玉口 宏 院長の独自取材記事
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たまがわ動物病院
(世田谷区/二子玉川駅)
最終更新日: 2023/01/22
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多摩堤通りに面した「たまがわ動物病院」は「20歳まで元気で長生き」をコンセプトとする動物病院だ。一般診療のほかに、ホモトキシコロジーや漢方・温灸療法などの補完代替療法やレーザー治療などにも取り組んでいる。さらに、動物のためのアンチエイジング療法なども積極的に導入し、まず、病気になりにくい体作りを基本に体質改善のアドバイスもしてくれる。院長の玉口宏先生の治療を求めて、北は北海道から南は九州まで、遠方からもたくさんの動物たちが足を運ぶとのこと。リニューアルして明るく機能的になった院内で、動物との向き合い方、健康維持や治療のポイントなどについてたっぷりと話をうかがった。 (取材日2014年2月19日)
バルセロナの動物園が運命を変えた
獣医師を目指されたきっかけをお聞かせください。
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獣医師になろうと思うまではけっこう回り道をしてるんです。大学を卒業して、最初は考古学の資料を撮影するカメラマンの仕事に就きました。これは、父が考古学の研究者だった影響が大きいですね。私のカメラの師匠とも呼べるのが報道写真家で有名な一ノ瀬泰造さんでした。父の知り合いだった一ノ瀬さんは、私が小さい頃によく遊びに来てくれていて、カメラをはじめたくさんのことを教えてくれました。考古学の資料を撮影する毎日に慣れると、いつしか一ノ瀬さんのように世界を飛び回ってカメラマンとして活動したいと思うようになり、ロンドン行きの片道の航空券を持ってヨーロッパへ旅立ちました。家族からは、戦地で命を落とした一ノ瀬さんのようになってほしくないからと「戦地にだけは行くな」と言われていましたが、社会派カメラマンになりたくて、危険な場所にも果敢に飛び込んで、シャッターチャンスをものにするぞ!と意気込んでいました。ところが実際にヨーロッパに行って、心の赴くままにシャッターを切っていると、動物ばかりを撮影していることに気がつきました。どの国に行っても必ず動物園に立ち寄っているんです。バルセロナの動物園で、もしかして動物が好きなんじゃないかなと思ったのが獣医師になる最初のきっかけかもしれません。
帰国後に獣医学部に編入されたのですか。
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獣医学部に編入して、年下の同級生たちと過ごす2回目の大学生活は楽しくてとても刺激的でした。獣医学の勉強をしていくと、やっぱり動物が好きなんだなと改めて実感しました。動物のことについて毎日新しい知識を吸収できるので、面白くてしかたなかったです。大学時代にデスモンド・モリスの「裸のサル」を読んで、生態学に興味が湧いて、もっともっと知りたくなって、京都大学霊長類研究所にまでサルを見に行ったことが非常に思い出深いですね。2年間も研究所に通って、カメラの腕を生かしてサルばかり撮影していたこともありました。サルの群れを追って遠くまで歩き、ひたすらシャッターを切ることもありました。その頃には社会派カメラマンになる夢はどこかへすっ飛んでしまっていました。
西洋医学に加え補完代替療法を選択肢に
最近、医院をリニューアルしたそうですね。
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はい。もう一度自分自身のやるべきことを見直し、来院してくださった皆様が気分よく診察を受けていただけるように、医院全体を明るくしました。モニターも増やし、レントゲン診断の結果を診るのにも、スッキリと見やすい環境を整えました。これまで通り「20歳まで元気で長生き」をコンセプトに、まず病気になりにくい体作りを基本にして、病気になってしまったら、全力で健康を回復するお手伝いをしたいと思っています。
飼い主さんの意識の変化を感じることはありますか?
皆様とても前向きです。少しでもよい方法があれば、可能なかぎりによくしてあげたいと、まるで自分のことのように真剣な方が多いですね。インターネットの普及で以前より情報が手に入りやすくなったこともあり、皆様の知識も豊富になっているように感じます。私自身も柔軟な発想で、素直な気持ちで考えるようにしています。専門家の目から診た的確で、わかりやすい説明をするよう心がけています。当院では、最初にいくつかの治療方法をご提示して、ご理解いただいた上で、治療にあたるようにしています。一つには現代医学とホモトキシコロジーなどの補完代替療法の組み合わせ、もう一つが代替療法のみの治療、または現代医学のみの治療法です。代替療法は即効性というよりも、ある程度の時間を必要としますが、表面的ではない深さがあり、いわば細胞レベルから体質改善を図れるようなメリットがあります。
代替療法にはどのような種類があるのですか?
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現代医学にもやはり限界があり、特にがんの治療では免疫力を高めるために代替療法が功を奏することが少なくありません。今、行っているのはホモトキシコロジーやレーザー治療、近赤外線を使用した光線温熱化学療法などです。これらは、高齢や妊娠中、さらに慢性疾患を持っていて投薬や治療が限られる場合にも有効です。また、現代医学では治療の余地がない場合でも、代替療法によって、完治はできないまでも症状の緩和をめざすことができます。「20歳まで元気で長生き」のコンセプトを実現するためにも、代替療法は本当に有効な治療です。これからもよい治療は積極的に取り入れて、幅広い治療の選択肢を提供していきたいと考えています。
「20年長生き」は理想ではなく実現可能
新しい治療にはどのようなものがありますか?
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神経ブロックの発展系である「神経節を治療するレーザー」があります。これは細胞活性が期待でき、治療効果が高くとても有効な方法です。治療開始数分で体温が上がり、免疫力も回復してきます。また、同時に血流がよくなり、患者様には喜ばれています。本当に見違えるほどよくなるので特に高齢の動物たちには嬉しいですね。動物病院でこのレーザーを導入しているのは、おそらく当院の他、あまり多くないと思います。特に腫瘍の治療として使用するには新しい治療でもあり、ご存知ない方も多いのですが、このレーザー治療は体への負担も少なく、治療効果が高いので提案させていただいています。
何かアドバイスやポイントは?
もっと気軽に相談していただければと思います。動物病院は皆様のためにあるのです。何か調子が悪く感じても「もう少し様子を見てからにしよう」というケースがあると思うのですが、動物は、疾患の進行自体が人間より早く進む場合が多いのです。症状が軽いうちに処置しておけば、治り方も早くなります。毎日動物を見ている飼い主さんが「いつもと違うな」と感じたら、なるべく早い受診をお勧めします。デトックスを含めて、「病気にならない体づくり」など、動物の恒常性を維持するのは何より基本です。ただ、そのようなケアをしていても、加齢や外的な要因によって、動物の体は「毎日変化している」のも事実です。このサインを見逃さないようにして、ちょっと変だなと感じたら、気軽に相談していただきたいと思います。
今後の理想や目標についてお聞かせください。
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当院のコンセプトである「20年元気で長生き」を追求することですね。家族の一員が、寿命をしっかりと全うできるように奉仕していきたいと思います。そして、最後を迎えるときも「苦しい」「痛い」がないように、体の力をすべて使い切って「眠るように安らかに」旅立てるようお手伝いをしたいです。代替療法には、このような力があると考えています。また、これまでの経験を後進にも伝えていきたいですね。彼らが皆様の役に立つ診療を行えるように、そして若い発想がこれまでにない新しい動物医療のカタチを開拓していって欲しいと願っています。さらに、近年では高齢化も進んでいますので、診察にいらっしゃるのも大変なこともあると思います。これからは、訪問診療のサービスもはじめたいと思っております。これからも、動物が「20年元気で長生き」、そして皆様が生活に毎日幸せを感じられるお手伝いをしてゆきたいと思います。