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矢中 雄一郎 院長の独自取材記事
武蔵小山どうぶつ病院
(品川区/武蔵小山駅)
最終更新日: 2025/02/26

武蔵小山駅から程近い場所に「武蔵小山どうぶつ病院」を開設した矢中雄一郎院長。飼い始めた子猫を病気で亡くしたことをきっかけに獣医師をめざしたという。武蔵小山で事業継承する形で開業したが、手狭になったことから移転。新しい動物病院は、犬と猫の待合室や診察室を分け、猫の特性に配慮したキャットフレンドリークリニックのゴールドにも認定されている。勤務医時代から専門的に歯科を学び、犬や猫の歯科治療やデンタルケアの指導に注力するのも特徴。眼科や外科など幅広い診療の充実や、飼い主が定期検診やデンタルケアを続けやすい診療システムづくりにも取り組む。動物にも人にも優しくこまやかな配慮を忘れない矢中院長に、同院の診療の特徴や動物医療に対する思いを聞いた。(取材日2025年1月6日)
移転して拡充。猫にも適した環境を整える
最近、移転されたと聞きました。

2024年6月に移転して院内が広くなったので、最近は猫の健康に関心の高い飼い主さんが増えていることから、待合室・診察室・入院室も犬と猫で分け、デリケートな猫も安心して受診できる環境を整えました。猫に優しい動物病院としてキャットフレンドリークリニックのゴールドにも認定されています。手術室も2室になり、麻酔器や麻酔モニターも増やしたことで、手術中に別の急患にも対応できるなど充実した診療体制が整いました。移転して患者さんを多く受け入れられるようになったので、獣医師やスタッフも増員しているところです。ロゴについても、犬と猫が寄り添っているように温かみのあるロゴをデザイナーさんに作ってもらい、とても気に入っています。
獣医師を志したきっかけや開業の経緯を教えてください。
もともと動物が好きで、中学生の時に初めて子猫を飼い始めたのですが、すぐに猫伝染性腹膜炎にかかり亡くなってしまいました。当時は手立てがなく、何もできなかった自分にふがいなさを感じ、こんなつらい思いをする人をなくしたいと思い獣医師を志しました。大学卒業後は、横浜市の関内どうぶつクリニックに勤務しました。症例数のとても多い施設で、膿皮症やアレルギーといった皮膚疾患、消化器疾患、歯科疾患など数多くの診療を経験し、アメリカへ勉強に行く機会ももらい歯科を専門的に学ぶこともできました。開業を考えていたところご縁があり、武蔵小山で事業継承する形で2020年3月に開業しました。武蔵小山には、近くに林試の森公園という大きな公園があり、犬も飼いやすいエリアになっているので、患者さんが増えて手狭になってきた頃、移転したという経緯です。
診療面にはどのような特徴がありますか?

犬と猫を中心に、うさぎなど小動物の診療にも対応しています。獣医師は非常勤医を合わせて6人在籍しており、年末年始以外、休診日は設けず診療しています。私が1人で診療していた頃には、飼い主さんから休診日が不安という声もいただいていたので、それは解消することができました。また、非常勤医として、アメリカで眼科の研鑽を積んでいる青木陽祐先生も在籍しています。専門的な眼科診療を行うとともに、私たちも青木先生と一緒に診療することで眼科診療について学んでいます。眼科に限らず、専門性の高い獣医師に来てもらうことで、診療の幅を広げ、質を向上させていきたいと思っています。
歯科に注力。家庭での歯磨きを会得できる取り組みも
歯科診療について教えてください。

