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蜷川圭一 院長の独自取材記事

クローバー動物病院

(世田谷区/等々力駅)

最終更新日: 2023/01/22

東急大井町線沿線にある等々力駅。近くには緑豊かな都会のオアシスとして知られる等々力渓谷があり、ペットを飼う人々が多く住んでいる地域である。そんな等々力駅から徒歩5分の地にある「クローバー動物病院」。開業は2002年だが、もうすぐ同じ世田谷区の二子玉川に移転する予定だという。院長の蜷川圭一先生は勤務医時代に外科を担当し、現在も多くの手術を手がけている。地域密着型のホームドクターとして定評があるだけでなく、世田谷獣医師ネット「世田谷イレブン」のメンバーの一人として活躍しており、TRVA 夜間動物医療センターの立ち上げにも貢献してきた。そんな蜷川先生に、今までの活動内容からクリニックの今後の展望まで、幅広くインタビューを行った。 (取材日2014年9月19日)

外科手術を得意とする、地域密着型の動物病院

獣医師をめざそうと思ったきっかけは?

子どもの頃からどんな動物も大好きで、将来はムツゴロウさんみたいな生活をしたいと思っていました。特に犬が好きで、家でも飼っていました。その頃から獣医師に対しての憧れはありましたが、明確に獣医師をめざしたいと考えるようになったのは高校3年生の頃です。高校時代は付属校に通っていたため、受験をせずに大学に入ることができたのですが、その大学には獣医学部がなかったので、麻布大学を受験しました。正直勉強はそんなに好きではなかったのですが、「やる時はやる!」という感覚は持っていたので、大学を卒業して就職をする際には腹をくくって、あえてハードな職場を選びました。今は白金に移転したのですが、当時広尾にあったダクタリ動物病院広尾セントラル病院に5年間勤務しました。24時間救急のある動物病院だったため当直もあり、かなりハードな生活でしたが、そこではいろいろと貴重な経験を積むことができました。大きな病院だったので医療機器が充実しており、かなり質の高い医療を勉強していたと思います。私は外科担当として、軟部組織、整形外科、神経外科など幅広く治療に携わってきました。大掛かりな手術も数多く携わりました。

この地に開業した理由は?

このままずっと勤務医として生きることも考えたのですが、自分の将来の道を切り拓くためにも開業を決意し、コンサルティングの方に相談をしたところ、私の診療スタイルと土地勘を合わせると等々力がよいだろう、という結論に達しました。私はずっと世田谷で育っていたため、この辺には馴染があり、自分のフィーリングの合う地域でもありました。実際に開業をしてみると、この地を選んで本当によかったと思っています。昔からこの近所で生活をしてきたため、近隣に住む飼い主さんの価値観や動物に対する距離感が自分と近いことがわかりました。当院を訪れるのは本当にペットを大事にしている熱心な飼い主さんばかりで、予防に力を入れている方も多いです。2002年に開業して以来、10年以上長く通っていただいている飼い主さんもたくさんいらっしゃいます。私は地域のホームドクターとして、できる限りのことをしていきたいと思っています。

得意な診療について教えてください。

勤務医時代に外科を担当していたこともあり、やはり外科的なことが得意です。主に、脳腫瘍など脳の手術や、神経を固定する手術などですね。また、専門性の高い心臓に関しては内科であれば小動物心臓センターを紹介して治療の段取りを組んだり、外科の場合は心臓専門の先生に紹介しています。他にも眼科や皮膚科の専門医を紹介するなど、なるべく今の動物医療で飼い主さんが一番よい選択ができるように門戸を開いています。

獣医師の仲間たちと夜間医療センターの立ち上げに貢献

診療で心がけていることを教えてください。

できる限り飼い主さんと動物から情報をもらっています。簡単に言うと、話をよく聞くことですね。そのためにもコミュニケーションをとても大切にしています。また、動物に対しては、なるべく家にいるような気分で診察を受けられるように気を遣っています。そのためにもまずはこちらがリラックスすることが重要です。動物もそれぞれ性格が異なりますから、個々のタイプに応じてどう接したらいいかを考えています。とにかく、動物たちがストレスを受けないように、心がけていますね。

メンバーに入られている世田谷イレブンとはどんなチームですか?

世田谷区の獣医師会の中で同じ価値観を共有している獣医師たちの集まりです。メンバーと定期的に集まって、個々の病院で抱えている問題の意見交換をしたり、今後の獣医学の動向や治療方針を話し合ったり、横のつながりを大切にしながら切磋琢磨していくことを目的としています。獣医師はストレスの多い仕事のため、行き詰ったり辛い思いをすることもあるのですが、そこを共感し合える仲間がいる、ということも大きな励みとなります。今後は世田谷イレブンの仲間たちでもう少し具体的に地域に貢献できる情報発信をしていきたいと考えています。FMラジオやインターネットなどのメディアを通じて、世田谷で犬や猫を飼っている人たちに対して、健康に関する役立つ情報などを提供していきたいです。

TRVA 夜間動物医療センターの立ち上げにも関わっているそうですね。

TRVA 夜間動物医療センターの設立関係者の中の1人です。個人経営の病院では夜間まで診療をすると、かなり負荷がかかってしまい、翌日の診療が立ちいかなくなってしまいます。しかし、社会としては夜中にペットの具合が悪くなったときに、しっかりと対応してくれる施設が必要です。個人の病院ではとてもできないことなので、獣医師の仲間を40〜50人集めて、みんなが協力することで組織を作り上げました。しかし、40〜50人の獣医師が交替に診療するシステムだと、患者さんが移動してしまう可能性が出てきます。それを防ぐために夜間動物医療センターは公の中立病院として夜間専門の救急医が存在しています。夜間に重症になったペットでもきちんと治療が受けられて、診療後は元のかかりつけの動物病院へと戻るシステムを確立させることが重要でした。

今後もホームドクターとして情報発信をしていきたい

最近はどんな症状で来るペットが多いですか?

現在、ペット社会にも高齢化の波が押し寄せてきています。高齢になるといろんな病気が増えてきますので、最近はシニアのペットが来院することが多いです。ペットを長生きさせるためには、まずはきちんとした環境で飼うこと。特に飼い始めが重要です。また、ペットを飼う上での悩みを相談するなど、情報交換ができる仲間がいると心強いですし、信頼できる動物病院を見つけておくことも大切です。もちろん、十分に運動をさせたり、食事管理にも気をつけなくてはなりません。ペットの食事に関してはいろんなトレンドが出ているので、かかりつけ医と相談してほしいですね。

休日はどのように過ごしていますか?

なるべく今は精神的にリラックスできるように、休日の過ごし方を考えています。車を運転することが好きなので休みの日はドライブに行くことが多いですね。自然に癒されたいので、海や山によく出かけています。また、体を動かすことが好きなので、サーフィンやスノーボード、野球などよくスポーツもしています。休日は疲れていても、出かけることが多いですね。

今後の展望について教えてください。

実はこのクリニックはもうすぐ移転するんです。現在のクリニックが手狭になってきたので、この近くで土地を探したのですが見つからなかったため、二子玉川に移転することになりました。現在、新しい病院を建設中です。また、現在は人間の医療でIPS細胞が話題となっていますが、ペットの医療でも今後は再生医療が実現するのではないかと思っています。例えば、あるペットから特定の細胞を取り出して、機能が低下した臓器に分化させるなど、進んでいる機関では実践に移しています。私も学会に行くなど、新しい医療について勉強しており、今後は再生医療が当院でも行えるように準備をしています。

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