獣医師が言いきってしまうと、それが全てになってしまいます。確かにいろんな症例を診てきてたぶんこうだろうと分かることはたくさんありますが、必ずちゃんとした裏づけを取るように気をつけています。常に証拠を持って考える。そうでないとそれは「経験」ではなく、単なる「体験」になってしまうと思います。考えのない体験は繰り返します。用は失敗も繰り返されると言うことです。獣医師は客観的に診療することが大切。証拠を取るということを怠ってはいけません。ただ、そこにもまた獣医師ならではの問題があり、正確な診断が必要だと言っても、1から10までの検査は事実上不可能。何でもかんでも検査するといったらお金も時間もかかってしまいます。なので、そこはできるだけ少ない検査で診断することが求められ、そこは獣医師の腕の見せ所ですね。また、大学病院まで来られる方は「この治療がしたい」という意思を持って来られる方がほとんどですが、開業医に来られる方は状況や立場も様々。今後の治療方針を選択してもらわなければいけません。どういう病気で、どういう治療法があるのか、お金、手間の問題を含めてきちんと説明し情報を与えることが、開業医の一番重要な仕事になりますね。

先生の趣味は?

趣味はギター。学生時代はバンド活動をしていて、ジャンルはメタル系!今は時々、ギターを弾くくらいですが、エレキギターだけでなくアコースティックギターも弾きますよ。子供は上が5歳、下が2歳。休日は一緒に過ごす時間を大切にしています。土日も診療しているので、泊りがけでどこかに行くということはほとんどありませんね。全く完全に病院にいなかった時ってほとんどないです。獣医師は面白い仕事ですよ。ある種これが趣味かも。人の医療のように専門性がないのが、一番のネックではあるけど、幅広くいろんな病態を診るのだから、いろんな勉強ができる。そういう意味では、やる気さえあればいろんなことにチャレンジできるのが獣医師なのかもしれませんね。ただ、動物が好きだとか、可愛いとか言っていられる仕事ではありません。われわれのプロフェッショナル性というのは「動物を治すことに興味がある」ということではないでしょうか。病気や怪我で辛い様子の動物を自分の知識や技術で治療することが出来る。もちろん動物は僕の力ではなく動物自身の力で治っていくのだけど、それを自分の能力で手助けできるというのは獣医学を勉強し続けるモチベーションになっているのではないかと思います。

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