歯科疾患は動物の健康寿命にも深く関わるものですから、当院では、スケーリングなど麻酔をかけた歯科処置に注力するほか、スタッフが指導しながら飼い主さんに練習してもらい、デンタルケアを会得してもらう取り組みも行っています。というのも、デンタルケアは気になっていてもやり方がわからない、うまく歯磨きができないという方が多いです。動物は当然ながら、歯磨きが自分の健康に良いことだとは理解してくれないので、そもそも歯磨きは難しいものだと思います。デンタルケアの取り組みはスタッフから提案があって始めたもので、うまく歯磨きできるようになる飼い主さんが多いですね。もちろん、どうしてもできない子もいますから、お預かりしてスタッフが歯磨きすることもできます。
家庭での歯磨きはどのように進めたら良いのでしょうか?
まずは、動物が好きな味の歯磨きペーストを舐めさせて、指で歯茎を軽く触ってお口を触られる抵抗感を減らしていきます。それができたら歯磨きシート、さらに歯ブラシと進めていきます。ハードルの低いことから始めて動物に慣れてもらうことも大切ですが、飼い主さんが諦めずに続けることも大切。かわいい子が嫌がることはしたくない、嫌われたくないと諦める方が多いので、実は飼い主さんが続けるということが、一番難しいハードルだなと思います。コツとしては動物の場合、食べかすによる虫歯はほとんどできませんから、歯磨きをした後にご褒美としておやつをあげても構いません。当院でも、頑張ったねとおやつをあげています。犬や猫に多いのは歯周病なので、歯茎の隙間の歯周ポケットを歯ブラシで磨いて、歯垢をかき出すのが大切です。歯周病が進行すると歯を支えている骨が溶けて痛みにつながってしまいますからね。
定期検診にも注力していると聞きました。

年間を通して定期的に健康診断を行うことが、健康で長生きすることにつながると考えて、気軽に健康診断が受けられるプログラムを用意しています。犬は月に1回、猫は2月に1回、聴診や触診など動物に負担のかからない健康診断と、爪切りや肛門腺絞りといったケアを行います。健康な状態で定期的に受診してもらうと、変化があった時に気づきやすく早期発見に役立ちますし、しつけやお手入れの相談に乗ったり動物との暮らしの様子を聞いたり、飼い主さんとの心の距離が縮まっていくのも良いなと思っています。春と秋には健康診断のキャンペーンも行い、その重要性を飼い主さんに発信しています。
動物や飼い主を家族と思い、ホスピタリティーを大切に
診療で大切にしているのはどのような点ですか?

ホスピタリティーを持って診療を提供することを重視しており、そのことはスタッフとも共有しています。動物もそれぞれ性格があり、飼い主さんにもそれぞれ考え方や背景がありますから、マッチする治療は1匹ごとに異なります。ですから、選択肢を提示した上で私たちの考えもお話ししながら、飼い主さんとすり合わせて治療を選ぶことを心がけています。本音で話していただけるよう日頃からの飼い主さんとのコミュニケーションも大切にしています。また、当院には処置室がなく、診察室に飼い主さんに入ってもらい、目の前で処置を行います。飼い主さんが一緒だと動物も安心しますし、飼い主さんも安心されますからね。
ところで、先生はペットを飼われていますか?
ずっと飼っていた猫を18歳で見送り、今は、1歳になるゴールデンドゥードルという、ゴールデンリトリーバーとスタンダード・プードルのミックスを飼っています。体力が有り余っている犬なので(笑)、休みの日はドッグランに行ったり、長めの散歩をしたりしています。
今後の展望を聞かせてください。

移転して診療環境も整い、信頼できるメンバーがそろったので、さらに診療を充実させ、ホスピタリティーがあふれる動物病院として地域に貢献したいと思っています。副院長に就任した安念了先生は、獣医師としてのキャリアが長く、特に外科手術の経験豊富な先生です。対応できる外科手術の種類も広がり、私自身も先生に学びながらスキルアップしたいと思っています。眼科の青木先生も含めて多様な専門性のある獣医師に加わってもらい、新しい知識や診療技術も積極的に取り入れて、常に診療をアップデートさせたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
当院は、飼い主さんも動物も私たちの大切な家族という思いで診療を行っています。本当の家族のように何でも相談してもらえると、動物にとっても良い治療ができると思います。動物病院は、人も動物もちょっと敷居の高いあまり行きたくない場所だと思いますから、当院は、通いやすい、来たくなるような所でありたいと環境や対応にも配慮しています。どんな些細なことにも丁寧な対応を心がけていますので、歯磨きやしつけのことなども気軽に相談していただけたらなと思います。またどんな病気でも早期発見が大切ですので、健康診断に力を入れています。特に猫は連れてきにくい子も多いと思いますが、当院はデリケートな猫も安心して受診できる環境を整えた、猫に優しい動物病院でもありますので、ぜひご相談いただきたいと思います。